偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
210 / 434
【R-15】鈴音編 第2章

第208話 今後の対策!? その3

しおりを挟む
りんちゃんは、そこまで山本さんが嫌いに成ってしまったんだ…」

 稀子は悲しそうな表情で言うが、鈴音さんが一蹴する!?

「……稀子さんも一度経験すれば、見方が変わりますわ!」
「死を感じた時に、そんな事を言えれば、それは本当の愛です!!」

「……」

 稀子は黙ってしまった。
 鈴音さんも少し攻撃的すぎるが俺としても、稀子も山本さんとは距離を開けて欲しい。

「稀子…。俺からもお願いだ」
「山本さんは完全に俺と鈴音さんを敵視しているし、更に復讐の計画も立てている」

「今、この場で言うべきでは無いが…、近いうちに俺と鈴音さんは、この町から逃げ出さなければならない…」

「えっ!?」
「なに、それ!?」

「比叡君。状況が全く解らないよ!!」

 警察署内と言うのに声を上げる稀子。
 警官に却って聞かれても良い話かも知れないが、それを聞かれても山本さんが死刑に成る訳では無い。

「稀子…。静かに聞いてくれ」
「今回この様な事件が起きたのは、俺が鈴音さんを山本さんから奪ったのが事の発端だ」

「山本さんは最終的に交通事故の加害者に成って、その罪を償ったが、俺の事は1%も許して無かった」
「そして、俺に対する仕返しをしようとした」
「けど……今回の事件で鈴音さんが、俺を擁護した影響で鈴音さんも敵視される様に成ってしまった」

「今の住処は完全に山本さんに知られてしまっている」
「山本さんのこれからは不明だが、山本さんが出所や釈放される前に俺と鈴音さんはこの町から逃げ出さなければ、今度こそ山本さんに殺されるかも知れない……」

「比叡君!!」
「お巡りさんに相談してみたら、都合良く警察署内だし!!」

 稀子はそう言うが、此はあくまで俺の推測で有って、この内容を警官や刑事に相談してもなにも対応はしてくれないだろう。
 この国の初動対応は基本、先手では無く後手だからで有る。
 警察に事前相談したにも関わらず、大事に成った事件が実際に幾つも有る。

「あ~~、私のストーカーと同じか!」
「証明出来る物理的な被害が出ない限り、警察は動かないと言う……」

「稀子の言う通りだよ!」
「仮に今回。俺が山本さんに刺されて怪我をしてしまっても、重傷ならまだしも軽傷だったら、素直に殺人未遂が適用されるかは微妙だからね…」

「比叡君。その辺は……状況証拠や怪我の度合いに本当によるよね」
「山本さんの強い殺意を供述させる事が出来れば、殺人未遂に成る可能性は高いけど……」

(稀子は時々、頭の回転が良く成る時が有るんだよな)
(普段から、こうで有れば良いのに……)

「数ヶ月はこの町に居られる筈だけど……次の逃げ場所を探さないと行けない…」

「ねぇ、比叡君はそう言うけど、鈴ちゃんからの了解は貰ったの?」
「鈴ちゃんだって、山本のおばさんからは離れたくないだろうし、おばさんだって悲しむのでは無い?」

「まだ貰っては無いけど……鈴音さんだって、俺の考えに賛成ですよね!?」

 状況を理解出来ている鈴音さんなら、素直に賛同すると感じていたが……

「……比叡さんの言って居る事は、間違ってはいません」
「しかし……逃げる場所なんて有るのですか?」

「えっと、それは鈴音さん……。これから考える所」

 俺が回答に困っていると、鈴音さんが真剣な表情で話し出す。

「比叡さん! はっきりと言います!!」
「逃げると言いましても波津音市はずねしは論外ですし、比叡さんの実家が有る町も無意味に等しいです!」
「比叡さんは簡単に逃げると言いましたが、まだ半人前の状態で、新しい生活が出来ると思っているのですか!?」

(これは、手厳しい発言だな!)

 鈴音さんも俺との将来を考えている。
 命は惜しいと感じているが、現実にもきちんと目を向けている。
 海外に逃げるのが一番確実だが、逃げた所で今までの生活は出来ないだろう……

「比叡さん…。少しきつい言葉を言ってしまいましたが、お母様と一度相談してから決めましょう」
「お母様だって、今回の事をかなり悔やんでいる筈です」


「息子が再犯を犯すのだし、本家の監視の甘さも問題に出てしまった」
「真理江さんが山本さんとは、縁を本当に切ったかは判らないけど、真理江さんの考えも聞いてみるべきか…」

「それしか方法が無いと思います。比叡さん!」
「私のお母さんに相談しても、今のお母さんは普通のお母さんです」
「一応、美作家の形は有りますが形だけです…」

「私としては……逃げるよりも、戦う事も選択に入れるべきだと感じるがな!」

 稀子は、とんでもない事を言う!?

「戦う!?」
「山本さんと!? 冗談はよしてくれ稀子!!」

「比叡君と鈴ちゃん!」
「おばさんだって、もうお店も無いし、おばさんに出来る事だって鈴ちゃんのお母さんと同じ位だと思う」

「山本さんが其処まで執念深ければ、例え国内の何処かに逃げたって、必ず探し出すと思う……」
「現に今回だって、場所がバレてしまった」
「本当に戦うかは別にして、その選択肢も考えるべきだと私は思うよ!」

 逃亡若しくは戦闘……
 こんな事を考える羽目に成るなんて、俺の人生は何処で狂ったのだ……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。……これは一体どういうことですか!?

四季
恋愛
朝起きたら同じ部屋にいた婚約者が見知らぬ女と抱き合いながら寝ていました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完結】双子の伯爵令嬢とその許婚たちの物語

ひかり芽衣
恋愛
伯爵令嬢のリリカとキャサリンは二卵性双生児。生まれつき病弱でどんどん母似の美女へ成長するキャサリンを母は溺愛し、そんな母に父は何も言えない……。そんな家庭で育った父似のリリカは、とにかく自分に自信がない。幼い頃からの許婚である伯爵家長男ウィリアムが心の支えだ。しかしある日、ウィリアムに許婚の話をなかったことにして欲しいと言われ…… リリカとキャサリン、ウィリアム、キャサリンの許婚である公爵家次男のスターリン……彼らの物語を一緒に見守って下さると嬉しいです。 ⭐︎2023.4.24完結⭐︎ ※2024.2.8~追加・修正作業のため、2話以降を一旦非公開にしていました。  →2024.3.4再投稿。大幅に追加&修正をしたので、もしよければ読んでみて下さい(^^)

大好きな背中

詩織
恋愛
4年付き合ってた彼氏に振られて、同僚に合コンに誘われた。 あまり合コンなんか参加したことないから何話したらいいのか… 同じように困ってる男性が1人いた

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。 どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。 2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。 ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。 あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて… あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?

処理中です...