253 / 434
【R-15】鈴音編 第2章
第251話 就農から結婚式までの行方 その6
しおりを挟む
「まぁ、そう言う訳だから、楽しみにしていてね。比叡君!」
「うっ、うん。楽しみにしている…」
「じゃあ、鈴ちゃん方を手伝ってくるね♪」
「あぁ……」
稀子は鈴音さんの方を手伝いに行った。
直ぐ近くに食事処が出来るのだから、昼食を考える手間は少し省けそうだが、観光地値段で提供されたら頻繁には通えない。
(まぁ、それよりも今は、目の前の事だ!)
鈴音さんの元に行く稀子を見つめながら、俺はナスの剪定の再開をさせた。
(まだ、俺の両親に何も連絡をしていないが、そろそろしないとな…)
俺は鈴音さんと書類上で婚姻をしてから、3ヶ月以上の時が経つのに、両親に何も連絡をしていなかった。
就農の準備や春の農業繁忙期で、俺の実家に行く時間が取れないのも有るが、電話連絡位は出来る時間は有った。
(俺があの実家に行きたくないのも有るし、母親に言うのが億劫なんだよな…)
俺の両親は、母親が毒舌で父親が家庭に無関心だ。
俺の中では父親と遊んだ事は殆ど無い。
休日に居る父親は、何時もテレビを見ているか昼寝をして居た。
兄妹は俺1人で有って、そんな環境で育ってきた。
両親が居るのに、俺は母子家庭の様な生活をして来た。
俺の母親は、自分の思い通りに成らないと、毒舌を吐いたり、直ぐ喚く人だったので、心底母親を好きに成る事は無かったし、父親も俺の事を息子として見ているのか、常に疑問を感じていた。
(俺の両親が真面な人だったら、俺は此処に居ないだろうな…)
(けど、そんな人生の御陰か所為で、稀子と出会う事が出来て、今が有る)
(しかし……俺が言うのも何だけど、子どもの安否を心配しないのかな?)
(あの両親は……しかし、今年中に実家には一度、鈴音さんと出向かないとな…)
俺の実家に、婚姻の報告と結婚式を挙げる連絡を、最低限しなければ成らない。
けど、これだけの連絡が無いのだから、本当に絶縁されているのかも知れない。
まぁ、それなら、それでも、良い。
俺は両親に頼りたくは無いし、波津音市に行く選択を取った時に、両親から勘当の様な言葉を言われている。
(実家の玄関先で追い返されたら、その時はその時だ!)
……
…
・
季節は更に進み……
夜には、虫がうるさく鳴く季節に入る。
この家の防音性は皆無の様で、窓を閉めても『リーン、リーン♪』と、虫の声が小さくはならない。
この家は土間が有るから、もしかしたら昆虫が入り込んで居るのかも知れない!?
夏から秋に季節は変わりつつ有るが、鈴音さんの軽トラデビューはまだされてない。
収穫等で時間が取れないも有るが、鈴音さん自身が乗りたらがない。
時間が有れば、俺が運転してスーパーへ一緒に買物行くけど、それが出来ない時は、仕方が無いからバスで買物に行って貰っている。
地区と市街地を結ぶバスは、市から補助金が出て運行されているので、一般的な郊外を走るバスと比べれば運賃は安いが、バス代よりガソリン代の方が安い。
けど、バスは車内で体を休める事も出来るから、農作業の後に買物を行って貰う場合は、鈴音さん的にもバスの方が良いのだろう……
鈴音さんの軽トラデビューは、今年中は無理だろうと感じた。
農業の方はキュウリ栽培・収穫は終えて、キュウリ圃場を撤去して、今その圃場は白菜圃場に変わった。
白菜以外に、秋冬野菜で作付けする大根は、冬季の貴重な収入源に成るので、冬季と言うか、農閑期の間は定期的に収穫出来る様に作付けしていく。
規模で言ったらナス圃場面積より大きい。大根は1本しか収穫出来ないからだ。
農家で食べて行くには年がら年中、何かしらの作物を出荷や販売しなければならない。
農業指導は、稀子両親が熱心に指導してくれるし、気にも掛けてくれるので、初心者の鈴音さんでも俺が、農業コース職業訓練を受講した様に、丁寧に教えてくれた。
地方で農地を借りられたからと言って、農業指導をする貸主は居ないだろうし、幸村さんだって誰かに頼まれて俺を指導しているのでは無い。
善意で俺と鈴音さんに、稀子両親は指導してくれているのだ。
俺には時々、厳しい言葉を浴びせる幸村さんだが、鈴音さんには決して厳しい言葉は掛けない。
鈴音さんが大きな失敗しても、決して怒らず普通の口調で言う。
俺の場合は……思いっきり怒鳴られる!!
女性だからとか、当てにしていないとかの憶測も有るけど、怒られると気は沈む。
鈴音さんの心が余り強くない事を、幸村さんは理解しているのかも知れない。
稀子の母親は楓さんと言う。
普段は物静かな人だが時々、稀子の様な仕草を見せる時も有り、鈴音さんも楓さんを幸村さんより気に入っていた。
俺から楓さんに話し掛ける事は少ないし、楓さんからも声を掛けられる事は少ない。
この辺りは、お互いが遠慮をしてい訳では無いが、そんな関係で有った……
……
「うっ、うん。楽しみにしている…」
「じゃあ、鈴ちゃん方を手伝ってくるね♪」
「あぁ……」
稀子は鈴音さんの方を手伝いに行った。
直ぐ近くに食事処が出来るのだから、昼食を考える手間は少し省けそうだが、観光地値段で提供されたら頻繁には通えない。
(まぁ、それよりも今は、目の前の事だ!)
鈴音さんの元に行く稀子を見つめながら、俺はナスの剪定の再開をさせた。
(まだ、俺の両親に何も連絡をしていないが、そろそろしないとな…)
俺は鈴音さんと書類上で婚姻をしてから、3ヶ月以上の時が経つのに、両親に何も連絡をしていなかった。
就農の準備や春の農業繁忙期で、俺の実家に行く時間が取れないのも有るが、電話連絡位は出来る時間は有った。
(俺があの実家に行きたくないのも有るし、母親に言うのが億劫なんだよな…)
俺の両親は、母親が毒舌で父親が家庭に無関心だ。
俺の中では父親と遊んだ事は殆ど無い。
休日に居る父親は、何時もテレビを見ているか昼寝をして居た。
兄妹は俺1人で有って、そんな環境で育ってきた。
両親が居るのに、俺は母子家庭の様な生活をして来た。
俺の母親は、自分の思い通りに成らないと、毒舌を吐いたり、直ぐ喚く人だったので、心底母親を好きに成る事は無かったし、父親も俺の事を息子として見ているのか、常に疑問を感じていた。
(俺の両親が真面な人だったら、俺は此処に居ないだろうな…)
(けど、そんな人生の御陰か所為で、稀子と出会う事が出来て、今が有る)
(しかし……俺が言うのも何だけど、子どもの安否を心配しないのかな?)
(あの両親は……しかし、今年中に実家には一度、鈴音さんと出向かないとな…)
俺の実家に、婚姻の報告と結婚式を挙げる連絡を、最低限しなければ成らない。
けど、これだけの連絡が無いのだから、本当に絶縁されているのかも知れない。
まぁ、それなら、それでも、良い。
俺は両親に頼りたくは無いし、波津音市に行く選択を取った時に、両親から勘当の様な言葉を言われている。
(実家の玄関先で追い返されたら、その時はその時だ!)
……
…
・
季節は更に進み……
夜には、虫がうるさく鳴く季節に入る。
この家の防音性は皆無の様で、窓を閉めても『リーン、リーン♪』と、虫の声が小さくはならない。
この家は土間が有るから、もしかしたら昆虫が入り込んで居るのかも知れない!?
夏から秋に季節は変わりつつ有るが、鈴音さんの軽トラデビューはまだされてない。
収穫等で時間が取れないも有るが、鈴音さん自身が乗りたらがない。
時間が有れば、俺が運転してスーパーへ一緒に買物行くけど、それが出来ない時は、仕方が無いからバスで買物に行って貰っている。
地区と市街地を結ぶバスは、市から補助金が出て運行されているので、一般的な郊外を走るバスと比べれば運賃は安いが、バス代よりガソリン代の方が安い。
けど、バスは車内で体を休める事も出来るから、農作業の後に買物を行って貰う場合は、鈴音さん的にもバスの方が良いのだろう……
鈴音さんの軽トラデビューは、今年中は無理だろうと感じた。
農業の方はキュウリ栽培・収穫は終えて、キュウリ圃場を撤去して、今その圃場は白菜圃場に変わった。
白菜以外に、秋冬野菜で作付けする大根は、冬季の貴重な収入源に成るので、冬季と言うか、農閑期の間は定期的に収穫出来る様に作付けしていく。
規模で言ったらナス圃場面積より大きい。大根は1本しか収穫出来ないからだ。
農家で食べて行くには年がら年中、何かしらの作物を出荷や販売しなければならない。
農業指導は、稀子両親が熱心に指導してくれるし、気にも掛けてくれるので、初心者の鈴音さんでも俺が、農業コース職業訓練を受講した様に、丁寧に教えてくれた。
地方で農地を借りられたからと言って、農業指導をする貸主は居ないだろうし、幸村さんだって誰かに頼まれて俺を指導しているのでは無い。
善意で俺と鈴音さんに、稀子両親は指導してくれているのだ。
俺には時々、厳しい言葉を浴びせる幸村さんだが、鈴音さんには決して厳しい言葉は掛けない。
鈴音さんが大きな失敗しても、決して怒らず普通の口調で言う。
俺の場合は……思いっきり怒鳴られる!!
女性だからとか、当てにしていないとかの憶測も有るけど、怒られると気は沈む。
鈴音さんの心が余り強くない事を、幸村さんは理解しているのかも知れない。
稀子の母親は楓さんと言う。
普段は物静かな人だが時々、稀子の様な仕草を見せる時も有り、鈴音さんも楓さんを幸村さんより気に入っていた。
俺から楓さんに話し掛ける事は少ないし、楓さんからも声を掛けられる事は少ない。
この辺りは、お互いが遠慮をしてい訳では無いが、そんな関係で有った……
……
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説


俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。

私は幼い頃に死んだと思われていた侯爵令嬢でした
さこの
恋愛
幼い頃に誘拐されたマリアベル。保護してくれた男の人をお母さんと呼び、父でもあり兄でもあり家族として暮らしていた。
誘拐される以前の記憶は全くないが、ネックレスにマリアベルと名前が記されていた。
数年後にマリアベルの元に侯爵家の遣いがやってきて、自分は貴族の娘だと知る事になる。
お母さんと呼ぶ男の人と離れるのは嫌だが家に戻り家族と会う事になった。
片田舎で暮らしていたマリアベルは貴族の子女として学ぶ事になるが、不思議と読み書きは出来るし食事のマナーも悪くない。
お母さんと呼ばれていた男は何者だったのだろうか……? マリアベルは貴族社会に馴染めるのか……
っと言った感じのストーリーです。

まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2024.8.29)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【完結】お父様。私、悪役令嬢なんですって。何ですかそれって。
紅月
恋愛
小説家になろうで書いていたものを加筆、訂正したリメイク版です。
「何故、私の娘が処刑されなければならないんだ」
最愛の娘が冤罪で処刑された。
時を巻き戻し、復讐を誓う家族。
娘は前と違う人生を歩み、家族は元凶へ復讐の手を伸ばすが、巻き戻す前と違う展開のため様々な事が見えてきた。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる