偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
177 / 434
【R-15】鈴音編 第2章

第175話 大雪が降った有る日…… その5

しおりを挟む
 雪遊びをする事に決めたが、先ずは真理江さんと鈴音さんに、今日はアルバイトを休む事を伝える。二人は居間に居た。
 真理江さんは『そうですか』と言うだけで有ったが、鈴音さんは『やれやれ…』の表情をしていた。

 鈴音さんに休む事を伝えた後、稀子に雪遊びに誘われたので、その事を鈴音さんに伝えると……

「……比叡さんは、稀子さんと遊びたいが為に、アルバイトを休んだのですか!?」

 案の定、鈴音さんの表情は“しかめっ面”に成った。

「そっ、そんな事無いですよ!///」
「アルバイト先が『今日は仕事が無い』と言われたので///」

「……本当ですか!?」
「企業さんが雪で、開店休業に成るものですか…?」

(うぁ…、滅茶疑っているな)
(嘘だけど、こう言わないと真面目な鈴音さんは納得しないし)

「俺のアルバイト先は物流倉庫ですので、荷物が来ないと仕事に成りません。現に高速道路も通行止めに成っている部分がかなり有ります」
「鈴音さん! 俺が嘘をつく人間に見えますか?」

「……分かりました。今回は比叡さんを信じましょう」

(やれやれ。鈴音さんは時々、頭が堅い時が有るからな)

「しかし、稀子さんと雪遊びですか?」
「本当に遊ぶとは……」

 鈴音さんは軽いため息を付きながら言う。鈴音さんは気乗りではないようだ。

「二人で遊んでなさいとは言えませんし、仕方有りませんね…」

(やはり、鈴音さん。俺と稀子を二人きりにはさせたくない様だ)

「それで……、何時から遊ぶのですか?」

「稀子の事だから、今からでは無いのかな?」

「多分そうでしょうね…」

 鈴音さんは再度ため息を付く。本当に嫌そうで有った…

 ……

 長靴と防寒具を着た、俺と鈴音さん稀子は今、真理江さんの庭に居る。
 稀子の最初のプランは、雪だるまを作る事だったが……

「この雪で雪だるまを作ったら、雪合戦が出来ないね♪」
「ねぇ、先に雪合戦をしようよ。体を暖めてから、雪だるまを作ろう!♪」

「稀子。三人では雪合戦は出来ないだろう…。奇数ではチーム分けが出来ない」

 流石にこの年に成って、雪合戦をしたいとは俺は思わない。
 学童保育の世界だって、小学生と混じって俺が、雪合戦をする事は無い筈だ。

「稀子さん…。私は雪合戦が得意では有りません」
「私は雪玉を作るより、を作る方が好きです…」

(この辺が、鈴音さんの可愛らしい所だよな!)

「じゃあ、雪だるまでも作るか…。りんちゃんも比叡君も大人ぶって!」

 稀子が少し拗ねながら言った所に……

『ねぇ、姉ちゃん達。雪合戦するの?』
『俺達も混ぜてよ!』

 小学生男子の声が、俺達に向けて聞こえてくる。
 俺達はその声の方に向けると、三人の小学生が庭向こうの道路側に居た。
 この雪の影響で小学校も臨時休校か…。その言葉に、稀子が直ぐに食い付く。

「おっ! 君達。お姉ちゃん達と勝負する!♪」
「ちなみに私は強いぞ~~♪」

「良いね! やろうぜ! 姉ちゃん!!」
「そっちの髪の長い、姉ちゃんもやるんだよね?」

 稀子は俺と鈴音さんの断りもなく、小学生男子達と雪合戦をする事を決めてしまう!?
 更に小学生の癖に鈴音さんをナンパしてきた! このませガキが!!
 俺はそれを止めると言うか、疑問を持った様に稀子と小学生達に言う。

「君達。雪合戦をするのは良いけど、この家の庭は狭いし、道路上で雪合戦をするのは大人としては感心出来ないな…」

 ここは正論攻撃を言って、雪合戦を諦めさせる作戦だ。
 鈴音さんも表情で俺を応援してくれている。これで、諦めてくれれば……

「大丈夫だよ! おじさん!!」
「近くに空き地が有って其処でするから……おじさんも参加するの?」

 小学生の男子は俺を“おじさん”扱いにして、最後は疑問形で聞いてきた!
 俺はまだ、20代前半だぞ。
 でも……小学生から見れば、俺はお兄ちゃんの年齢では無いのかも知れない。

「君達…。俺はまだ、おじさんでは無いぞ!」

「じゃあ、おじさんも参加なんだね」
「おじさんとお姉ちゃん達、案内するから来て!」

 小学生達は、俺の言葉を聞き流して歩き始める。
 全く、最近の子どもは教育がしっかりされていない。
 この小学校の校長に、文句は言いたい気分で有った。

「比叡さん…。落ち着いて///」
「子どもの言う事に、ムキに成ってはダメですよ。私達の方が大人なんですから///」

 鈴音さんは俺を宥めてくれる。

「俺が学童保育の指導員をしていた時ですら、おじさんとは1回も言われなかったのに…」

 俺が学童保育のパート社員をして居た時は『青柳先生』と呼ばれていた。
 今考えれば、教員の免状も持って居ないのに、どうして『先生』と呼ばれていたのだろう?
 偶々、其処の学童保育所の指導指針だったんだろうか?

「比叡君も大人の割に、まだ心は子どもなんだね♪」
「あの子達は悪気が有って言って居る訳で無いから、許して上げなくちゃ♪」

(稀子には、言われたくは無いな…)

 俺はそう思いながら、鈴音さん、稀子共に小学生の後を付いて行った。
 小学生と雪合戦をするために……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

処理中です...