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【R-15】鈴音編 第2章
第248話 就農から結婚式までの行方 その3
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季節も、5月の中旬辺りに入る……
俺は今月から、書類上でも新規就農者に成った。
経営開始型の助成金支給は、年度単位で支給されるので直ぐに貰える訳では無い。
まぁ、その話は置いて置いて……
今日は、俺が幸村さんから借りた水田に、水稲苗の成苗を定植させる日で有る。分かりやすく言えば、田植えの日で有る。
以前、幸村さんに、苗は播種からやって貰いたいと言われたが、今回の苗は農協から購入した物で有る。
当たり前だが、籾から育てるより苗を買った方が楽だし、途中で苗を枯らす心配も無いが……農協等から水稲苗を買った方が良い場合が有る。
それは、米の品種(苗)を農協等が保証しているからで有る。
米は地域ごとにブランド化されているし、地区農協の推奨品種で無いと出荷が難しい場合も有る。珍しいブランドを作っても、俺の規模ではブレンド米の道しか無いからだ。
俺の水田には、初心者向けの品種を作付けする。
高級ブランド米と比べて、味や買い取り単価は低めだが、そこそこの収量が有るらしいし、地区農協の推奨品種にも選ばれている。良い米に成れば成る程、手が掛かる物に成る……
俺にネット通販等の販売ルートが有れば、作りたい米(品種)を作れば良いが、俺にはその伝手が無いし、仮にネットショッピングを開設しても、誰も俺の商品を買わないだろう……
そのため今は、幸村さんや地区の営農に合わせた農業をするしか無い。
田植えに関しては稀子の家に有る、田植機を拝借して、稀子両親指導の中、鈴音さんと田植えをする。
機械で出来る所は俺が機械で植え、角の機械が入りにくい場所は鈴音さんが主に植える。
水が張られた水田は非常に歩きにくく、何度も足を取られそうに成った!
借りた面積も大規模では無いので、半日位で終わる。
……
水田の田植えは終わったが、少し前からナスの栽培も始めている。キュウリはもうしばらく後である。
ナスを栽培する圃場を耕耘して、元肥を撒いて、畆を立てて、灌水チューブを敷いてから、マルチ(※)を敷いてと……ナスの栽培も大変で有る。
この辺りも稀子両親指導の下で、俺と鈴音さんは圃場作りをしていく。
(※) マルチ=マルチング
地温の調整や、雑草を生えにくくしたり、病気の伝染を防ぐ効果がある。
俺は一応経験者だが、鈴音さんは初心者なので、ほぼ稀子の母親が付きっ切りで指導してくれる。
稀子の忠実の良さは、母親譲りだろう……
ナスやキュウリの専門農家に成る訳では無いから、水田に影響が出ない程度の株数を植えていく。
ナス関しては育成期間の関係で今回は、幸村さんが育てたナスの苗を定植したが、キュウリに関しては播種から行っている。
予定では、来月上旬にキュウリの定植予定である。
ナスは早ければ、来月下旬から収穫出来る様には成るが、収量の関係で農協や市場への出荷を積極的には行わず、地区交流センターや道の駅等の直売所での販売や、収量の最盛期には、地元漬物加工会社の直取引を考えていると幸村さんは言った。
只、普通に栽培をして、収穫した作物を農協に出荷の時代では無いと改めて感じた。
そんな感じで……俺と鈴音さんと共に歩む、農業が本格化してきた。
初夏のある日……
春の農業繁忙期も過ぎて、やれやれと言いたいが、この先も収穫に向けての細かい準備が待ち受けている。だが、今日は小休止の日で有る。
俺と鈴音さんは、特に出掛けようとはせずに、静かに居間で過ごしている。
今日の鈴音さんは、野菜栽培の本を熱心に読んでいた。
「ふぅ」
「少し、落ち着きましたね……」
本を読み終えた鈴音さんが、顔を見上げて俺に話し掛けてくる。
「本当だね…。鈴音さん」
「収穫までは、少し気が楽な日が続きますね」
「はい…。春から秋は忙しいと言いますが、本当ですね!」
「農業法人の時も、比叡さんはこの様な事をしていたんですね」
「していたけど……今の方が気楽ですよ!」
「鈴音さんと一緒ですし!」
「まぁ!///」
「そう言ってくれるのは嬉しいですけど…、これでお金を稼がなければ成らないのですよね……」
「今年はどっちみち、農業収入は当てに出来ないから、来年からが本勝負だね。鈴音さん!」
「私も今年は、覚えるだけで精一杯の年に成りそうです」
「……でも、今の面積だけでは、食べて行くのは難しいですよね?」
今、幸村さんから借りている農地面積だけでは、完全な自立は出来ない。
5年間は助成金が有るから助成金を当てにした農業が出来るが、この先が問題で有る。
けど、夫婦で出来る農業も限界が有る。
「鈴音さん…。今年は仕事を覚えるを重点で行きましょう!」
「将来も大事ですが、目の前の事をこなして、覚える事も大事です!!」
「それは、比叡さんの言う通りですが……出来れば、水田の面積をもう少し増やしたいですね」
鈴音さんは、呟く様に言った。
作物栽培は今の段階で、だいぶ堪えているのだろう……
俺は今月から、書類上でも新規就農者に成った。
経営開始型の助成金支給は、年度単位で支給されるので直ぐに貰える訳では無い。
まぁ、その話は置いて置いて……
今日は、俺が幸村さんから借りた水田に、水稲苗の成苗を定植させる日で有る。分かりやすく言えば、田植えの日で有る。
以前、幸村さんに、苗は播種からやって貰いたいと言われたが、今回の苗は農協から購入した物で有る。
当たり前だが、籾から育てるより苗を買った方が楽だし、途中で苗を枯らす心配も無いが……農協等から水稲苗を買った方が良い場合が有る。
それは、米の品種(苗)を農協等が保証しているからで有る。
米は地域ごとにブランド化されているし、地区農協の推奨品種で無いと出荷が難しい場合も有る。珍しいブランドを作っても、俺の規模ではブレンド米の道しか無いからだ。
俺の水田には、初心者向けの品種を作付けする。
高級ブランド米と比べて、味や買い取り単価は低めだが、そこそこの収量が有るらしいし、地区農協の推奨品種にも選ばれている。良い米に成れば成る程、手が掛かる物に成る……
俺にネット通販等の販売ルートが有れば、作りたい米(品種)を作れば良いが、俺にはその伝手が無いし、仮にネットショッピングを開設しても、誰も俺の商品を買わないだろう……
そのため今は、幸村さんや地区の営農に合わせた農業をするしか無い。
田植えに関しては稀子の家に有る、田植機を拝借して、稀子両親指導の中、鈴音さんと田植えをする。
機械で出来る所は俺が機械で植え、角の機械が入りにくい場所は鈴音さんが主に植える。
水が張られた水田は非常に歩きにくく、何度も足を取られそうに成った!
借りた面積も大規模では無いので、半日位で終わる。
……
水田の田植えは終わったが、少し前からナスの栽培も始めている。キュウリはもうしばらく後である。
ナスを栽培する圃場を耕耘して、元肥を撒いて、畆を立てて、灌水チューブを敷いてから、マルチ(※)を敷いてと……ナスの栽培も大変で有る。
この辺りも稀子両親指導の下で、俺と鈴音さんは圃場作りをしていく。
(※) マルチ=マルチング
地温の調整や、雑草を生えにくくしたり、病気の伝染を防ぐ効果がある。
俺は一応経験者だが、鈴音さんは初心者なので、ほぼ稀子の母親が付きっ切りで指導してくれる。
稀子の忠実の良さは、母親譲りだろう……
ナスやキュウリの専門農家に成る訳では無いから、水田に影響が出ない程度の株数を植えていく。
ナス関しては育成期間の関係で今回は、幸村さんが育てたナスの苗を定植したが、キュウリに関しては播種から行っている。
予定では、来月上旬にキュウリの定植予定である。
ナスは早ければ、来月下旬から収穫出来る様には成るが、収量の関係で農協や市場への出荷を積極的には行わず、地区交流センターや道の駅等の直売所での販売や、収量の最盛期には、地元漬物加工会社の直取引を考えていると幸村さんは言った。
只、普通に栽培をして、収穫した作物を農協に出荷の時代では無いと改めて感じた。
そんな感じで……俺と鈴音さんと共に歩む、農業が本格化してきた。
初夏のある日……
春の農業繁忙期も過ぎて、やれやれと言いたいが、この先も収穫に向けての細かい準備が待ち受けている。だが、今日は小休止の日で有る。
俺と鈴音さんは、特に出掛けようとはせずに、静かに居間で過ごしている。
今日の鈴音さんは、野菜栽培の本を熱心に読んでいた。
「ふぅ」
「少し、落ち着きましたね……」
本を読み終えた鈴音さんが、顔を見上げて俺に話し掛けてくる。
「本当だね…。鈴音さん」
「収穫までは、少し気が楽な日が続きますね」
「はい…。春から秋は忙しいと言いますが、本当ですね!」
「農業法人の時も、比叡さんはこの様な事をしていたんですね」
「していたけど……今の方が気楽ですよ!」
「鈴音さんと一緒ですし!」
「まぁ!///」
「そう言ってくれるのは嬉しいですけど…、これでお金を稼がなければ成らないのですよね……」
「今年はどっちみち、農業収入は当てに出来ないから、来年からが本勝負だね。鈴音さん!」
「私も今年は、覚えるだけで精一杯の年に成りそうです」
「……でも、今の面積だけでは、食べて行くのは難しいですよね?」
今、幸村さんから借りている農地面積だけでは、完全な自立は出来ない。
5年間は助成金が有るから助成金を当てにした農業が出来るが、この先が問題で有る。
けど、夫婦で出来る農業も限界が有る。
「鈴音さん…。今年は仕事を覚えるを重点で行きましょう!」
「将来も大事ですが、目の前の事をこなして、覚える事も大事です!!」
「それは、比叡さんの言う通りですが……出来れば、水田の面積をもう少し増やしたいですね」
鈴音さんは、呟く様に言った。
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