偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第258話 就農から結婚式までの行方 その13

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 秋も深まり……

 今日は遂に、稲の収穫日を迎えた。
 収穫した米は全量出荷に成るが、一部の米は俺と鈴音さんの食べる分に回す。
 初めての収穫で有り、稀子もそれに合わせて態々休暇を取ってくれた。

りんちゃんと比叡君の晴れ舞台だからね♪』

 と、嬉しそうな声で言った。
 稀子の中では、無事に稲が実った事が嬉しいのだろう。
 幸村さんから借りたコンバインで、幸村さんの指導を受けながら、俺は稲を刈り取っていく。

 鈴音さんと稀子は稲刈りの補助作業をしており、稀子の母、楓さんと稀子の祖母は、家でお弁当を作っていて、今日の昼食はそのお弁当だ!
 稲刈りの日は、刈り取ったばかりの圃場を見ながら昼食を食べるが、幸村さんの習わしらしい……

 俺が幸村さんから借りている水田(圃場)の規模はそんなに大きくは無いが、田植えの時よりも、収穫の方が時間が掛かる。
 田植えの時は、極端に言えば稲を植えるだけだが、収穫の場合は只、稲を刈り取るだけでは無い。
 全ての稲が真っ直ぐ立って居る訳では無く、倒伏とうふくも有るし、収穫した米をトラックに積み込む作業等も有る。

 幸村さんの話によると『まぁ、これ位の規模なら1日有れば終わると思うし、明日も天気が良いから、出来なかったら明日だ!』と気楽に言ってくれた!
 ベテランに為ると、1日で収穫作業は終えるそうだが、俺の場合は初心者だから仕方が無い……

 昼食の時間と成り、稀子一家と青柳一家と言っても、俺と鈴音さんだけだが、場所が少し開けた所にシートを広げてお弁当の時間に成る。
 久し振りに稀子一家との昼食で有る。
 手で食べやすい様に、おにぎりや玉子焼き、鳥の唐揚げ、アスパラベーコン、沢庵が入ったお弁当で有った!

「天気の良い日に食べる、おにぎりは美味しいね~~♪」

 稀子は年齢上では大人だが、子どもの様な事を言いながら食べている。
 けど、綺麗な秋空の下。更に借りている圃場とは言え、俺と鈴音さんの努力の結晶を見ながら食べる昼食は、美味しいに決まっている。
 鈴音さんも和やかな表情で、アスパラベーコンを食べている。

(楓さんが作ったおにぎりは、初めて食べるな…)

(……うん。塩加減も良くて丁度良いや)

 今の潔癖症の時代!?
 他人の作った、おにぎりは食べたくないと良く聞く。
 例えそれが、ラップで包んで握った物で有ってもだ!!

 楓さんと稀子祖母が握った“おにぎり”は、ラップ等に包まれておらず、直接手で握ったのだろう。
 稀子一家はそれが当たり前の表情で食べてるし、俺も鈴音さんも気に成らない。
 却って、旨みが増している気がする!

 食中毒の危険性とかも無い訳では無いが、その様な事を言う癖に平気で、外食や中食を喜んで食べている。
 本当の衛生面で言ったら……あっ、鈴音さんが話し掛けてきた!

「比叡さん!」
「外でのお弁当は美味しいですね♪」

 鈴音さんはそう言う。
 俺達の場合、家から圃場までの距離が短いため、お弁当を作る事は無いからだ。

「だね、鈴音さん!」
「外でのお弁当は最高だね!!」

 ……

 午後からも収穫作業を再開して、日没まで収穫を続ける。
 俺が全てコンバインを操作して収穫をする。来年からは、これを1人でも出来るためで有る。
 日没が近付いたが……その日に、収穫を終える事はやはり出来なかった。

 時間的に言うと、あと1時間弱で収穫は完了出来るが『余裕は元々取って有るし、俺らは残業代が出る訳で無い!』、『それより夜間の作業はリスクも危険も増える。今日はここまでだ!』と、幸村さんはその様に言って、その日の収穫作業は終わりと成る。
 これが法人関係に成ると、夜間に入っても作業を続けなければ成らない時が有る。

 少し残ってしまったのは残念だが、鈴音さんや稀子の事も考えなければ成らない。
 稀子は本来関係無いのに、最後まで付合ってくれた。
 盗難の恐れが有るため、圃場にコンバインは置かずに、手間でも納屋に格納する。
 こうして……初日の収穫作業は終わった。
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