偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編 第2章

第132話 両手に花!? その3

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 少し機嫌が直った鈴音さん(?)、稀子、俺の三人で館内の魚達を見始める。
 最初のゾーンはサメのゾーンだった。
 大きなサメや小さいサメが、優雅に水槽内を泳いでいる。

「大きいサメだね。りんちゃん!」

「本当……大きいですね!!」

 鈴音さんや稀子も、優雅の泳ぐサメを見ているが、俺は有る事を思いだしていた。

(稀子は興味が有る物はじっくり見るが、そうで無ければ直ぐに行ってしまう)

(鈴音さんの場合は、どんな物でもじっくり見たいと、以前の逃亡旅行時に聞いたから、鈴音さんと稀子の息が絶対合わないよな…)

 俺がそう感じた矢先、稀子はサメを見るのに飽きたらしく、次のゾーンに向かって行ってしまう!!

「あっ、稀子!」

 俺は稀子を止めようとするが……

「比叡君は、鈴ちゃんと一緒にいてね♪」
「何か有ったら、Railで連絡するから!!」

 稀子は俺と鈴音さんに気を遣ったのか、それとも只単に飽きただけかが判らないが、これで鈴音さんとデートらしい事が出来る。
 俺は鈴音さんに声を掛けようとしたが……、鈴音さんは楽しそうにサメの泳ぐ姿を見ていた……

(本当に……じっくり見る派なんだな)
(俺もそれに付き合いますか!!)

 俺も本音を言えば、興味が無い物はスルーするタイプだが、あの時の俺は、鈴音さんに好かれたいために嘘を付いた。
 けど……本当に好きな人と居られるのなら、この様な楽しみ方も有るのかも知れない……

 ……

 鈴音さんと、“ゆっくり”館内の魚達を見ていく。
 鈴音さんも特に魚に詳しい訳では無いが『この様な世界が好き』と言った。

「比叡さん!」
「こう言った場所に来ますと、不思議な気持ちに成りますね!」

「ですよね!」
「海の世界って……こんなに広いのだと、水族館に来る度に痛感させられます」

 俺はデートを盛り上げるために言ったが、鈴音さんの様子が急に変わってしまう!?

「……私も本当は孝明さんと、みなと水族館に行く予定だったのです…」

「あっ…。そうだったんですか…?」

「はい…。今年の黄金週間ゴールデンウィークの時に……」

(俺が……鈴音さんに手を出さなければ、山本さんと行く予定だったのか!)
(だからこそ突如、鈴音さんはハンバーグを口走ったのか!)

 俺が稀子と、みなと水族館デートをした昼食時、稀子はハンバーグの写真を鈴音さんに、何処かで送信した。
 今……思い出しても、よだれが出て来るハンバーグで有った。値段も値段だったが……

(冷静に考えれば…、あのデートの金額は全額、山本さんから貰ったお金なんだよな!)
(人の金で稀子とデートして、更には女まで奪い、相手の人生を潰した…。俺って、実は極悪人!?)

(うん……過去の事だ! 全て済んだ事だ!!)
(これは、思い出さなかった事にしよう…)

「鈴音さん!」
「今年の冬休みに、鈴音さんとみなと水族館に行って、水族館を楽しんで、その時にハンバーグを食べましょう!!」
「俺も再び、食べて見たいです!!」

「……すいません。比叡さん」
「気を遣わせてしまって…」

 鈴音さんは、申し訳なく言う。
 俺は今まで掴んでなかった、鈴音さんの手を掴む。

「あっ///」

「鈴音さん!」
「とにかく、今を楽しみましょう!!」

「まだ、見所がたくさん有ります!!」

「比叡さん///」

 俺は過去に悪い事をした自覚は一応有るが、相手の気持ちをくみ取れなかった人が、一番悪いと感じて居る。

(鈴音さんの正体と言うか、本来の姿も大分見えてきたし、俺の考え方が間違ってなければ、俺は鈴音さんを山本さん以上に幸せに出来るはずだ!!)

 俺は鈴音さんの手を引きながら水族館を楽しむ!!
 鈴音さんも微笑みながら、それに付いて来てくれた!!
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