偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第188話 人生の転機!? その3

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「真理江さん…。悪くは無い話ですが、俺はアルバイト身分なので、職業訓練が受講出来る保証が有りません!」

 この手の職業訓練は、求職者向けに行われている者で有って、態々の農業の就農を目指して居る者の訓練は行って居ない筈だ。
 それに本当に就農等を目指すなら、農業大学等に行くのが筋で有る。

「その当たりも、大丈夫らしいですよ」
「訓練をやり抜く意思が有るのと、訓練終了後は農業関連の業種に就く条件に成りますが」

「真理江さん…」
「職業訓練に関する事は、以前調べた事が有ります」
「授業費等が掛からない事は知っていますが、俺は雇用保険期間の関係で、失業保険給付対象には成らない筈なので、職業訓練をすると生活費を稼ぐ事が難しく成ります」

「その辺の事も大丈夫ですよ。農業法人さんから色々と教えて貰いました」
「青柳さんの様な方でも金額の上限は有りますが、職業訓練受講給付金を申請すれば、職業訓練中の生活維持は出来るでしょう」

「真理江さんは…、今のアルバイトを辞めてでも、農業の職業訓練を受講すべきとの考えですか?」

「私はあくまで、提案をしたまでです」
「青柳さんに興味が無ければ、つらい職業訓練に成るだけでしょうし、人生の大切の時間を無駄にするだけです」

「けど……青柳さんがこの地域に住み続けて、鈴音さんとの関係を深めたいなら、それも1つの手では無いでしょうか」

(この地域に住んで農業か、この地域を捨てて工場勤務か…)

 絶対に後者の方が人生的には楽そうだが、鈴音さんはそれを受け入れはしないだろう。
 俺が工場を選択した時は、鈴音さんとの本当に別れに成るが、果たして稀子は付いて来てくれるだろうか?

(どちらを選択するべきか…?)

「青柳さん。考え中に申し訳ないですけど、もし受講される場合は早めに決断してください」
「受講申し込みが今週末で有って、その2週間後前後に選考試験が有ります」

「青柳さんに、法人さんから貰ったパンフレットを渡しておきます」
「受講を決意したらハローワークに赴いて、受講の申し込みを行って来てください」

 真理江さんはここで、農業職業訓練のパンフレットを俺に渡す。
 俺はそれに早速、目を通す。

(農業に関する知識や、実際に圃場ほじょうに出て、農作業の実習をする)
(先端施設の見学や、作物栽培に必要な知識を身につける)

 パンフレットには何枚か写真も掲載されているが、たのしそうな訓練では無い。
 雨だからと言って、実習が中止には成らないし、夏の暑い時期や冬の寒い時期でも実習は当然有る。
 一番つらいなと感じたのは訓練の内、約7割が屋外(圃場)での実習で有る事だ。

 夏秋かしゅう野菜と言うより、秋冬しゅうとう野菜が中心になるそうだが、キャベツや白菜、ほうれん草等の葉物や、ダイコン、ニンジン等の根菜類。更にはキクの栽培まで有るそうだ。
 耕運機等の農業機械実習も有り、農作業に必要な技能講習も取得出来る機会が有るそうだ。
 内容からして、かなり本格的な職業訓練で有った。

「どうでしょうか。青柳さん?」

 俺が一通り目を通し終えたタイミングで、真理江さんが聞いてくる。

「中々、ハード言うべきですが…。やりがいは有りそうですね…」

「その職業訓練を修了出来たら、先ほどの農業法人さんが正社員で、青柳さんを雇っても良いと言われています!」

「本当に差し出がましいですが……その辺の事を、鈴音さんと相談したらどうでしょうか?」
「これだけの将来設計を言えば、幾ら鈴音さんでも、心を開いてくれるのでは無いのでしょうか……」

(稀子の言う通り、職人肌が好きな鈴音さんなら、許してくれるかも知れないが、俺の方がな…)

 未知の世界に飛び込むのは恐い訳では無いが、保育士を諦めた翌日直ぐに『農業に行きます』は、俺の心の中では処理が仕切れてなかった……
 本当に農業の道を選んだら、もうこの道で突き進むしか無い。

 俺の年齢的に歓迎される年代では有るが、その分期待も大きくなるから、色々な事を本当に覚えなければ成らないだろう。
 その分、給与面や待遇面は良くなるだろうが、俺の今後の人生を全て、農業に振り向けて良いのだろうか…?

「ゆっくり考えてくださいとは言えませんので、早めの決断をお願いします」

「ただいま~~♪」

 真理江さんが言い終えた所に、玄関から稀子の声が聞こえてくる。

「では、この話は終わりにします」

 直ぐに稀子の足音が居間に近づいてくる。
 時間的に大分話していたらしく、稀子が帰ってきた!
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