偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
207 / 434
【R-15】鈴音編 第2章

第205話 悪夢の再来 その3

しおりを挟む
「孝明さん…。再度、罪を償ってください」
「今なら、まだ間に合います……」

「敏行……。間に合うも糞も無いのだがな……」
「母親にも見捨てられ、帰る場所は変な飯屋に成っていて、敏行や仲間も俺を裏切った……」
「長井(鉄工所)まで縁を切ってきた時は、流石に暴れてやったがな!」

「僕にとっては比叡を殺すしか…、生きがいが無いのだよ……」

(仲間を失い、自暴自棄に成るのは理解出来ない事は無いが……山本さんはやり過ぎた)

 俺は迂闊に山本さんに声を掛ける事は出来ないが、此処で鈴音さんが山本さんに話し掛ける。

「孝明さん…。稀子さんをストーカーしていたのは孝明さんですか…?」

 偽装していた山本さんに、俺が道を聞かれた日の晩。
 稀子からストーカーを受けている話を聞いた。
 その翌日から、稀子から姿を急に消したのは、山本さんが俺を見付けたから、稀子にストーカーをする必要性が無く成ったからだ。

「……あぁ。そうだよ。馬鹿女は警戒心が無いからな!」
「凄く簡単に、比叡を見付ける事ができたよ」

 山本さんは不気味に笑いながら言う。
 俺は思わず身震いする!!

「……最低ですね」
「稀子さんを馬鹿女呼ばわりするのも許せませんが、どうして、此処までして比叡さんを恨むのですか!」

「比叡を恨む?」
「お前も対象だよ! ビッチが!!」

「!!!//////」

「お前らの幸せは必ず潰す!!」
馬鹿女めるこは……馬鹿女だからな!」

「アレを殺しても、犯しても、僕は快感を得られないから、アレはアレでお終いだ」

 元彼女の鈴音さんに向けて言う言葉では無い。
 俺は酷く怒りを感じたが……殴り合いで勝てる相手ではない。
 山本さんが更に言い掛け様とした時に、パトカーが横付けで到着する。
 パトカーから飛び出す様に出て来た2人の警官は、俺達の方に向かって来る。

「刃物を持った男が、人を刺そうとして居るとの通報を受けましたが!」

(……山本さんですと言いたいけど、言いにくいな)
(山本さんを此処まで追い込ませたのは、俺にも有る訳だし……)

「この人です!」
「この人が、私の彼氏を殺そうとしていました!!」

 鈴音さんが、甲高い声で言いながら山本さんを指す!!

「彼氏…?」
「では、え~~、女性の方はこちらの男性の方と付合っていると…?」

「はい!」
「刺そうとした人は、私の元彼です!!」
「私が一方的に振ったので、この様な事が起きてしまいました!!!」

「???」

 鈴音さんの話を聞いている警官は、理解できていないようだ。

「君は、何処か怪我をしたかね?」

 もう1人の警官が、俺の状況を聞いてくる。

「怪しい感じがしましたので、避ける事が出来ました!」

「そっ、そうか…!」

 俺が怪我をしていない事を聞いた警官は、鈴音さんの方に居る警官に向かう。

「何だこれ? 痴情の縺れもつか!」
「被害者も出ていないし、どうする?」

「……被害者は出ていないが、ナイフを持っていた以上、其奴を銃刀法違反で検挙するしか無いだろう」

 警官2人は、何か打ち合わせをして居る感じで有った。
 山本さんがナイフを持って暴れていたら、有無言わずに現行犯逮捕だが、ナイフは俺が持っているし、警官が到着して最初に見た現場は、男女間のトラブルにしか見えないからだ。

「1台では乗り切れないな…。応援呼ぶか……」

 警官の1人がパトカーに戻り、もう1人が俺達に向かって来る。

「詳しい話を聞きたいので、署まで同行願います…」

 警官はそう言うが、山本さんを銃刀法違反で逮捕をしようとはしない?

「あなた達カップルと、コートの男と……君もかね?」

 警官は敏行さんを見ながら言う。

「この人の親友です…。親友が危険な行為をしようとしていたので止めさせました」

「……」

 警官は『面倒な事件を引き受けたな…』の表情をしていた。
 山本さんも逃げ出さないし、警官も対応に困っている感じで有った。

 しばらくして、応援のパトカーが来る。
 俺と鈴音さん、敏行さん。山本さんは別のパトカーに同乗して警察署に向かう。
 デートは台無しにされたうえ……山本さんは俺と鈴音さんを完全に敵視したし、今後の事を考えると不安で堪らなかった……

 ……

 警察署で俺と鈴音さん、敏行さん、山本さんがそれぞれ取調べとりしらを受ける。
 山本さんが銃刀法違反で逮捕されるのか、殺人未遂で逮捕されるのかは不明だが、鈴音さんは山本さんを強く糾弾していた……
 稀子を馬鹿にした事も有るだろうが、それでも鈴音さんは珍しく感情的に成っていた。

 俺は成人だが鈴音さんが未成年の為、保護者による引き取りが必要らしく、警察から真理江さんに連絡が行っている。真理江さんと鈴音さんは本当の親戚関係だから問題は無い。
 真理江さんも、再度息子が事件を犯したのだから、複雑な心境だろう……

 当然、稀子も知る事に成るし、真理江さんと稀子も俺達が居る九尾きゅうお警察署に向かっているだろう。
 俺と鈴音さんの取調べは1時間位で終わり、後は真理江さん待ちで有る。
 この生活はどうなるのだろうか……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。 隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。 私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。 辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。 本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。 辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。 辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。 それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか? そんな望みを抱いてしまいます。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 設定はゆるいです。  (言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)  ❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。  (出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

処理中です...