偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第216話 どれが彼女の本音!? その1

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「……普通の生活?」
りんちゃん! 急にどうしたの!?」
「今まで、そんな事なんて言った事無いのに!!」

 稀子も鈴音さんの発言で驚いている。
 俺だって、驚いた……

「2人共黙っていて、ごめんなさい……」
「孝明さんが交通事故を起こして加害者に成り、更にお父さんの事件が有ってから、色々と考える様に成ったのです…」

「私が比叡さんを選ばなければ、意気盛んな美作家の鈴音で生活して居るでしょう」
「孝明さんの理不尽な内容を受け入れて、我慢しながらの生活をしている筈ですが、政略結婚のイベントは起きません……孝明さんが居ますから」

「今の私は比叡さんを選んだ事により、庶民の美作家に成ってしまいました」
「お母さんの話を聞きますと…、本家との関係は形式上だけと成り、季節の行事事からの誘いは無く成ったそうです」
「お母さんは少し残念がっていましたが…、私はそれで良いと感じました!」

「分家でも力を失った美作家は、本家から疎遠に成り、そのまま普通の生活が出来るのかなと感じましたが……孝明さんが復讐に来ました」
「今回は、山本のお母様からの依頼ですから、私は直接の関係は有りませんが、間接的に本家から恩を売られてしまいます」

「本家は先ほど言った様に厄介な存在です。味方の内は良いですが、敵に回すと何をされるかは分かりません」
「比叡さんと結婚をすれば私は青柳鈴音と成り、美作家の一員では無く成ります」
「お母さんには悪いですが、私はこの生活に疲れました……」

 鈴音さんは、うなだれながら言う。
 鈴音さんも色々悩んでいただろうが、そんな風に考えていたとは……

(これって、俺は当て馬…!?)
(でも……鈴音さん俺の事が好きだし性行為もした)
(それに俺も鈴音さんは大好きだが、何故か引っ掛かりまくる!?)

「……鈴ちゃんの言っている事は、間違っては無さそうに聞こえるけど、鈴ちゃんらしくない発言だね!!」
「さっきの鈴ちゃんの言葉は、独り善がりに聞こえてしまった……」

 まだ、稀子の頭は冴えている様だ。
 俺も黙って聞いていたが、少し自分勝手過ぎる。
 やはり……お嬢様気質だから、お嬢様の本性が此処で出て来たか!

「鈴音さん…」
「鈴音さんの考えは俺の嫁と成り、美作家を捨てて俺と生活をして行くで良いのですか…?」

「はい…。その方が比叡さんにも絶対良いと感じます!」
「下手に婿に成って、本家・分家の関係を続けるより、遠縁の関係の方が遙かに気楽です!!」

「それは、そうですよね。鈴音さん…」
「結婚式の時に本家の人間とは顔を合わすだろうが、それ以外は青柳家と美作家の関係だろうし、その方がメリット大きい訳か」

 鈴音さんは母親を裏切る流れに成りそうだが、俺も本家の正体を知ってしまったら、積極的な関係を構築したいとは思わない。
 最初は自分勝手な案に聞こえたが、却ってこの案の方が良いかも知れない。
 しかし、俺には問題が1つだけ有る……

「鈴音さん。俺は今、農業法人で働いていますが、将来的には自立も考えています」
「鈴音さんの婿に成れば、土地等を本家の力で借りられますが、そうで無ければ行政の力を頼って就農する流れに成ります……」

「そうなると、都市部近郊での就農は難しくなり、どうしても地方に成りますし、農業は1人で出来る物では有りません!」
「鈴音さんに以前協力を申した時は、難色を示しましたが、今度こそは協力してくれますか…?」

「!!」
「……」

 鈴音さんに協力を申し出るが、鈴音さんは返事をしない。
 其処まで、鈴音さんは考えては居なかったのだろう……
 最後の最後で暗礁に乗り上げてしまった……

「比叡君……」

 鈴音さんが無言で考えて居る間、稀子が話し掛けてくる。

「どうした、稀子…」

「比叡君のさっきの言葉本気マジ?」

 稀子は真剣な表情で聞いてくる。

「就農の事…?」
「うん…。稀子が以前言った通り、今は修行だと思っているから」

「鈴音さんの婿に成ったら、美作家の今後も有るから就農は非現実的に成るが、嫁に成ったら確実な方法で、家庭を守って行かなければ成らない」
「そうすると、俺には就農の道しか無い」

「比叡君の中では『農業で覚悟を決めて進んで行く』と、受け止めれば良いのだね!」

 何故か、急に笑顔に成って話す稀子?

「よし♪」
「比叡君が本気なら、私も協力するよ♪」

「協力?」
「鈴音さんを説得する協力??」

「それも有るけど……私の実家忘れたの? 比叡君……」

「あっ……」

 稀子の言葉で思い出す、稀子の実家を……
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