偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第164話 お正月の準備! その3 

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 手を洗い終わって、一息ついていると、庭に真理江さんが入ってきた。
 昼食は真理江さんも呼ばれて居る。
 餅の方も、昼食と成る餅をついており、いよいよ昼食の時間だろう。

「青柳さん。流れは順調ですか?」

 真理江さんは俺に話し掛けてくる。

「はい。順調です」

「そうですか!」

 真理江さん妹夫婦も、真理江さんには気付いているが、餅をついているため、声は掛けて来ない。よそ見をしてお互いが、怪我をする恐れが有るからだ。

「私も、つきたてのお餅は久しぶりです」
波津音市はずねしに居た時は、市販の切り餅ばかりでしたから……」

(あれ? 本家では餅つきをしないのか?)

「真理江さん……。本家で餅つき会とかは、行われなかったのですか?」

 俺は不思議に感じたので聞いて見ると……

「……本家の身内同士ではやっていますけど、分家を含めてはやってません」
「分家全員を呼んだら、1組の臼や杵では当然足りませんし、準備も大変です…」
「何処かの組の、餅つき会では有りませんから……」

「成る程。そう言う事ですか……」

 余り……人の事情を深く詮索しても、相手が嫌がると思い、俺はそれ以上の話はしなかった……

 ……

 昼食用の餅もつき上がり、つきたてのお餅で昼食が始まる。
 定番のからみ餅、きなこ餅、小豆餅、納豆餅とバリエーション豊かだった。
 つきたてのお餅は良く伸びるし、適度に餅米の粒が残っているため食感も良い。
 これは稀子の言う通り、やみつきに成りそうだった!

 ☆

 真理江さん達と、その妹夫婦での昼食も終わる。
 昼食後も餅つきが行われるが、妹夫婦の男性がこう提言して来る。

「なぁ、兄ちゃん!」
「良い機会だから、餅をついてみないか?」

「えっ、俺がですか!?」

 俺は突然言われて、びっくりする!

「もう、俺らが食べる分はつけたし、後の1回は、真理江さん用のだ!」

「俺と母ちゃんがついても良いが……何事も経験では無いか!!」

 妹夫婦の男性は、そう言うが……

(やったことが無いのを『はい。やります!!』とは言いにくいな)

 俺は返事に困っていると……

りんちゃん、比叡君!」
「将来必ず夫婦に成るんだし、良い機会では無いかな?」
「お互いの息が、ぴったりかどうかの!!」

(稀子ったら……また、余計なことを言って……)

「比叡さん! やりましょうよ!!」
「失敗したって、私達が食べるだけです!!」
「何事も経験ですよ!!」

 鈴音さんは、俺に餅をつくように進言してくる。
 鈴音さんにも言われたからには、やらなければ成らないだろう……

「それでは、やってみます!」

「お~~。兄ちゃん、その意気だ!!」
「じゃあ、兄ちゃんが餅をついて……捏ねるのは誰がする?」

 妹夫婦の男性は、餅を捏ねる人を聞いてくる。

「それはもちろん、鈴ちゃんだよ!!」

「えっ!? 私ですか!!」
「稀子さんの方が出来そうなのに!?」

「鈴ちゃん。聞いて無かった? 今から……将来の夫婦の息を確かめ合うんだよ!!」
「私が比叡君と結婚するなら、私が捏ねるけど、違うでしょ♪」

 稀子は笑顔で鈴音さんに言う。

「そうですが……。私はやった事が有りません!///」

「それは、比叡君も同じだよ!」
「初めて同士だから、尚更良いのでは無い!!」

「もし、息が全く合わなかったら、私が比叡君を貰って上げるよ♪」

「稀子さん!!///」

(稀子も大胆なことを言うな…。鈴音さんもあの性格だ。絶対やるに決まっているが、稀子は俺の事を、まだ諦めて無かった!?)

「比叡さん!!」
「稀子さんに見せて上げましょう!!」
「私達、将来の姿を!!」

 鈴音さんは稀子に挑発されて、興奮気味で有った。

(俺も現場仕事で、体を多少鍛えて有るから、意外に餅もつけるかも知れないな!)

 最終の餅つきは、俺と鈴音さんでつく事に成った。

 ……

 と言っても、適当にやる訳には行かないので、俺と鈴音さん。餅の付き方、捏ね方を妹夫婦から教わる。

「兄ちゃん!」
「杵を振り下ろす時。腕の力では無く、腰の力で下ろすんだぞ!」
「そうで無いと、肩を痛めるし、重心が狂って来るから真っ直ぐつけないぞ!」

 妹夫婦の男性から、餅の付き方を教わっている。
 実際に杵を持って、素振りをしている。

「兄ちゃん! もっと腰を使って!!」
「そんなつき方だと、途中でバテるぞ!!」

「はっ、はい……」

 この人……どうやら、熱血指導マンの感じだ。

(この人は軽々、餅をついていたが、実際はかなりの重労働だな…)

 素振りの状態でこれだ。
 実際は、これに餅の粘りが更に加わるし、杵で餅米を餅にしなければ成らない。
 稀子に焚き付けられた俺が悪いのだが、果たして上手に餅はつけるのだろうか!?
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