偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第197話 意外な結果!?

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 それから……しばらくの時が過ぎて。

 遂に今日は職業訓練校、選考試験の結果発表の日で有る。
 と言っても、郵送でしか結果を知る事が出来ないので、俺は何時も通りアルバイトに向かう……

 アルバイトも無事に終わって、真理江さんの家に戻り、居間に顔を出すと…、保育士学科試験結果時と同じ様に、全員が俺の帰りを待っていた。
 俺の顔を見た途端、真理江さんでは無く、鈴音さんが声を掛けてきた。

「お帰りなさい…。比叡さん」
「比叡さん宛に、郵便物が来ていました」

 鈴音さんはそう言いながら、俺に郵便物を手渡す。
 言うまでも無く、その郵便物は職業訓練校からだった……

「あっ…ありがとう、鈴音さん」
「そして、ただいま」

「……受かっていると良いですね」

 言葉ではそう言う鈴音さんだが、表情は暗かった……
 もしかして、事前に見た?
 郵便物に開封痕が有るか思わず見てしまうが、開封痕は無かった。

(お役所だから、てっきり定形外の郵便物で来るかと思っていたが、一般的な定型内郵便か…)

(合格なら詳細が書かれた用紙が入っている筈だから、厚みも有ると思うが、厚みも全然無いな…)
(これは……本当に落ちたか!)

 俺も何社か、社員採用試験を受けた事が有るが、採用と成ると分厚い郵便物が来るが、不採用の場合は本当にペラペラの郵便物で来る。
 俺は過去の経験から、これは不合格だと察知してしまう!!

(うぁ~~、開けたくないな)
(こんなの自ら、絞首台に向かうのと変わらないよ!!)

 俺は郵便物を開けるのを躊躇っていると……

「……結果を見ないのですか」

 鈴音さんは、冷静で冷淡な口調で言ってきた!
 鈴音さんも、俺が不合格なのを覚悟しているのだろう。

「ちょっと、緊張していまして…」
「今から開封します」

 と言った所に……

「はい。比叡君!!」
「ペーパーナイフだよ!」
「大事な郵便物だから、丁寧に扱わないと♪」

 何時の間にか稀子は、ペーパーナイフを用意していた。
 鈴音さんの表情は真っ暗だが、稀子の表情は何時も通りで有った。

「合格だと良いね。比叡君!」

 稀子は笑顔で言う……
 こんな場面の時は、稀子の方が落ち着く……

 稀子の笑顔で心が落ち着いた俺は、ゆっくりとペーパーナイフで封筒を開封していく……
 開封を終えて中味を見るが……、用紙が2枚入っているだけで有った。
 俺は2枚とも用紙を封筒から取りだして、表側に成る部分からの用紙を広げて読んでいく……

『選考試験の結果……受験番号××番、青柳比叡は合格で有る』

「えっ!?」

 俺は思わず声を出す!
 筆記試験で痛恨のミスをしたのに合格で有ったからだ!

「……また落ちたか」
「……比叡君の人生は呪われているね!」

 稀子はそう言ってくるが……

「……違うよ稀子。合格していたんだ!」

「ええぇ~~!!」
「何で、合格で驚きの声を上げるの比叡君は!?」

「筆記試験でミスが有って、駄目かと思っていたのに、合格だからびっくりした…」

 俺は合格と書かれた用紙をみんなに見せる。

「わっ、わっ。比叡君がやっと合格出来た~~♪」
「おめでとう! 比叡君~~♪」

 合格を見た稀子が俺に抱きついてきた!?
 それも鈴音さんの居る前で!!

「私は信じていたよ!」
「比叡君の努力が、何時かは報われると!!」

 稀子は嬉しそうに言って『ぎゅ~~』と俺を抱きしめて来る。
 凄く嬉しいが……俺は思わず鈴音さんの目線が気に成ってしまう。

「……ふぅ」

 鈴音さんは静かにため息をついていたが、それは安堵のため息で有った。

「取り敢えず、おめでとうございます…。比叡さん」

「それと稀子さん…」
「稀子さんも嬉しいのは分かりますが、私の比叡さんを断りも無く抱きしめるのは、如何な者かと……」

「あはは///」
「ごめんね、りんちゃん///」
「嬉しいから、思わず体が動いちゃった!」

 鈴音さんに注意された稀子は、俺から離れるが少し残念!

「青柳さん…。試験合格おめでとうございます」
「私も一安心です。これから始まる訓練の方、頑張ってください」

 真理江さんは母親の表情をしながら言ってくれる。
 真理江さんもかなり、気に揉んでいたのだろう
 恐らく順位で言えば、“どんけつ”だろうが、俺は試験に合格する事が出来た!
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