偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
206 / 434
【R-15】鈴音編 第2章

第204話 悪夢の再来 その2

しおりを挟む
「死ね~~~」

 山本さんはナイフを突き出して、俺と鈴音さんに向けて突進して来た!
 俺と鈴音さんどっちだ!?

 俺が状況を判断している間に……

(しまった! 鈴音さんだ!!)

 俺が気付いた時には、山本さんは鈴音さんに向かっていた!!

「きゃぁぁぁ~~~!」

 鈴音さんは逃げようとはせずに、只悲鳴だけを上げている!?

「逃げて、鈴音さん!!」

 俺はそう言うが、鈴音さんの足が動かない!
 恐怖で固まってしまったか!?

「クソッ!」

 俺は玉砕ぎょくさい覚悟で山本さんに向かうが、山本さん上手に身を避ける!?
 彼の最初の攻撃は、絶対に鈴音さんを刺し殺す気満々で有った!!
 鈴音さんも其処まで憎いのか!?

「死ね~~~、鈴音!!」

 山本さんの復讐じみた声が、町中に響く!!

「!!!」

「!!!」

『ドン!』

 鈴音さんが刺される直前、山本さんに目掛けてタックルしてくる人物がいた!
 その人物のタックルは見事に決まり、山本さんとタックルをした人物が共に地面に転げ回る。
 その衝撃でナイフが再び地面に落ちたため、今度はすかささず俺は回収に入る!

「よし! ナイフ回収!!」

 俺は山本さんの持っていたナイフを回収する。

(此さえ回収すれば、山本さんはどうする事も出来ないだろう……)
(最後は手や足を使って来る可能性も有るから油断は出来ない!)

 道の遠くからはパトカーのサイレン音は聞こえており、後数分で到着する筈だ。
 これで、事件は収束に向かうと思うのだが……

「阿呆の正義マンが、僕の行為を邪魔しやがって!!」

 山本さんは、起き上がりながら声を荒げる。

「……いい加減にしてくださいよ。総長いや、孝明さん…」

「……! 敏行!!」
「何故……貴様が、其処に居る!!」

 タックルをした人物は同じ暴走族仲間で有る、元副総長の敏行さんで有った!
 敏行さんは山本さんに話し始める。

「孝明さんが……出所してから、ずっと監視をしていた」
「勿論、俺だと直ぐバレるから、孝明さんに面識が無い人で監視していた」

「……余計な事をするな!」
「敏行…。これは、僕と比叡の問題だ!!」
「お前の出る幕では無い……」

 山本さんは敏行さんにそう言うが……

「勘弁してくださいよ! 孝明さん…!」
「あなたが問題を更に起こすと、俺達まで“とばっちり”が来る!!」

「前回の件は、総長いや孝明さんの交通事故だけで済みましたけど、今回は完全に常軌を逸脱しています!」
「あの時の時代の様に、未成年で起こす事件では無いのですよ…」
「その辺の部分も理解してから、行動してください」

 敏行さんは山本さんに説教を始めるが……

「敏行! 何だ、急に大人ぶりやがって!!」
「あの時の敏行だって…、比叡を拉致る気、満々で有ったでは無いか!!」

 逆ギレする山本さん。

「拉致…。そうですね……」
「もし、あの時…。孝明さんが事故を起こさなければ、俺と孝明さんは今でも、塀の中で過ごして居るかも知れませんね……」

(拉致!?)
(鈴音さんと逃亡旅行をおこなった時、山本さんは本当に俺と鈴音さんに、“お仕置き”と言う拷問を加える気だったのか!!)

(運命は……本当に解らないな)

「……孝明さんの性格上、青柳さんを許す事は無く、絶対に仕返しをする事は分かりきっていたから、機会を覗っていたが……こんな短期間で行うとは…」

 パトカーのサイレン音が間近に成る……
 山本さんは逃げる素振りを見せないし、敏行さんが居るから、俺と鈴音さんにも攻撃は仕掛けて来られない

「……」

 山本さんは鼻でため息をつく。
 やっと、観念したのだろうか…?

 いや、全くしていなかった!?
 俺の方に睨みを利かせながら顔を向けてくる!!

「比叡……」
「僕は絶対に、君に仕返しをする!」

「今回は敏行に邪魔されたが、何時か必ず、君には死んで貰うから…」
「僕の人生を台無しにして置いて、君だけがハッピーライフを送るのは公平では無いからな!」

「君には“死”と言う公平を与えないと…!」

(この人……本気マジでやばいよ!)
(頭が完全に逝かれてやがる!!)
(俺に鈴音さんをとられたのが、余程悔しかったのか!!)

 話を聞いていた敏行さんは、此処で山本さんに強く言う。

「孝明さん! あなたはもう成人ですよ!!」
「何時までも、暴走族ヘッド時代の余韻に浸っていないでください!!」
「孝明さんがやっている事は、殺人行為ですよ!!」

「僕を見捨てた割には……良く言うね。敏行…」
「何故、そこまで比叡の肩を持つ!?」

「孝明さん…。男女の関係に、俺達を巻き込まないでくださいよ!!」

「話しは全て、知っているんです!!」
「孝明さんの私怨が、全ての原因で有る事が!!」

「あなたの私怨のために、どれだけの仲間が、あなたのために時間をいたのを知っていますか!?」
「青柳さんが道理に反した事をしたとは言い切れないし、孝明さんの面子のためがだけに、あなたは仲間を私物化した!!」

「俺はそれが許せなかった……」
「元総長の女問題で、仲間を足に使った事が許せなかった……」

「あの時に……俺は、気付くべきだったが、俺も族時代の余韻を捨て切れていなかった……」

「……」

 敏行さんが事実を知っている事で、山本さんは反論出来ないで居る。
 孤立無援の山本さんはどうするのだろうか……?
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

処理中です...