偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
212 / 434
【R-15】鈴音編 第2章

第210話 今後の対策!? その5

しおりを挟む
 鈴音さんと真理江さんが居間で話している間、俺は稀子の晩ご飯の手伝いをしている。
『こんな時間から料理を作るのか!?』と感じたが……実は料理の半分はもう出来ていた!?

りんちゃんと比叡君がデートに行って、私1人だったからね!」
「おばさんと居間に居ても、変な緊張をするし、自室に居ても暇だから!!」

 そんな理由で、稀子は早々カレーを仕込んでいたらしい。
 稀子の得意分野は揚げ物だが、カレー等の煮込み料理を鈴音さん以外が作ってはいけない等のルールは無い。
 カレーが大体完成した所で、真理江さんに警察から電話が来て、稀子もそれに付いて行った流れに成る。

「今晩はカツカレーとサラダだけど、変な験担ぎに成りそうだね。比叡君……」

 稀子は困った笑顔で言う。
 それは山本(孝明)さんに勝つの意味と、捉えて良いのだろうか?
 カレーはほぼ完成しているが、豚カツをまだ揚げてないのとサラダの用意も出来ていないので、俺がサラダを作って、稀子がカレーの最終調整をしつつ豚カツを揚げる流れに成った。

 お互いが晩ご飯の準備を進めていると……

「ふぅ~~」

 稀子が豚カツを揚げながら、ため息をつく。

「稀子も今日は疲れただろう……」

 稀子に労いの言葉を、俺は掛ける。

「確かに疲れたけど…、りんちゃんとおばさんの話は進んでいるのかな?」

「それは何とも言えないね。盗み聞きする訳には行かないし」

 俺はサラダのキュウリを切りながら言う。

「しばらくは山本さんも、鈴ちゃんや比叡君を襲えない筈だろうけど、本当に再度来たら恐いね」

「恐いどころでは無いよ。稀子!!」
「今の山本さんなら母親で有る、真理江さんも平気で殺しそうだ!?」
「それも…、笑いながら……」

「比叡君…。それ、完全にホラーの世界だよ……」
「歴史に残る事件になるよ……」

 それを聞いた稀子は、怯えた表情になりかける。

「一番の理想は自分のした過ちに、山本さんが気付けば良いのだけど……」

 俺は稀子にそう言う。

「余程、悔しかったんだね。比叡君に鈴ちゃんを盗られた事が……」

「それしか無いよな…。稀子」

「うん。それしかない!」
「鈴ちゃんも奥手の部分も有るけど、比叡君だけには積極的に成った!?」
「何故かは判らないけど……」

 稀子は揚がったばかりのカツを皿に乗せながら言う。
 カツももうすぐ揚げ終わるし、サラダもほぼ完成だ。

 鈴音さんがその様な行動を取ったのは『ささやかな仕返し』から始まっている。
 “ささやか”が超大事に発展するとは、当時の鈴音さんや俺も予測出来なかった。

 何時もだったら、直ぐに食べられる様に盛り付けに入るが、鈴音さんと真理江さんはまだ台所には姿を見せない。

「比叡君。片付けられる所は片付けようか!」
「カレーだけど、温かい方が美味しいから」

「そうするか…」

 盛り付けは2人の顔を見てから行う事にして、片付けられる物から片付けに入る。
 十数分で片付けは終わるが、まだ2人は台所に姿を見せない。

「カレーだから温め直せば平気だけど、豚カツが冷め過ぎるのはよろしくは無いな!」

 冷めていく豚カツを見ながら、稀子は言う。カツ類は揚げたてが一番美味しい。
 最終的にはカツカレーに成るのだから、冷めても構わないが、稀子も作ったプライドが有るのだろう。

「比叡君!」
「呼びに行くか『ご飯出来たよ~~』と!」

 俺も昼食以降、固形物は口にしていなかったから、こんな状態でもお腹は空いていた。

「そうしようか。稀子!」
「どんな話をしているかは判らないが、平行線だったら何時まで経っても晩ご飯に出来ない」

「よし!」
「じゃあ、2人で呼びに行こう」

 俺と稀子。
 真理江さんと鈴音さんが居る、居間に向かう。
 暖かい時期だけど、話を聞かれたくは無いのか戸は閉められていた。

 普段ならノックしないが、真剣な話をしている事は分かり切っていたので、俺はノックをする。

『コン、コン』

「晩ご飯の用意が出来ましたが……」

「鈴ちゃん。おばさん! ご飯だよ~~」 

 俺はノックをしながら用件を言い、稀子も言う。
 
「……はい」
「今から、向かいます」

 直ぐに部屋の中から、真理江さんが返事をする。話は済んだのだろうか?
 しばらくすると、真理江さんと鈴音さんが部屋から出て来る。

「大体話は纏まりましたので、食事をしながら話をしましょうか」

 真理江さんはそう言って、台所に向かう。
 俺は同時に鈴音さんの表情を見るが、何故か安心した様な表情をしていた?

(山本さん対策で、良いアイディアでも生まれたかな?)

 俺はそう感じながら、稀子と台所に戻った……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

処理中です...