偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第217話 どれが彼女の本音!? その2

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「稀子の家は農家だから、稀子の親からの紹介で俺は就農が出来るのか!」

 稀子の言葉で、俺は先走った事を言ってしまう。
 けど…、そんな簡単に出来ない事は直ぐに気付く!

(待て、待て!)
(農地を借りる手続きが色々と大変な事を、職業訓練時代の座学で習ったではないか!)
(稀子はその辺の知識が無く、今まで見た経験で言っているから鵜呑みは駄目だ!)

「おっ、比叡君、頭良いねぇ~~」
「簡単に言えば、そんな感じ♪」

 暢気に言う稀子…。行政の続きの大変さを稀子はまだ知らないのだろう。
 親に頼めば何とか成ると……けど、稀子に頼るのも1つの手かと考える。

「それだと、地の利を理解している稀子や知っている鈴音さんも安心出来るし、波津音市はずねしにも近いから、鈴音さんも受け入れてくれるかも知れないね」

「比叡君が本気なら、近日中に両親に相談してみるよ♪」

 稀子の言葉は本気で有る様だ。
 一気に就農が……現実味を帯びてきた!

「俺としては農業法人で勤め続けるより、出来れば就農したい」
「それに稀子の両親が協力してくれるのなら、知らない土地で就農するより遙かに良い!」

 今、勤めている農業法人は俺が半人前のも有るが、他の先輩社員が自立(就農)した話は聞いた事がないし、話題にも成らない。
 俺の勤めている農業法人の規模は年々大きく成っているらしく、それに伴い社員も増えていると上役から聞いた。

 けど、この農業法人は担い手にないてを従業員として雇い、自立(就農)を促す所では無い感じがした。
 社会保険も完備されており、そのため、普通のサラリーマンと何ら待遇は変わり無かった。

「うん!」
「比叡君の気持ちは分かったけど、……問題はりんちゃんだね!」

「鈴ちゃん。さっきの話を聞いていたと思うけど、鈴ちゃんの気持ちはどう?」
「私の地区で、比叡君と農業をするのは?」

 ずっと無言だった鈴音さんが、やっと口を開く。

「……話が、飛躍的過ぎますね!」
「私がどうこう依りも、まだ半人前の比叡さんを、稀子さんの両親に委ねるのですか?」

 鈴音さんは反対寄りの意見を言う。
 やはり……鈴音さんは俺と農作業はしたくないのか。

「鈴ちゃん…。私が両親にお願いしても直ぐにはムリだよ…。相談したからと言って、数日で決まる物では無い」
「私の家は……比叡君を雇う規模でも無いし、そもそもお給料を満足に出せない」

「……話が矛盾していますよ!!」

 きつめの口調で言う鈴音さん!?
 あなたは何がしたい!?
 本当に俺を当て馬にするつもりか!??

「えっとね、良く聞いてね。鈴ちゃん…」

「初めから聞いていますが……」

 思いっきり不満げに言う鈴音さん。
 あの天使の微笑みをする鈴音さんは、何処に行ってしまった!!

「さっき言った通り、私は両親に比叡君と鈴ちゃんの事を相談する」
「それを聞いた両親は、地区の有力者や組合の所に話を持って行くの」
「有力者や組合が比叡君の事を了承すれば、土地を借りるか地区の農事組合の担い手(職員)に所属する流れに成る……」

「えっ!?」
「稀子…。稀子の地区で就農では無いの??」
「担い手とは聞いて無いぞ!!」

 稀子が話している内容に食い違う事に気付いて、俺は慌てて質問をする。
 就農の話なのに、農事組合法人が出てくると成ると話が違うからだ。

「比叡君!」
「私は協力するとは言ったけど、就農させるとは言ってないよ!!」

 ここで逆ギレをする稀子!?
 鈴音さんからも詰め寄られて、俺からも問い詰められたから、稀子の許容範囲を超えてしまった。
 それでも、稀子は冷静を装いながら話を続ける。

「勿論、比叡君に農地を貸してくれる人が居れば、比叡君は就農が出来るけど、私の地区も高齢化と過疎化が進んでいて、農業法人が進出しているし、地区の農事組合法人も有る」

「そりゃあ……、私だって比叡君には就農して欲しいけど、鈴ちゃんの言う通り、の比叡君に土地を貸す奇特な人は居ないと思う」
「比叡君に農地を貸すなら、法人委託や組合に託すから……」

「……なら、稀子。俺はどうすれば良い」
「折角、稀子の実家が有る町に行っても今と同じ様な仕事だと、無理をして行く必要が無いでは無いか……」

 俺も冷静を保ちながら言うが、ぬか喜びの事も有って、怒りを感じ始めていた。

「そんな事無いよ! 比叡君!?」
「農事組合法人の担い手に成ったら、地区を束ねる事に成る訳だから、色々な面で全然違うよ!」

「そうは言うが稀子。それでは、今と変わらないでは無いか!」
「稀子の家は法人委託もしていないし、農事組合法人の組合員では無いのだろ?」

「組合員だったら、農地を託してしまうからな!」
「そんな都合良い展開が、本当に起きると思っている!?」

「そっ、それは……両親に相談してみないと……」

 稀子はたじろいだ表情に変わってしまう。

「それに……農事組合法人は、地区のお偉いさんが仕切って居るのだろ」
「そんな所……俺みたいな能力では相手にされないよ!」

「うっ……」

 言葉を詰まらす稀子。稀子の案は無謀過ぎる……
 有る程度の農業知識は持っているが、俺だってその辺の部分は座学で習った。
 暗礁に乗り上げて座礁してしまった……
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