偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第172話 大雪が降った有る日…… その2

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「……稀子は手伝いもしないのに何故、台所に居るんだ?」
「鈴音さんの手伝いをしないなら、暇で仕方無いだろう?」

 俺は稀子に聞いて見ると……

「んっ…?」
「今日は雪だからね。比叡君!」

「??」

 稀子は意味不明な事を言う。

「今日見たいな日は、部屋に居ても寒いからね!」
「おばさんが居る、居間に居ても良いけど、私はりんちゃん程、おばさんとは会話が弾まないからね!」
「それなら、鈴ちゃんと居た方が気楽だから!!」

「あぁ、そう言う事か…」
「俺達の部屋は、ノーマルのエアコンだけだからな…」

 各自の部屋にはエアコンは一応付いているが、真理江さんの好意で付けてくれた物なので、一番安いシリーズだし、それに冬本番の日に暖房を付けても、部屋は中々暖まらないし、電気代も夏の冷房とは全然違う。
 居間にはエアコンと昔ながらの石油ストーブが両方有って、居間は今日見たいにな日でも、ポカポカで有るだろう。

 それに、俺と鈴音さん稀子は、真理江さんに下宿代を一銭も払っていない。
 払っているのは、実質食事代のみで有る。

 真理江さんは山本(孝明)さんの、交通事故民事裁判に備えて、山本鞄店の土地と家屋を、和風イタリアンレストランをオープンさせたい人に売ってしまった。
 かなりの売却益を得たそうだが、その半分以上は賠償金で消える筈だし、一部の金銭も、山本さんの更生費用に充てられる。

 今住んで居る場所は、真理江さんの妹絡みの家だが、詳細は聞いてない。
 鈴音さんや稀子は別にして、俺は本当に真理江さんの好意で、居候させて貰っている。

「薄ら寒い部屋で一人居るより、人が集まる場所で居た方が良いか知れないな」

「そういう事! 比叡君!!」
「だから、私は鈴ちゃんの側に居る!!」

 稀子はそう言って台所の椅子に座って、スマートフォンを操作し始めた。
 台所だからテレビやラジオも無い。けど、スマートフォンが有れば問題無い訳か!
 今晩は鍋だから、特に手伝いようが無いし、俺も着替え等をしたかったから、一度部屋に戻ることにした。

 ……

 時間は過ぎて、晩御飯の時間……

 今晩は、話の通り鍋である。
 鍋でも色々な鍋が有るが、鈴音さんが作ったのは、寄せ鍋で有った。

『いただきます!』

 みんなで、食事前の挨拶をして鍋をつつく。
 具材は白菜やキノコ等の野菜類、豚肉、魚はタラ等の白身魚では無く、何故かブリが入っていた。

「…鈴音さん。何で、鍋にブリが入っているの?」

 俺の中で、ブリを入れる鍋は聞いた事が無い。
 ブリしゃぶは最近よく耳にするが、この鍋に入っているブリは、一般的な切り身で有った。

「それは……何故でしょうね!♪」

 鈴音さんは、稀子の様な笑顔と口調で言う。

「比叡君は、ブリの照り焼きとかは作らないからね♪」

 稀子は俺を少し小馬鹿にしながら、鍋からブリを取っていた。
 真理江さんも何も言わずに、鍋から小鉢に具材を入れている。

(俺以外は、疑問に思っていない?)
(この地域では、鍋にブリは当たり前の地域??)

「あっ!」

 俺はそう考えて、ようやく気付く!!

「鈴音さん! この地域はブリが有名なんですね!」

 俺がそう答えると、鈴音さんはと答える。

「そうです! 比叡さん!!♪」
「この港では無いですが、この地域はブリで有名な港が有ります!!」
「その御陰で、ブリが安く手に入るのです♪」

「けど、比叡さんは……タラ等の、白身魚系が良かったですか?」
「そうでしたら、次回からはタラ等も用意しますが…」

 鈴音さんは俺がブリを、苦手と思ったのだろう。

「ブリしゃぶも一度だけ食べた事が有るけど、普通に美味しかったし、鍋なら何でも合うのでは無いかな?」
「白身魚は鍋の定番と、俺が勝手に決め付けていただけだから」

「なら、良かったです♪」
「沢山、食べてくださいね。お肉やブリも、まだまだ有りますから♪」

 今晩の鈴音さんは、やけにハイテンションだ!
 鈴音さんと話に区切りが付いて、俺も小鉢に具材を装っていると、稀子が具材を食べながら言う。

「あ~~、美味しい♪」
「ブリも良いけど、鮭が入った鍋も良いね!!」
「今度の料理当番の時は、鮭を入れた鍋を作ろうかな♪」

 稀子は、ご機嫌顔で言うが……

「稀子さん。それは良いですけど、余り立て続けで、鍋をやる物では…///」

 鈴音さんは、困った笑顔をしていた。

(やっぱり、鍋は良いな!)
(正月にもすき焼きをやったが、すき焼きと寄せ鍋では全然、雰囲気が違う!)

 俺はそう思いながら、小鉢の具材を食べようとしたが……

(絶対、ビールに合うよな…)
(鍋とビールの組み合わせは、テレビドラマやコマーシャルでは超定番だ…)

 俺の頭の中で、悪魔のささやきが始まった!?
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