偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第161話 旅も終わり……

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 水族館での昼食が終わった後は、帰りへの移動時間も有るため、水族館を出て帰路に着く。
 電車で移動中、稀子はみんなに向けて言う。

「何か、あっという間に旅行が、終わってしまうね!」
「もう少し、遊びたかったね♪」

 稀子はそう言うが、真理江さんや鈴音さんは、返事をしなさそうなので、俺が返事をする。

「二泊三日だからね……。でも、これ位が丁度良いかも…」
「……稀子は、ずっと実家に居たの?」

 稀子が実家に帰ったのは知っているが、実家で何をやっていたのだろうか?

「うん、そうだよ!」
「この時期はもう、私の所は雪がちらつくし、周辺には何も無いからね!」
「冬の時期は、おうちで引きこもりだよ♪」

「稀子の家って……山の中に有るんだよね?」

「そう、そう!」
「だから、この間は、本当に食べて寝るしか無いよ!!」
「少し早いけど、お餅も食べちゃった♪」

 稀子は笑顔で言うが、年頃のだぞ!
 体形は気にしないのか??

「比叡君が、私の事を聞いて来たから聞き返すけど、どうだった?♪」
りんちゃんのお母さんとの話し合いは?♪」
「鈴ちゃんを、お嫁さんに貰えそう!?」

「それはな……今の関係は認めるけど、嫁の話は先延ばしにされたよ。稀子」

「あ~~、やっぱりね…」
「今の比叡君で『鈴ちゃんをお願いします…』とは、言われないよね~~」

「……そうだな」

「でも……比叡君は、鈴ちゃんが好きなんでしょ♪」

「そりゃあ、もちろん!」

「じゃあ、後は比叡君次第だ!!」
「絶対に、鈴ちゃんを泣かしてはダメだぞ!」
「親友からのお願いだぞ!!」

 稀子はドラマ見たいなセリフを言う。

「大丈夫だよ! 稀子!!」
「鈴音さんを、泣かしたりはしないよ」

「それを願っているよ!!」

「……比叡さんが無事に保育士さんに成れたら、私は本望なんですけど…」

 ここで、鈴音さんも話しに加わってきた!

「だよね! 鈴ちゃん!!」
「でっ、どうなの? 比叡君は、本当に保育士さんに成れるの??」

「稀子の知っての通り……すんなりとは、行かないと思う」

「やっぱり……通信講座では限界が有るのかな?」
「でも、そうだよね。だかれこそ、保育士コースや専門学校が有るのだから…」

 稀子は何処か納得しながら言う。
 有る程度の予備知識や児童福祉の知識が有る人なら、通信講座でも十分な結果が出せるが、俺見たいな無知の人間が行き成り初めても、絶対的な効果は出にくい……
 鈴音さんも、その辺を理解してくれているが、何処までそれを許してくれるかだ。

「やれるだけの事はして見るよ…」

「やれるだけね……」
「比叡君がそう言うなら、私は頑張れしか言わない!」

 何かの意味これはだめだなを含ませて、稀子は言っているが、今ここで逃げ出しても全く意味が無い。

「まぁ、まぁ。稀子さん…。比叡さんは頑張れば出来る子です。信用して上げましょう♪」

「鈴音さん…///」

 鈴音さんが、そう声を掛けてくれるが、稀子は呆れた表情をしていた!?

「…鈴ちゃんは、比叡君に甘いね!」
「山本さんの時は……そうで無かったのに!!」

 稀子がこの場で突然、山本(孝明)さんを出してくる!?

「稀子さん……。もう、孝明さんの名前を出さないでください///」

「あの人は身勝手過ぎたのです…。優しい人でしたが、同時に我が強すぎる人でした!」
「その点……比叡さんは、我を押し通す事は有りません!!」

「そうだね、鈴ちゃん!!」
「比叡君は、直ぐに言う事聞いてくれるもんね♪」

(これは褒められているのか、扱いやすい人だと、思われているのかどっちだ!?)

 俺は確かに、鈴音さんや稀子に意見を押し通した事は、まだ1度も無い。
 稀子に押された事は有ったが、俺は鈴音さん・稀子に押した事は無い。全て、相手の了解を得てから行動をしている。

 山本さんは、その辺が欠如していたのだろう。
 優しいでも、押しつけの優しさは要らない。
 お互いが尊重し合うのが、本当の恋人関係だと俺は思っている。

「稀子さん。もう、あの人の事は忘れましょう!」

 けど、鈴音さんは、少し寂しい表情で稀子に言う。

「へっ!?」
「何か、今日の鈴ちゃん。何時もの鈴ちゃんじゃ無いような??」

「稀子さん。私は昨日、お母さんと将来の事を色々と話し合いました」
「……私が今、一番大事な人は比叡さんです」

「孝明さんに対して、後悔をしていますが、起きてしまった事を戻す事は出来ません!」

「鈴ちゃん……」

「それだけです……。そろそろ、乗り換えの駅に着きますね…」

「あっ、うっ、うん。降りる準備をしなくては///」

 鈴音さんは、真剣に俺の事を想ってくれている。
 俺も、それを返さなければ成らない……

 ……

 名美崎なみさき駅で、特急電車に乗り換えて、電車は一気に九尾きゅうお方面に電車は向かって行く。
 乗り換えは当分無いため、座席に座ってしばらくすると、俺以外は眠りに就いてしまった。
 普段は見られない、鈴音さんや稀子の寝顔を見ながら、俺はこの先の事を何となく考えた……

(町に戻っても、直ぐに正月だし、気が抜ける時期にまた突入しそうだな)
(さっきは、あぁ言ったが、現実は厳しいな…)
(保育士試験、学科試験に1発合格は現段階では絶望的だが、それでも、それ相応の結果を出さなければ……)

 電車は、“どんどん”トンネルを抜けて、九尾方面に向かって行った……
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