偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
251 / 434
【R-15】鈴音編 第2章

第249話 就農から結婚式までの行方 その4

しおりを挟む
「……」

(ナスの栽培は、これからが大変だ…)
(仕立て棚もこれからだし、誘因・摘花てきか・剪定作業も出て来る)
(これから、どんどん蒸し暑く成っていくし、鈴音さんも勉強をして居るから、大変さを気付いているのだろう)

 楽と言っては行けないが、作物(野菜)栽培をするより、水田の方が苦労は少ない。
 水田は機械化が進んでおり、面積さえ確保出来れば、安定収入の道にも成る。

 今年は幸村さんの指示で米を栽培しているが、稀子(幸村さん)の家は、米、野菜類は自家消費以外の栽培をせず、今の時期は小麦を大規模栽培している。
 米より小麦を栽培した方が儲かるらしいが、俺には基本を教えるために米を栽培させていると、幸村さんは言った。

 稀子の祖母が現役時代は、ナスの栽培もしていて市場出荷も行っていた。
 その影響で、俺と鈴音さんも小規模だがナスを栽培している。

「俺も鈴音さんの言う通り、水田を増やしたい。出来れば……2ヘクタール以上が理想だ…。そうなれば、並の下ぐらいの生活は出来る」
「俺もこの時期の法人時代は、主に小麦担当が多かったからのも有るし!」

「水田は儲けが少ないが、管理の手軽さから農業法人等のライバルが多い」
「だから、俺達みたいな新参者に、水田の新規確保は厳しいと思う…」

 今の農地では、生活をしていくのは難しいのは事実だが、裏技を使えば出来ない事は無い。
 幸村さんの考えは『今年は水田をメインしたが、来年以降は野菜栽培にシフトして貰いたい』と言われた。
 水田の一部を畑にしても、構わないと言われた。

 水田を畑に転換すれば、その分作物の作付けが出来るが、俺と鈴音さんの負担も多く成る。
 今年の最終利益がどれだけに成るかは不明だが、収益によっては栽培作物の変更を必要に成るだろう。

「今は……頑張るしか無いようですね」

 鈴音さんは諦めた口調で呟いた……

 ……
 …
 ・

 季節は梅雨に入り、梅雨も開けて、いよいよ夏が到来で有る。
 水田の方も稲が順調に育ち、ナスやキュウリも収穫期に突入した。

 ナスは長ければ、10月の下旬位までは収穫が出来て、キュウリは露地栽培で有るため、9月の上旬まで収穫出来れば良い方だと思う。
 キュウリの後は、その圃場に白菜を栽培する。

 真夏ピークの時間帯を過ぎた時刻……

 大体この時間は、鈴音さんとナスの誘因・剪定をする時間にして居るか、キュウリの収穫をしている。このキュウリは、主に晩ご飯用だ!
 これがサラリーマン農業だったら、勤務時間の関係で、炎天下での作業に成るが、時間の融通が利かせられるのも、自営農業の良い所で有る。

 お互い、麦わら帽子を被って作業をしている。
 農業用の作業着を着た、鈴音さんの農業スタイルも大分板に付いてきた!
 傍の目から見えれば、美人の娘さんが農業をしている様に見えるだろうが、俺の妻で有る!

 普段は俺と鈴音さんとでの作業だが、今日は稀子が休暇の日で有って、稀子が手伝いに来てくれた。
 稀子も収穫期は忙しい事を知っているので、両親の方を手伝わずに俺達の方を手伝ってくれる。
 稀子がこちらに来たいのも有るだろうが、もしかしたら、稀子両親が裏で指示を出しているのかも知れない…?

「いや~~。立派なナス畑に成ったね♪」
「お父さんの教えが良いのも有るけど、比叡君にも農業の素質が有ったのだね!」

 稀子は嬉しそうな声で言い、ナスの誘因・剪定をしている。
 稀子のハサミさばきも大した物で有り、やり慣れた俺達よりも手早く剪定していく!
 今の所、ナスの収量も面積の割にまずまずで有り、水田をメインよりナスをメインにするべきかとも考えて居た。

「ねぇ、比叡君!」
「言われた所は終わったよ♪」

 仕事が早い稀子は、そう言いながら俺の所に来る。

「じゃあ、こんどは……鈴音さんの方を手伝ってくれる?」

「オーケー。りんちゃんの所だね!」

 鈴音さんも大分作業には慣れてきているが、まだ1人前とは言えない。
 俺も人の事は言えないが……

「稀子も、今の仕事は大分慣れたか?」

 近所だから、稀子とはしょっちゅう顔を合わすが、最近話らしい事をしていない事に気付いたので、稀子の事を聞いて見る事にした。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

処理中です...