偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第229話 稀子の町に向かう道中 その3

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 本線と接続した駅に到着した、俺と鈴音さんと稀子。
 この駅から特急電車に乗って、名美崎なみさきに向かい、名美崎駅でまた乗り換えて大石十色おおいしといろ駅に向かい、大石十色駅前に稀子の両親が迎えに来てくれる予定で有った。

 今の時刻は、11時半を過ぎた時刻。
 特急電車の発車時刻が12時を少し過ぎた時刻なのでまだ、時間は有るが……

「比叡君~~。お昼ご飯どうする?」
「電車の関係で、お店に入るのは難しいよね?」

 稀子が昼食を聞いてくる。

「昼ご飯か~~」
「俺は最悪コンビニ弁当でも良いが、鈴音さんどうしましょう…?」

 時間に余裕を持った行動は意識していたが、昼食までは考えて居なかった。
 相変わらず、段取りが悪い……

「……私が別れを惜しんで、時間を押して仕舞いました」

 鈴音さんは申し訳なさそうに言う。

「そっ、そんな事無いよりんちゃん!」
「ねぇ、比叡君!!」

「うん!」
「俺と稀子は特に食べたい物が有って、言った訳では無いから!!」

 また、此処で鈴音さんに落ち込まれても行けないので、俺と稀子は鈴音さんをフォローする。

「そうですか…。でも、昼食はどうしますか?」
「一応旅ですから、その旅の昼食をコンビニ弁当で良いのですか?」

(良くは無いが本音だが…、駅のコンコースを歩いて店を選んでいる時間も無い)

 俺はどうするべきかと悩んでいると……

「ねぇ、比叡君」
「同じ弁当なら、駅弁なんかどう!」
「私達は、特急電車に乗るのだから、車内での食事は問題なく出来るし、旅の風情も有るよ♪」

(流石、稀子!)
(その手が有ったか!!)

「鈴音さん!」
「昼食は駅弁にしましょう。俺も稀子の案に賛成です!」

「駅弁なら改札付近で販売している店も多いですから、駅弁を選ぶ事も出来るし、昼食も電車内で取れます!」

 俺は浮き浮き声で鈴音さんに言うが、鈴音さんは微笑まなかった。

「……駅弁ですか。電車内でのお食事は……」

 電車内での食事を嫌がる鈴音さん!?
 この人は、特急電車や新幹線で食事をした事が無いのか!?
 その言葉を聞いた稀子は、鈴音さんを説得し始める。

「鈴ちゃん! 恥ずかしがる事は無いよ!!」
「若い女性だって、平気で車内で食べたり、飲んだりしているよ!!」

(いや、いや、飲んだりまではしないだろ…)

 俺は稀子の突っ込みを入れたいが、話をややこしくする必要も無い。

「……時間も無さそうですし、比叡さんや稀子さんが、駅弁が宜しければそうします」

 鈴音さんは渋々言う。
 レストランとかの食事は良いのに、電車は駄目なのか?
 鈴音さんの思考が、時々理解出来ない時が有る。

 それでも、昼食は駅弁を、特急電車内で取る事に成ったので、駅弁が売っている場所に行って、それぞれが食べたい駅弁とお茶を買ってから、特急電車に乗り込む。
 無事に特急電車に乗る事が出来て、電車は名美崎方向に向かう。

 俺と稀子は普通に駅弁を食べたが、鈴音さんは恥ずかしそうに駅弁を食べていた。
 鈴音さんと逃亡旅行時(?)に、車内でジュースを飲んだ時は問題なかったのに?
 ジュースを飲むのと食事は、鈴音さん中で羞恥心を感じるのだろうか。

 車内で昼食を取った後は、3人で談笑を楽しみながら電車旅を楽しむ。
 鈴音さんの心の状態は、普段通りに戻って来ていた。
 この状態なら、大石十色駅に着くまでに完全に回復すると俺は感じた。

 ……
 …
 ・

 時刻は…、夕方に近い時刻と言えば良いだろう。
 俺達は無事に大石十色駅に到着した。
 俺にとっては『何も無い駅』で、頭の中で登録されている。

「着いたね~~♪」

 稀子は伸びをしながら言う。
 この駅に稀子の両親が、車で迎えに来る事に成っている。
 俺も就農関係で、何回か稀子の実家に赴いているが、此処から車で30分以上掛かる。

 稀子の実家は本当に山奥と言えば良いだろう。
 店も個人店しか無く、地域の結束力も九尾の時とは比べ程に成らない程強い。
 幸い、俺の近隣は優しそうな人ばかりで有るが、これが意地悪じいさんやばあさんが居たら地獄に成るだろう……

「あっ、お父さんの車が来た!」

 駅に稀子両親の車が到着する。
 俺と鈴音さんは、稀子の両親に挨拶しながら車に乗り込む。

「稀子のお父さん。今日から宜しくお願いします」

「はは。そんなに緊張しなくても良いよ。比叡君」
「まぁ……細かい事は向こうに着いてからだ」

 稀子の父親はそう言いながらハンドルを握り、稀子の実家に向かう。
 引っ越しトラックが来るのは明日だし、今晩は稀子の実家に、俺と鈴音さんはお世話に成る。
 既に何回か泊まらせて貰っているので、緊張感は無いが、それでもこれからの事に俺は緊張していた。
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