偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
261 / 434
【R-15】鈴音編 第2章

第259話 就農から結婚式までの行方 その14

しおりを挟む
 翌日も、前日の収穫作業を行う。
 稀子は当然、仕事に行っており、作業もトラブルが発生しなければ午前中で終了するため、お弁当の用意も無いし、幸村さんと稀子祖母も自分らの仕事が有るため、俺達の側には居ない。

 只、俺達だけは不安と言う事で、楓さんが幸村さん代理で、俺達の指導をする事に成った。

「青柳さん。時間は有りますので確実に!」

 収穫開始前、楓さんからそう言われる。
 同じ言葉でも、男性と言われるのと女性と言われるのでは全然違う!?
 不思議な者だ!!

 鈴音さんも、今日は楓さんだけなので、凄く安心した表情をしていた。
 鈴音さんは幸村さんより、楓さんを遙かに慕っている。
 幸村さんの所も、幸村さんがメイン。楓さんと稀子祖母がサブ。稀子はお手伝いとカーストが出来上がっていた!?

 鈴音さんもサブの立場(?)なので、サブの仕事は楓さんから教わる。
 けど、楓さんも農業機械の運転・操作は出来るし、簡単なトラブルなら対処出来るそうだ。
 そうで無ければ、此処に居る意味が無くなってしまう…。何処かの企業の無能上司と変わらない。

 やはり楓さんは、サブの立場ながらでも長年の経験者で有るから、色々と指導してくれる。
 これが幸村さんなら厳しい口調で言われるのだが、楓さんだから優しく言ってくれる!
 幸村さんの方が技量は遙かに上だろうが、指導者なら楓さんの方が良かった!?
 俺はそんな事を思いながら、収穫作業を続けた!

 ……

 収穫作業も終わり、コンバインも納屋に仕舞って小休止と成る。
 後……今日の仕事は、2トントラックに積んで有る収穫したばかりの米を農協に指定された集荷所に運ぶだけで有る。

 これは俺だけでは無く、鈴音さんと一緒に行く。
 本来は俺一人でも十分だし、女性の鈴音さんに積み下ろしはさせれない。
 鈴音さんと一緒に行く理由は、その後の買物も有るけど、農協の人達に顔を覚えて貰うためだ。

『稀子地区の青柳夫婦だと……』

 この地域は結束力が強いため、地域の繋がりが大事に成ってくる。
 俺と鈴音さんの顔を覚えて貰えれば、有益な情報を得られる時も有るし、相手が美人だと特に男性は甘くなる!?
 鈴音さんを上手に活用(?)して、この地域での営農を有利に進める意図も俺には有った!

 楓さんからお茶に誘われたので、俺と鈴音さんは稀子の家でお茶を呼ばれる。
 幸村さんと稀子祖母は家には居なかった。屋外で作業をしているのだろう。
 緑茶とお茶請けの花林糖かりんとうをいただく。

「どうでしたか?」
「初めての水稲収穫作業は?」

 楓さんが、俺にそう聞いてきた。

「やはり、機械が有ると便利ですね」
「これを鎌で刈れと言われたら何日掛かるやら…」

「そうですね!」
「機械様々ですわ!!」

 楓さんはそう言いながらお茶を飲む。

「今回の収穫で、どれだけの収入に成るでしょうね♪」

 鈴音さんは嬉しそうに言う。
 米がお金に替わるのだから、それは嬉しくも成るだろう。

「楓さん…」
「今回の収穫で、どれ位に成るか大凡おおよそでも判りますか?」

「お米の値段ですか…?」
「えっとですね……。青柳さんの所は銘柄が○○で有って、全てが一等米で有っても、公務員の平均月収、2カ月分を上回るか同程度ですね…」

「厳しい値段ですね楓さん…。そんな金額で1年の生活は出来ません」

 鈴音さんは落胆した声で言う。
 市場から見て米は余り気味だし、政府は減反を推し進めている。
 もう、米農家では食べていけないから、大規模農家程、転作を積極的にしている。

「けど、あなた達は、数年間助成金を貰えるのでしょ」
「その間に、試行錯誤をするのも農業の面白みですよ!」

 楓さんは俺と鈴音さんに向けて言う。
(俺だって、この規模の水田は食べていけないのは知っている)
(今年、ナスの収量は幸村さん指導の御陰も有って、面積の割にはまずまずの収入が有った)

(今の水田を他の農作物に転作させるしかないが…、来年は俺も小麦を栽培して見るか!)

 俺がそう、頭の中で考えていると……

「今年は私達が手伝いましたが、来年からは青柳さんと鈴音さんだけに成るはずです」
「今回の事をメモなどに記して、来年に役立ててください!」

「そして、水田は米だけ無く大豆や小麦、蕎麦等と転作出来ます」
「固定概念に囚われずに、2人の若い力を協力して活かしてください!」

 最後は指導者らしく楓さんが纏めた。
 来年は米では無く、他の農作物を栽培しようと心に決めた!
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

処理中です...