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【R-15】鈴音編 第2章
第169話 新年を迎える その4
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「お母様……何でしょうか?」
鈴音さんは、真理江さんに静かに聞く。
「鈴音さんは、何かを焦っていませんか…?」
「焦っている…?」
「私に、焦る事は有りませんが……」
口調は冷静だが、感情は剥き出しに成り掛けていた。
(真理江さんも、さっさと言えば良いのに……)
真理江さんの言いたい事に、俺は気付いていた。
『稀子を意識しすぎるなと!』
鈴音さんは親友とは言えども、稀子を再度警戒し始めたのだろう。
本当に最近の稀子は、俺とのコミュニケーションを求めてきている。
稀子の性格はあんな性格だ。
関係を深めたいと、稀子が感じた人には積極的に話す。
俺だって例外では無い。元々は恋人関係、1歩手前まで言った関係だ。
俺は稀子には未練は有るが、鈴音さんを裏切ってまで、稀子と関係を深めたくは無い。
あの時だって……稀子が山本さんにアプローチを仕掛けなければ、俺と稀子はそのまま恋人関係に成れた筈だ。
それは鈴音さんも知って居る筈だが、感情が抑えきれないのだろう。
『私は、また捨てられると……』
鈴音さんの心の中では、そう感じて居るのかも知れない。
俺がそんな馬鹿な行為は、絶対しないのに……
「鈴音さん……あなたは、感情を隠せない人です」
「私の顔には全て見えていますよ。稀子さんに対する嫉妬心が…」
「!///」
「私の中では青柳さん、鈴音さん、稀子さんを含めて、一つの家族だと私は思っています」
「鈴音さんも稀子さんも同い年で有って、孝明を取り合った仲でも有ります」
「孝明は社会に迷惑を掛ける行為をして、今はその罪を償っていますが、またその様な事が、青柳さんで起きる事を恐れていませんか?」
「……」
(真理江さんも、回りくどい言い方をするな…)
(この人は、真綿で首を絞めるタイプか!)
鈴音さんは、顔を俯かせて真理江さんの言葉を聞いていたが……反論を始める。
「お母様……私が『そうです!』と言いましたら、どうしますか?」
鈴音さんは睨み付けながら、真理江さんに言う。
さっきの言葉が余程、気に入らなかったのだろう。
「絶対に起きないとは言い切れませんが、鈴音さんは青柳さんを信用出来ないのですか?」
「はい…」
鈴音さんは静かに返事をして頷く。
(俺の信用力は、鈴音さん中では無いんだ…)
(ショックだな~~!)
「……比叡さんはお調子者です!」
「そして、スケベです!」
「比叡さんと稀子さんは、恋人関係に近い仲でした」
「比叡さんが手を出さなくても孝明さんの時の様に、稀子さんは自らアプローチを仕掛ける人です」
「比叡さんは、女性に対する免疫が殆ど有りません」
「稀子さんのハニートラップに何処かで必ず引っ掛かり、またあの時の様な現象が起きると、私は思っています…」
(俺……滅茶苦茶言われているな)
(そんな事は絶対に起きないと、言い切れない自分も其処に居るが…)
「鈴音さんの気持ちも分かりますが、先ずは、青柳さんと稀子さんを信用してみてはどうですか?」
「……信用はしています」
「けど……、お互いが信じられない時も有るのです」
「……」
「……」
俺と真理江さんが少し無言に成った時……
「へい! お待ち!!」
「おでんと焼き鳥盛り合わせね!!」
先ほど、注文を受けた男性スタッフが料理を運んできた。
男性スタッフはテーブルに料理を置いて、席を離れていく。
「真理江さん……時間的に、稀子が戻って来ると思いますが」
注文した料理が来ると言う事は、有る程度の時間は経っている筈だ。
稀子が何を買いに行ったかは分からないが、稀子には聞かれない方がいい話だろう。
「青柳さんは、鈴音さんを信用していますよね?」
「勿論ですよ! 真理江さん!!」
「あの時……先に裏切ったのは稀子ですし、その稀子が1歩踏み込んだ事をしてきたら、親友とは言え容赦はしません」
「俺は本当に心の底から、鈴音さんが好きです!」
「……///」
俺の言葉で、鈴音さんの頬が染まる。
「そう言う事ですよ。鈴音さん…」
「鈴音さんの気持ちも分かりますが、2人を信用して上げましょう」
「私達は、みな別々の血ですが、今は一つ屋根の下で暮らしています。仲良くしましょう」
「……はい///」
「さて、お料理が冷めないうちに頂きましょう!」
真理江さんはそう言うと、焼き鳥を手に取って食べ始める。
おでんも焼き鳥も、温かいうちが美味しい。
「鈴音さんは、大根と玉子が好きでしたね!」
小鉢も配膳されていたので、俺はおでんの器から、大根と玉子を小鉢に取って、鈴音さんの目の前に置く。
「見た目でも、美味しそうなおでんですよ!」
「……」
言葉は出さなかったが、鈴音さんの顔は微笑んでくれた。
これで解決とは言えないが、鈴音さんの心情は、複雑に入り組んでいるのを知ってしまった……
親友の裏切り。元彼が重大な交通事故の加害者。父親が母親にDVや、娘を政略結婚の道具にするのが発覚して離婚……
(短い期間に、人生の重大事件が立て続けに起きて、正常な心を保てる人は居ないよな)
俺はそう思いながら、焼き鳥を食べた……
鈴音さんは、真理江さんに静かに聞く。
「鈴音さんは、何かを焦っていませんか…?」
「焦っている…?」
「私に、焦る事は有りませんが……」
口調は冷静だが、感情は剥き出しに成り掛けていた。
(真理江さんも、さっさと言えば良いのに……)
真理江さんの言いたい事に、俺は気付いていた。
『稀子を意識しすぎるなと!』
鈴音さんは親友とは言えども、稀子を再度警戒し始めたのだろう。
本当に最近の稀子は、俺とのコミュニケーションを求めてきている。
稀子の性格はあんな性格だ。
関係を深めたいと、稀子が感じた人には積極的に話す。
俺だって例外では無い。元々は恋人関係、1歩手前まで言った関係だ。
俺は稀子には未練は有るが、鈴音さんを裏切ってまで、稀子と関係を深めたくは無い。
あの時だって……稀子が山本さんにアプローチを仕掛けなければ、俺と稀子はそのまま恋人関係に成れた筈だ。
それは鈴音さんも知って居る筈だが、感情が抑えきれないのだろう。
『私は、また捨てられると……』
鈴音さんの心の中では、そう感じて居るのかも知れない。
俺がそんな馬鹿な行為は、絶対しないのに……
「鈴音さん……あなたは、感情を隠せない人です」
「私の顔には全て見えていますよ。稀子さんに対する嫉妬心が…」
「!///」
「私の中では青柳さん、鈴音さん、稀子さんを含めて、一つの家族だと私は思っています」
「鈴音さんも稀子さんも同い年で有って、孝明を取り合った仲でも有ります」
「孝明は社会に迷惑を掛ける行為をして、今はその罪を償っていますが、またその様な事が、青柳さんで起きる事を恐れていませんか?」
「……」
(真理江さんも、回りくどい言い方をするな…)
(この人は、真綿で首を絞めるタイプか!)
鈴音さんは、顔を俯かせて真理江さんの言葉を聞いていたが……反論を始める。
「お母様……私が『そうです!』と言いましたら、どうしますか?」
鈴音さんは睨み付けながら、真理江さんに言う。
さっきの言葉が余程、気に入らなかったのだろう。
「絶対に起きないとは言い切れませんが、鈴音さんは青柳さんを信用出来ないのですか?」
「はい…」
鈴音さんは静かに返事をして頷く。
(俺の信用力は、鈴音さん中では無いんだ…)
(ショックだな~~!)
「……比叡さんはお調子者です!」
「そして、スケベです!」
「比叡さんと稀子さんは、恋人関係に近い仲でした」
「比叡さんが手を出さなくても孝明さんの時の様に、稀子さんは自らアプローチを仕掛ける人です」
「比叡さんは、女性に対する免疫が殆ど有りません」
「稀子さんのハニートラップに何処かで必ず引っ掛かり、またあの時の様な現象が起きると、私は思っています…」
(俺……滅茶苦茶言われているな)
(そんな事は絶対に起きないと、言い切れない自分も其処に居るが…)
「鈴音さんの気持ちも分かりますが、先ずは、青柳さんと稀子さんを信用してみてはどうですか?」
「……信用はしています」
「けど……、お互いが信じられない時も有るのです」
「……」
「……」
俺と真理江さんが少し無言に成った時……
「へい! お待ち!!」
「おでんと焼き鳥盛り合わせね!!」
先ほど、注文を受けた男性スタッフが料理を運んできた。
男性スタッフはテーブルに料理を置いて、席を離れていく。
「真理江さん……時間的に、稀子が戻って来ると思いますが」
注文した料理が来ると言う事は、有る程度の時間は経っている筈だ。
稀子が何を買いに行ったかは分からないが、稀子には聞かれない方がいい話だろう。
「青柳さんは、鈴音さんを信用していますよね?」
「勿論ですよ! 真理江さん!!」
「あの時……先に裏切ったのは稀子ですし、その稀子が1歩踏み込んだ事をしてきたら、親友とは言え容赦はしません」
「俺は本当に心の底から、鈴音さんが好きです!」
「……///」
俺の言葉で、鈴音さんの頬が染まる。
「そう言う事ですよ。鈴音さん…」
「鈴音さんの気持ちも分かりますが、2人を信用して上げましょう」
「私達は、みな別々の血ですが、今は一つ屋根の下で暮らしています。仲良くしましょう」
「……はい///」
「さて、お料理が冷めないうちに頂きましょう!」
真理江さんはそう言うと、焼き鳥を手に取って食べ始める。
おでんも焼き鳥も、温かいうちが美味しい。
「鈴音さんは、大根と玉子が好きでしたね!」
小鉢も配膳されていたので、俺はおでんの器から、大根と玉子を小鉢に取って、鈴音さんの目の前に置く。
「見た目でも、美味しそうなおでんですよ!」
「……」
言葉は出さなかったが、鈴音さんの顔は微笑んでくれた。
これで解決とは言えないが、鈴音さんの心情は、複雑に入り組んでいるのを知ってしまった……
親友の裏切り。元彼が重大な交通事故の加害者。父親が母親にDVや、娘を政略結婚の道具にするのが発覚して離婚……
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