偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第167話 新年を迎える その2

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 稀子はしばらくは無言で、おせち料理を食べていたが……

「おばさん! テレビ付けても良い?」

「はい。どうぞ!!」
「稀子さん!」

 真理江さんの了解を得てから、稀子はテレビを付ける。
 お正月料理は時間をかけて食べる物だから、テレビが付いていると会話も弾むし、番組内容から更に、お正月気分を味わえる。

「何処にしようかな~~♪」

 一時、不機嫌に成った稀子だが、もう機嫌が直っている。
 これが稀子の長所だろう?

「あっ!」
「これにしよ!!」

 稀子が選んだテレビ番組は再放送では有るが、路線バスを乗り継ぐバラエティー番組で有った。
 3人位のパーティで協力し合いながら、過疎地のバスを乗り継いで行き、目的地で有るゴールを目指す番組で有る。
 真理江さんや鈴音さんも、特に発言をしないので、これに決まりそうだ。

 バラエティー番組を見ながら、おせち料理を時々食べ、お正月を過ごす。
 家族では無い、赤の他人同士なのに、真理江さんが不思議とお母さんに見えてくるし、鈴音さんはお嫁さんに見えて……稀子は何だろう?
 俺と鈴音さんの子ども設定に成るのか!?

(稀子が俺と鈴音さんの子だと、家族は賑やかだけど、子どもめるこに振り回されそうだな…)

 稀子はテレビを見ながら、お正月を楽しんでいるし、真理江さんは鈴音さんに話し掛けながらお正月を楽しんでいる。
 俺は家長の気分で(!?)で朝の正月を楽しんだ!

 ☆

 長い朝食の時間が終わった後……
 食後の運動も兼ねて全員で、近所の神社に初詣に行く事に成った。
 これが、漫画やアニメの世界なら、鈴音さんや稀子は振り袖姿に成るのだが、普段の格好で有った……

 俺の世界は、小説の世界と良く似て居ると感じる時も有るが、この辺は現実だと感じる。

 今から行く神社は有名な神社では無いらしいので、神社に着いても、人混みもさほど多くなく、直ぐに神殿前に来られる。
 全員が特設の賽銭ステージに賽銭を投げ入れて、神社の神様にお願い事を始める。

(神社の神様……。保育士試験、学科試験に1発合格できますように…)

 俺の場合、本当に神頼みで有る。
 試験までは、まだと言うか、後4ヶ月を切っているが、本当に奇跡が起きない限り、1発合格は出来ないだろう……
 俺がお願いを済ますと、同時に参拝を終えた稀子が早速聞いてくる。

「比叡君は、やっぱり合格祈願?♪」

「それしか無いよ。稀子!」
「健康もお願いしたけど、一番重要なのは保育士試験だからね!」

 俺が稀子に、そう説明していると……

「比叡さんは……、私が一番重要では無いのですか!?」

 会話を聞いていた鈴音さんが、寂しそうな声で言ってきた!?
 普段の鈴音さんなら、こんな事を言わないのに……

「そっ、そんな訳無いよ。鈴音さん!!」
「一番重要と言うか、一番大事なのは鈴音さんですよ!!///」

 俺は焦りながら、鈴音さんに理解を求めるが……

「……なら、もう一度。神様にお願いし直してください!」
「試験の合格よりも、私が大事ですと!!」

 鈴音さんは指を『ビシッ!』と、指しながら言って来た!?
 あのお屠蘇でまさか、酔ってしまった!?
 俺も飲んだ時、アルコール分は完全に飛んでいたぞ!?

(どうしよ……)
(俺の中では鈴音さんも大事だけど、試験に合格出来なければ、何も始まらない…)

 俺が迷っていると……

「比叡さん! 冗談ですよ!♪」

 鈴音さんは、笑いながら言って来た!?

「あっ、そうなの……びっくりした」

 俺は安堵を付くが……

「……最近の比叡さんは、私との会話よりも、稀子さんの方が多い気がします!」

(そうかな?)

「私は比叡さんを一途に決めましたが、最近の比叡さんは、釣った魚に餌を上げてない気がします……」

(餌…?)
(プレゼントなら、クリスマスの時に渡したがな?)

「私の事が本当に好きなら、もう少しコミュニケーションを増やしてください…」

 鈴音さんは少し真面目な表情で言う。
 を焼いているのだろうか? 正月らしく!?

(俺の中では、普段通りの接し方だがな?)

 俺は鈴音さんが一番好きだが、共同生活で有る以上、稀子とも有る程度の関わりは必要で有る。
 最近の稀子は、本当に積極的に話し掛けてくる。
 俺もそれに釣られて、会話を弾ましてしまうが、それが原因だろうか?

「ごめん、鈴音さん。気を付けます」

「いえ、理解して貰えれば大丈夫です」

「……」

「……」

 俺と鈴音さんのやり取りを見ていた、真理江さん・稀子だが、口を出そうとはしなかった。

(鈴音さんは、気付いて居るのだろうな)
(俺が稀子を……完全に捨てきって無い事を…)

 本来の道筋なら、俺と稀子は恋人関係に発展して、鈴音さんは山本さんと関係を進展させていた。
 それを俺と稀子がお互い壊して、今の関係が出来上がった。

(口で言って居る事と、やっている事が“ちぐはぐ”では駄目だな…)

 俺はそう、心の中で反省した。
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