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【R-15】鈴音編 第2章

第128話 深夜の密会 その3

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「鈴音さん…」

「はい…」

「俺は気付きました!」

「えっ…」

「鈴音さんは、親友で接する時は凄く愛情を感じるのに、異性で意識した途端、余所余所しく成っています!」
「山本さんの時でも、そうでは有りませんでしたか?」

「そっ、それはどうでしょ~~///」

 鈴音さんは顔を赤めながら、知らない振りを始める。
 けど、そうはさせない。

「俺は普段の鈴音さんは大好きですし、軽いスキンシップでも、普段の鈴音さんなら受け入れてくれます!」
「しかし、2人の時間に成った途端、鈴音さんはその部分を全てシャットダウンしています!!」

「……」

「今の鈴音さんは、普段の鈴音さんでは無い!」
「本当に相手が好きなら、相手に受け入れて貰うために自己アピールをする者ですが、鈴音さんは何もしませんし、俺からの自己アピールを思いっきり拒否しています」

「鈴音さん!」
「本当に俺の事が好きなら、鈴音さんも行動で示して下さい!!」

「ひっ、比叡さん//////」
「……分かりました//////」

 鈴音さんは……ゆっくりと、クッションから立ち上がる。

「…比叡さんも、立ってください///」

「……」

 俺は無言で立ち上がる。
 本当は声を出したいが、俺も時には鬼に成らなければ成らない!!

「では……行きます///」

 鈴音さんは“ぎこちなく”、俺の方に寄って来るが俺自ら、鈴音さんを抱きしめはしない。

 これは、鈴音さんの愛情を確認するためで有る。
 親友モードの鈴音さんなら、笑顔で直ぐに人を抱きしめるのに、異性モードの鈴音さんは本当に、同一人物では無い程、全ての動作に違和感が有った。

「//////」

 鈴音さんは、ゆっくり手を伸ばしながら、俺を抱きしめようとする。

(何だか……山本さんが、鈴音さんとの関係が有る所で止まっていた事が、納得出来る様な気がする)

 これが稀子だったら、いとも簡単に俺を抱きしめて、キスをして終わりで有る。
 時間で言ったら、1分もしないだろう。
 鈴音さんは本当にゆっくりと、緊張しながら俺を抱きしめ始める。

(山本さんもきっと、鈴音さん自身から愛されたかったのかも知れない?)
(だからこそ、それを奪った俺を許せなかった……)

「//////」

 鈴音さんは無言で、俺を抱きしめる。
 練習問題では毎回、100点取れていた子が、本番では緊張してしまって、50点も取れない子の様な感じだった。

「良く出来ました…」

 俺はここでやっと声を出し、鈴音さんの頭を撫でる。
 今の鈴音さんは、本当に子どもの様だ。

「……比叡さんはイジワルです///」

 少し頬を膨らませながら言うが、その姿もまた愛おしかった……

「じゃあ、お礼をあげるね!」
「鈴音さん!」

「えっ…///」

 俺は鈴音さんに抵抗与える隙も無く、鈴音さんとキスをする。
 俺はその時に感じた……。今までのキスは稀子と同じ様に、親友でのキスで有った事を……

 鈴音さんは頬が真っ赤だが、それを嫌がる振りはしない。
 俺と鈴音さんは今、本当の異性同士でのキスをしていた……
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