偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
237 / 434
【R-15】鈴音編 第2章

第235話 鈴音さんと共に暮らす生活 その2

しおりを挟む
 稀子も、まだ昼食を取っていなかったので、3人で居間と成る場所で昼食を取る。
 ライフラインは全て開通させているので水も出るし、カップ麺のお湯は問題なく沸かせる。
 以前はカップ麺を嫌がった鈴音さんだが、今では普通に食べられる様に成った。
 これも、生活変化の影響だろう……

 稀子は紅茶のティーバッグ類も持って来てくれたので、昼食後は軽いお茶をする。
 これが……協力者が一切無しの引っ越しだったと思うとゾッとする!!

 本当、今の俺は稀子に頼りっぱなしで有った。
 お茶を飲んでいる途中、鈴音さんが俺の横腹を肘で軽く突いてくる!

「どうしました。鈴音さん……」

 すると、鈴音さんは俺に耳打ちをしてくる。

「比叡さん…。丁度今、稀子さんがいますし、車を借りるのをお願いしたらどうですか?」
「車を借りる事が出来ましたら、食料品や日用品の準備が、1回の買物で殆ど済ます事が出来ます」

「そうするか…。鈴音さん」
「急な事でも、まだ農閑期だから軽トラなら借りられるかも知れない」
「聞いて見るか……」

「えぇ……お願いします」

 鈴音さんが車での買物を要望したので、俺は稀子に車の借用をお願いしてみる。

「稀子…。昼食のついでに、もう1つお願い有るのだけど良いか?」

「んっ…。困った事でも有るの?」

「あぁ…。実はこの後、町に買物に行きたいのだが、バスで行くより車の方が都合良いかなと思って…。稀子の家の軽トラを借りたいのだが…」

 俺は稀子にお願いをするが、稀子は何かを思い出す表情をしていた。

「私の家の軽トラ……」
「あ~~、ごめん比叡君。今、軽トラ車検中……」

 稀子は“ばつ”の悪そうな表情をして言う。

「あれま! 軽トラ車検中か!!」
「そうすると……乗用車も無理だね…」

「うん…。車も午後からお母さんが使う」

(タイミングが悪いな…)
(今日は、必要な物だけの買物で終わらすしか無いな……)

 稀子の話を聞いていた、鈴音さんも残念そうな表情をしていた。

「ありがとう。稀子…。車が無いなら仕方無いね」

 俺は稀子に言うが……稀子は返事をしない?

「……比叡君。トラックは運転出来る…?」

「トラック!?」

 稀子は、いきなり意味不明な事を言いだした。
 稀子の家は、軽トラと乗用車しか無いからだ。

「稀子の家に、トラックは無いはずだろ…。以前聞いたぞ!」

「いんや。実は有るんだ…」
「有ると言っても、つい先月からだけどね……」

「稀子…。話が見えないのだが……」

「話すと長くなるから、簡潔言うね!」
「近所の人が、2トントラックを持って居たのだけど、その人がもう使わないから、うちがほぼ無料タダで譲り受けたのだよ」

「そのトラックは家の駐車場では無く、納屋と言うか農業機械の場所に入っているのだけど、比叡君が運転出来るなら借りられると思う……」

「2トントラックか…。食品工場にいた時、ピンチヒッターで2トントラックに乗って配送した事は有るが……」

 
 俺の普通免許は、3トントラックまでなら運転は出来るから免許上の問題は無いが、俺がトラックに乗ったのは数年前以上の話で有る。
 農業法人時代でもトラクターの運転・作業は良くしていたが、免許の関係上、俺が軽トラ以上の運転をする事は殆ど無かった。
 稀子の地区は山間だし、出来ればトラックの運転は乗り気では無いが……

「稀子さん…。トラックなら借りられるのですね!」

 トラックでも車を借りられる事に、期待を持つ鈴音さん!?
 けど、稀子の表情は、渋る表情のままで有った。

りんちゃん…」
「借りる事が出来ても、比叡君が運転出来なければ厳しいよ」

「私と鈴ちゃんは運転が出来る資格は有るけど、自動車学校以外の自動車は運転した事が無いし、比叡君もトラックを乗り回している話は聞いていない」
「私の地区は山の中だからカーブも多いし、行きは下り坂、帰りは上り坂の道ばかり」
「今日は天気が良いからまだ良いけど、雨の日とかは本当に危険!」

「比叡君が絶対の自信が無いと、お父さんは比叡君に貸し出さないと思う…」

(トラクターと比べれば、トラックの方が重心安定が有るから、多分大丈夫だろうが、幸村さんが何て言うかか…)
(あの人の性格上、気軽に貸してくれるとは思うが、俺が事故を起こすリスクを考えるなら貸し出しはしない)

(でも、此処で暮らす以上、出荷のためにトラックを使って、農協の集荷場に行くことも出て来るはずだ)
(幸村さんが稀子と同じように渋っても『トラックの練習させてください!』と言って見よう)

 自信は無いが、鈴音さんも車を希望しているため、俺は稀子に再度お願いして見る事を決めた!
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

処理中です...