偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第247話 就農から結婚式までの行方 その2

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 季節は4月に入り……

 稀子の地区では、まだ桜は咲き始めだが、俺は幸村さんの指導の中、就農の準備を進めていた。
 鈴音さんは幸村さんでは無く、稀子の母親から指導を受けているが、鈴音さん曰く『とても優しくて、丁寧に教えてくれます!』と、鈴音さんの方が大当たりで有った!?

 幸村さんは稀子の言う通り、仕事には厳しい人だが、俺は此処を耐えなければ次が無い。
 まだ、殴られる等の行為は無いが、言葉で厳しく言われる事は度々も有った。

「違う! 違う!」
「そうでは無い!!」

「すっ、すいません…」

 俺は今、幸村さんの指導で水田の耕耘こううんをしている。
 元肥を撒いて、それをトラクターで耕耘している。
 耕耘の仕方も、俺が農業法人で勤めていた時とやり方が微妙に違うので、実質一からの指導に近い。
 それでも、俺は鈴音さんと将来のために頑張った。

 ……稀子の方は家近くに有る、地区交流センターの職員として、社会人のスタートを切った。稀子の家から徒歩数分の場所に有る。
 稀子の主な仕事は、事務作業と売店(直売所)も併設されているから、販売の仕事も有るらしい。
 事務作業より販売がメインと、稀子は言っていた。
 稀子の性質からして俺も事務より、販売の方が似合っていると感じた。

 この交流センターは市の外郭団体が運営しているため、稀子は実質公務員に近い立場で有った。
 稀子のおつむは決して良くは無いのだが、鈴音さん指導の御陰も有って、地元での就職が願った。
 俺と鈴音さん、稀子と同じ地区には住んでいるが、別々の道を歩み始めている……

 ……
 …
 ・

 少し時が過ぎて、4月の下旬……

 遂に我が家に、自家用車が来た!
 と言っても、中古の軽トラで有る。
 納車されたばかりの軽トラを、俺は鈴音さんと眺めている。

 先月から幸村さんの手を借りて下の集落に有る、個人自動車販売店で中古の軽トラを探して貰った。
 この地区は降雪も有る地域だから、4WD軽トラの方が良いと幸村さんに言われて、4WDの軽トラで探して貰った。
 幸村さんは山本さんと同じ様に顔が広く、中古の軽トラでは有るが、かなり安く買える事が出来た。

「少し納車まで…、時間が掛かりましたが、これで便利に成りますね♪」

 軽トラを見ながら言う鈴音さん。

「ですね。これで、稀子の家から車を借りなくても済む!」
「この軽トラは、AT車(オートマチック)ですので、鈴音さんにも運転出来ますよ!」

「えっ、私も運転するのですか!?」

 その言葉何故か、驚く鈴音さん!
 運転したくないのだろうか?

「今は良いですけど、この先普段の買物とかは、鈴音さん一人で行く事が多く成ってくると思います」

 今はまだ、お互いがこの地域に慣れてないのと、就農も本格化していないから二人一緒で行動出来るけど、これからは、そうは行かなく成る。
 水田の様子を見つつ、ナスやキュウリの栽培・収穫・出荷調製等、これからどんどん忙しく成っていく。

 農業の位置付けとしては俺がメインで有り、鈴音さんはサポートに成るが、鈴音さんには家事も有る程度はお願いしたい。一人で出来る事は、一人でお願いしたい……

「こんな危ない山道を、私一人で走れと言うのですか!」
「近いうちに事故を起こしますよ!!」

 鈴音さんは怒りながら言う!?
 そして、さり気なく脅してきた!!

「鈴音さん…。最初は怖いと感じますが直ぐに慣れますよ!」
「現に稀子なんか涼しい顔をして良く、車で市街地に降りて行きますよ!!」

 稀子の勤め先は当然、稀子が一番下っ端に成るので、雑用が稀子に殆ど来る。
 この地区に郵便局は無いので、そう言った雑用等が稀子に来る。(ポストは個人商店の近くに有る)
 そのため、稀子が車(公用車)に乗って、おつかいに行くのを良く見掛ける。

「比叡さん!」
「稀子さんは、元々この地区の出身者です!」
「それに稀子さんは私より、運動神経が良いです!!」

 鈴音さんは折角免許(AT限定)を取ったのに、車に乗りたがらない様だ……
 けど、一人で出来る事は一人でして貰いたい。

「鈴音さん。なら、今日から練習しましょう!」
「俺が助手席に乗って、サポートしますから!!」

「……比叡さんは、どうしても私に運転をさせたいようですね…」

 鈴音さんは睨み付けながら言う。

(鈴音さんの運動神経が鈍い事は承知だけど、今の車なんて本当にゴーカートと変わらないし、安全装置は……無いか)
(でも、この道路は主要国道では無いから、ゆっくり走っても煽られる事は少ない筈だ!?)

「鈴音さん!」
「今日明日にでも乗ってくれとは言いませんが、近いうちには運転してください」
「そうしないと、お互いの仕事に支障が出て来ると思います」

「……比叡さんの気持ちは分かります」
「しばらく考えさせてください…」

 鈴音さんは目を瞑りながら言う。
 自動車学校で山道の路上教習も有ったと思うが、この地区の様な本格的な山道では無いと思う。

 バスは通っているから、少しの買物位ならバスでも構わないが、出来れば鈴音さんにも運転をして貰いたい。
 鈴音さんの運転デビューは、まだ先に成りそうで有った……
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