偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
239 / 434
【R-15】鈴音編 第2章

第237話 鈴音さんと共に暮らす生活 その4

しおりを挟む
 俺は慎重に運転をしながら、山道を下っていく。
 稀子の地区を繋ぐ道路は、俗に言う分断道路で有る。
 稀子の家が有る地区が最後の集落に成って、数キロ先に有るキャンプ場で道が途切れる……

 稀子の話によると、その先を繋げる話も全く聞かないので、大型トラック等は滅多に通る事無く、また、観光道路とも言いがたいため、地元専用道路に近い状態で有った。

 稀子が付いて来ているから、道案内などは稀子が勝手にしてくれる。稀子ナビ付きだ!
 市街地までは、ほぼ一本道だが迷わない保証は無い。鈴音さんと2人だったら、恐らく地図アプリを使っているだろう。

 やはり……過去の経験と言うか、走り始めは“おっかなびっくり”だったが、普段から軽トラでも運転していた事から、直ぐに勘とコツを覚え始める。
 2トントラックでもほろも無く、荷台もロングタイプでは無いので、ハ○エース等のワゴン車と比較すれば、2トントラックの方が運転しやすいかも知れない。
 順調良く市街地に向けて、山道を下って行くが……

「比叡君!」
「このトンネルを抜けると、勾配がきつい下り坂に成るから、エンジンブレーキを強めに掛けないと危ないからね!!」
「雪の日何か特に、事故を起こす危険場所だからね!」

 稀子は免許も持って居るし、地元の道路だから、この辺りの道路状況は熟知している。
 稀子は親切心で言って居るのだが、“稀子ナビ”はカーブの度々に音声を出すから、落ち着いて運転はしにくい……
 稀子が常に近い状態で俺に話し掛けているので、鈴音さんも話し掛けようが無かった。

「ここは下り坂の割に集落が有るし、彼処の工場から車が出る時が有るから気を付けてね。比叡君!!」

 稀子ナビは有り難い機能だが……これでは、自動車学校の生徒気分で有る。
 だが、稀子ナビをOFFにする訳には行かないので、俺は稀子の言葉を半分聞き流しつつ運転する。

 ……

 行きは、下り坂の影響でスピードが乗ってしまうので、予想時間より早くスーパーに到着する。
 稀子曰く『このスーパーで大体の物は揃うけど、衣類とか日用品とかはやっぱり、波津音市はずねしに出た方が良いかもね』と言う。

 この市は波津音市と比べれば規模は小さく、ショッピングモールも市内には無くて、ひなびた町(市)と言えば良いのだろうか? 市街地も大きいとは言いにくい。

 ちなみに、鈴音さんの元実家が有った家は、ここから徒歩で十数分らしいが、鈴音さんが行くのを嫌がった。
 鈴音さんの元実家は、鈴音さんの両親が離婚する時、財産分与の関係で売却されてしまって、今は誰の手に渡ったのかは不明で有る。

 凉子さんは波津音市に住処すみかを移したし、鈴音さんの父親とその息子は、本家の力を借りられ無く成ったため、この町を捨て他所の地域で、細々と事業を続けているらしい。
 この町で、鈴音さんの父親や息子に会う事は無いだろう。

 3人で、食料品や調味料、お酒、洗濯洗剤等の日用品を買い込む。
 鈴音さんが持って来たノートには、分類ごとに細かく書かれていて、お母さん顔負けで有る!
 鈴音さんはノートを見ながら俺と稀子に指示を出して、それを買物カゴやカートに乗せて行く。

 今まで、ビールと言えば瓶ビールが長く続いていたが、今日からは缶ビールに成る。
 真理江さんや稀子の家は酒屋で買っているが、酒屋で酒類を買うより、スーパーや酒専門店の方が安いし、空き瓶の処理にも困らなくても良い。酒屋で買うメリットは、自分で運ばなくても良い事だ。

 稀子が居た御陰で、カート2台分の量に成っても、無事に買物を済ます。
 後はこれを荷台に積み込んで、帰るだけだが……ここからが問題だ!
 俺が荷台の場所から動かないので、鈴音さんや稀子は、不思議な表情をして俺を見ている。

 運転席内に荷物を積み込むスパースは無いので、荷台に荷物を積むが、荷台は“側あおり”が有っても開放状態のため、普通に置いただけでは山道を登って行く時に、荷物が転げ落ちたり、カーブの遠心力で何処かに飛んでいく恐れも有る!?

「前の方に置いてみたが、これだけでは駄目だよな」
「どうやって……無傷で持ち帰るべきか」

 俺は荷台に置いた荷物を見て悩んでいる。
 けど、このトラックには荒縄が積み込まれている。
 荒縄で買い物袋を固定すれば良いのだが、買い物袋を纏めて縛り上げただけでは、上り坂を走っている時に後ろに転がっていく。

“側あおり”から荷物が出っ張っていれば、縄で固定も出来るが、買い物袋は“側あおり”内に収まっている。
 軽トラの様に、荷台を全面シートで覆えば良いのだが、今回は2トントラックだから、シートを被しただけでは、“側あおり”の高さの関係で、荷物が飛んでいくのは防げるが、荷物が“ぐちゃぐちゃ”に成るのは避けられない……

 俺は何か、良いアイディアが無いかと考えた……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

婚約者の不倫相手は妹で?

岡暁舟
恋愛
 公爵令嬢マリーの婚約者は第一王子のエルヴィンであった。しかし、エルヴィンが本当に愛していたのはマリーの妹であるアンナで…。一方、マリーは幼馴染のアランと親しくなり…。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

処理中です...