偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第140話 夜食 その3

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『ピュィ~~~、ピ~~~~♪』

 鈴音さんが悩んでいる間に、コンロに掛けておいた“やかん”の水が沸いてしまった!
 この“やかん”は沸騰すると、笛見たいに音が鳴るので、直ぐに火を消さないと真理江さん達が起きてしまうかも知れない。俺はコンロの火を消して……

「えっと、じゃあ、一人で頂きます…」

「……」

 鈴音さんは返事をせず、俺は誘う事を諦めて、カップ焼きそばにお湯を張ろうとすると……台所に足音が近づいて来る!
 そして……台所に顔を出したのは稀子だった!!

「何か、台所から声が聞こえると思ったら……りんちゃんと比叡君がいた!?」
「こんな時間に、二人で何やっているの?」

「あっ、稀子…」

「稀子さん……」

 別にやましい事をしていた訳では無いが、稀子を見た瞬間、俺と鈴音さんは萎縮してしまう。

「んっ……比叡君?」
「今から、カップ焼きそば食べるの?」

 台所で準備していたカップ焼きそばに、稀子は気付く。

「あっ、うん、そうなんだ!!」
「勉強していたら、小腹が空いてしまってね///」

「あ~~、今日の晩ご飯。比叡君には少し物足り無かったもんね♪」
「……比叡君が食べるなら、私も食べようかな♪」

「私もちょっと、お腹が空いているし!」
「比叡君! 私の分のお湯も沸かして!!」

 稀子はそう言いながら、戸棚からカップ焼きそばを取り出している。

「ねぇ、鈴ちゃんも食べる?」

 稀子は鈴音さんに聞くが……

「いっ、いえ、私は大丈夫です///」
「稀子さん……。深夜の食事は、全て貯金されますよ…」

「大丈夫だよ、鈴ちゃん!」
「私は普段から、消費カロリーが多いから!!」

「……もう、知りません!///」

 鈴音さんは拗ねた口調で稀子にそう言うが、自室に戻ろうとはせずに、何故かテーブルの椅子に座り始める。

(俺と稀子が……変な事しないかの監視か?)

 俺と稀子はそれを見て、お互いが不思議な表情をしながら、カップ焼きそばを作っていく……

 ……

 カップ焼きそばも完成して台所中に、ソースの甘い香りが漂っている!
 これがカップ焼きそばを食べる時の、最高潮と言っても過言で無いだろう!!
 俺と稀子もテーブルの椅子に座り、いざ食べようとした所…。鈴音さんは無言で、俺と稀子のカップ焼きそばを、羨ましそうに見ていた!
 ソースの香りで食欲がそそられたのだろう。それに気付いた稀子が声を掛ける。

「鈴ちゃんも、食べたく成ったのでしょ~~」
「このカップ焼きそばは、特に香りが良い奴だからね~♪」

「……//////」

 稀子が鈴音さんに向けて言った途端、鈴音さんは顔を俯かせてしまう!

「……//////」

「……比叡君!!」
「鈴ちゃんにも、焼きそばを分けて上げよう!!」
「夜食でも、みんなで食べないと美味しくないよ♪」

 稀子はカップ焼きそばを、鈴音さんに分ける事を提案してきた。
 確かに、鈴音さんが焼きそばにどれ位の想いが有るかは解らないが、除け者にしては成らないと俺も感じた……

 稀子は食器棚から、鈴音さんの箸とお皿を取り出して、そのお皿に俺と稀子のカップ焼きそばを3分の1ずつお皿に乗せる。

「はい! 鈴ちゃん!!」
「美味しくて、ほっぺが落ちちゃうぞ!!」

 稀子は微笑みながら、鈴音さんの手元にお皿を置く。

「でっ、では……折角の行為ですし、頂きます。比叡さん、稀子さん///」

 俺の言葉を素直に受け入れなかった鈴音さんだが、稀子の場合は観念したのか、本当に食べたかったかは、判らないが鈴音さんは受け入れた。

『いただきます』

 みんなで食事前の挨拶をして、夜食のカップ焼きそばを食べ始める。

(うん! 夜中に食べるカップ焼きそばは、最高だ!!)

 稀子も美味しそうに食べている中、鈴音さんは本当に初めて食べるのだろう。しばらく麺を箸で掴んで眺めていたが、食べ始める……

「……焼きそばでは無いですけど、美味しいですね!!」
「ソースの香りと、麺の食感が不思議と合っています♪」

 一口食べた鈴音さんが、嬉しそうに言う。

「美味しいでしょう! 鈴ちゃん!!」
「食わず嫌いは駄目だぞ~♪」

「はい! そうですね!!」
「これなら、もっと素直に成れば良かったです!!」

 鈴音さんはそう言いながら、嬉しそうにカップ焼きそばを食べていた……

 ……

 夜食後は、それぞれ自室に戻って行ったが、俺はやはり気に成る部分が有った……

(鈴音さんと稀子の関係は、非常に結束な関係に成っている!)
(山本さんが居なくなって、稀子が鈴音さんをライバル意識しなく成った部分も有るし、鈴音さんも稀子を求めている感じがする……)

(俺は鈴音さんが勿論好きだが、最近稀子が再び気に成りかけている…)
(稀子の愛嬌の良さや、常に笑顔を振りまく稀子は、有る意味大きな“子ども”だが、学童保育時代での思い出か、稀子を求める時も有った…)

「これ以上、関係をゴタゴタにしてしまったら、俺は全てを失う!」
「馬鹿な事を思うのは止めて、早く眠りに就こう…」

「けど……鈴音さんを、完全に振り向かせる事は出来るのか?」
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