偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第228話 稀子の町に向かう道中 その2

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「……稀子。それは本当の話か…?」

 俺は稀子の冗談だと思って、改めて聞いて見るが……

「比叡君は大切な親友だから、本当の事を言うけど、さっきの通りだよ」

「……」

 俺は言葉が出なかった……
 鈴音さんと稀子から、俺は本気で好かれては居なかったんだ。

「保育士養成学校に落ちたあの時の比叡君は、本当に何も考えて居なかった!」
「山本さんの質問に碌に答えられなくて、比叡君は自分が悪くないと良い取れる発言をして、後はだんまり……」

「私はあの時に感じたよ!」
「比叡君は、山本さんの代わりには成らないと!!」
「あの時の比叡君が真面な事を言っていれば、私は比叡君を助けたと思う…」

 実に耳が痛い話だ。
 鈴音さんが狸寝入りして居ない事を祈ろう。

「比叡君は親友としては、今でも大好きだよ!」
「だからこそ、体のスキンシップもさせてあげた」
「でも、将来の人には考えられない……」

 稀子は淡々と言う。

「稀子の気持ちも、鈴音さんと同じなのか?」
「稀子……教えてくれ!」

「……私と似ている部分は有ると思うけど、りんちゃんの場合は生真面目だからね!」
「責任で動いている部分も有ると思う」

「責任か…。一番聞きたく無い言葉だな」

「鈴ちゃんの家にも、問題が起きちゃったからね」
「それもタイミング悪く、山本さんとほぼ同時期に……」

「あの時の鈴ちゃんは『知らない相手と結婚する位なら、比叡さんの方がマシ!』だっと思う!」

「あの時の鈴音さんは、そう思っていた可能性も有る訳か」

「でも、良かったじゃん!」
「比叡君は挫折しても、今思っている夢が叶えられるのだから!」
「私は比叡君が好きだから、比叡君の就農をお手伝いしたんだよ♪」

「それは、凄く感謝している。稀子」
「でも、異性として失格の言葉を聞くと辛いよ…」

 すると、稀子はいきなり笑い出す!?

「あはは!」
「ウジウジ虫の比叡君だった頃から、さなぎに変わろうとしたから、私は見直した!!」
「今では、少し異性としても見ているよ///」

 笑顔で恥ずかしそうに言う稀子。
 あの時の頃と比べれば、確実に成長はしていると自分でも思う。
 でも、それは自分の力では無く、特に真理江さんからの支援で、俺は此処まで成長出来た。

 保育士通信講座の案内から始まり、九尾きゅうおでの生活。
 更に保育士を諦めた直後に、職業訓練や更に就職先までの紹介を、真理江さんはしてくれた。

「真理江さんには本当に感謝しきれないな」
「壁にぶつかった時に、必ず真理江さんに助けて貰っている」

「それだけ、おばさんに気に入られていた証拠だよ!」
「おばさんも、比叡君の様な子を望んで居たのでは無い!?」

「俺みたいな子か…。俺自身で言うのも何だが、本当のダメ人間だぞ」

「そのダメ人間が真人間に変化したのだから、真理江さんの教育は成功だよ!」
「鈴ちゃんと言う、立派な女性もお嫁さんに出来るのだから!!」

「間違っては無いかもな!」
「母性本能で俺を好き成った鈴音さんだとしても、今でも側に居てくれる」
「思いたくは無いが……鈴音さんが俺の側に居るのは、真理江さんを思ってか?」

「それは……鈴ちゃんに聞くしか無いけど、多分教えてくれないと思うよ」

「普通はそうだわな!」

『次は○×~~、○×、終点です!』

 車内のスピーカーから、次が終点の車内アナウンスが流れる。

「…比叡君! この話は終わりにしようか!!」
「私の本当の気持ちも聞けて良かったでしょ!!」

 嬉しそうに言う稀子だが、出来れば、聞きたく無かった。
 俺の中では鈴音さんと稀子から好かれて、この様な関係が出来たと思っていたからだ。

(色々な物が絡み合って、俺の人生が今出来ているし、今度は更に稀子の地域や農業に関連する物も絡んでくる…)

(大変な人生なのは目に見えているが、鈴音さんや稀子。更に稀子の両親も居る)
(周りの協力も貰いつつ、自分で考え・動く事も、もっと必要だ!)

 俺はそんな事を考えながら、静かに寝息を立てている鈴音さんを起こした。
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