偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第238話 鈴音さんと共に暮らす生活 その5

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「そうだ!」
「いっそ、シートで買い物袋を全て包んで、その上から縄を掛けるか…!」

(そうすれば、シートでガードされるから荷物は転がらないし、更に縄で縛ればシートがまくれる事も無い)
(流石、俺だ!!)

 ベストなアイディアだと自分で思い、自分を褒める!!
 俺はそう考えを纏めて、側に居る稀子に声を掛ける。

「稀子…。シートは何処に有る?」

 俺が稀子に聞くと、稀子は驚きながら言う!

「シート??」
「そんなの、雨じゃ無いから積んでないよ!!」
「シートなんか…、使わなければ邪魔だし……」

本気マジか!?」
「しまったな~~。シートを積み込んでくれば良かった~~」

 シートが無ければ、さっき買った品を包む事が出来ない。
 無理して、座席下に荷物を積む事も考えたが量が多すぎる……

「これは、不味いな……」

「ねぇ。さっきから、何をブツブツ言っているの。比叡君…?」
「変だよね。りんちゃん……」

「えぇ…。比叡さんは、さっき買った商品の心配をしている様です」
「トラックの荷台ですから、品物の破損や紛失を心配しているのでしょう…」

 鈴音さんは俺がしたい事に気付いていた様だが、それに対する案が出なかったため、見守っていたのだろう……

「あ~~、それね…」
「鈴ちゃんと比叡君。沢山、買っちゃったもんね!」

「鈴音さん、稀子。見ての通り…、このままでは荷物が転がるんだよ」
「平地なら問題ないけど、家までは上り坂だらけだろ」

「……」

「そうだね!」

 鈴音さんは無言だが、稀子は陽気に返事をする?

「稀子…。やけに悠長だな。このままでは帰れないだろ…」

「んっ。比叡君!」
「せっかくひもが有るんだから、紐で縛れば良いじゃん!!」

 やけに簡単に言う稀子。
 それが出来れば苦労はしない。

「それが出来ないのだから、困っているのだよ…」
「買い物袋を纏めて、縛るだけでは意味が無いだろ」

「出来ない…?」
「そんなのレジ袋頭を縛って、その間に紐を通して、その紐を運転席後部の荷台ガードに張って縛れば大丈夫だよ……」

 稀子は、当たり前のように言う。

「それも悪くは無いが、稀子…」
「それだと、カーブ時に買い物袋が浮いてしまうだろ?」
「瓶類や生卵も買ったのだし……」

「そんなの、ゆっくり曲がれば、大丈夫だよ!」
「比叡君は、何処かのでは無いでしょ!!」

「確かに私の地区への道は、走りがいの有る道だけど、比叡君は地区のヌシに成る気!?」
「けど、私の地区で、最速目指されても困るんだよね…。爆音は近所迷惑だし……」

「あっ……豆腐屋なら、コップの水すら急カーブでも一滴も零さないから、レジ袋を紐で縛る必要も無いか!!」

 稀子は呆れ返りながら言うが、途中から訳分からない事を言い始める!?
 豆腐屋とは何だ!? 豆腐屋が山道を攻めるのか!?

 鈴音さんも、稀子の言っている事が理解出来ていない表情をしていた。
 今の事は聞き流そう!! 

(稀子の言う通り、レジ袋の頭を縛って紐を通せば、飛んでいく事は無いか)
(それしか方法は無いな…)

 卵やトマト。割れ物は別の袋に分けて、分けた袋は鈴音さんと稀子に、座席で抱えて貰う。
 それ以外の物はレジ袋の頭を縛って、手提げ部分に荒縄を通して、その荒縄を荷台のガードに張りながら縛る。
 こうすれば、余程の遠心力を掛けない限り、荷物が飛んでいく事は無いだろう。

(乗用車だと、普通に積み込んで終わりだが、トラックだとこの様な問題が起きる訳か)
(けど、2トントラックでスーパーに買物に来る客もそう居ないわな……)

 荷物の固定(?)もして、俺達は家に戻る。
 平坦の間は普通にトラックを走らせるが、山道に入ってからは、慎重に山道を上っていく。
 勢いよくカーブに突っ込むと、買い物袋が遠心力で擦れるし、それで破けたら最悪だからだ。

 このトラックの荷台は、ゴムシート等の滑り止めは敷いてない鉄板状態なので直ぐに滑る。
 また、平面では無く、凹凸状なので、これも厄介で有った。

 分断道路の御陰でゆっくり走っていても、後続車が来る事も無いし、その割には待避所も多いので、荷物を傷めない様にゆっくりと走って家に戻る……

 帰りは時間が掛かった気がするが、荷物を殆ど傷める事無く、俺と鈴音さんの家に到着をする。
 買った商品の収納は鈴音さんにお願いして、俺は稀子の家にトラックを返しに行く。

「ありがとう。稀子。助かったよ!」

 俺はそう言いながら、トラックの鍵を稀子に返す。

「事故も起こさず、無事に終れて良かったよ♪」

 稀子は和やかな表情で鍵を受け取る。

「でも……今度から、買物等で使う時は、軽トラの方が良いな」

「そうだね~~。家具とかを買うならトラックだけど、普段の買物なら軽トラの方が良いね!」
「でも、近いうちに比叡君もマイカー買うのでしょ!!」

「うん。今月末までには、どうにかしたいと思っている」

「明日の夕方には、軽トラは車検から戻って来る予定だから、暫くはトラックには乗る事は無いと思うよ!」

「そうだと嬉しいよ。稀子」
「スーパーの買物で2トントラックは、オーバースペックだ!」

 ……

 引っ越しの片付けも粗方済んで、買い出しも終わった……
 この後は……本当の鈴音さんとの、初めての夜を迎えようとしていた。
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