偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
96 / 434
【R-15】鈴音編

第94話 襲撃

しおりを挟む
 比叡と鈴音の状況……

 俺は最初、寝付けないかと感じたが、疲れていた所為か直ぐに眠気が襲ってくる。
 悶々とする気持ちも有ったが、今は眠気の方が強いようだ……
 鈴音さんも寝息を立て始めており、鈴音さんは本当に普通の旅行をしている感じで有った……

 ……
 …
 ・

『カチャ、カチャ、―――』
『カチャ、カチャ、―――』

 俺は不思議な物音で目が覚める。

「何の音だ…?」

 俺はベッドから起き上がり、ドアの方を覗うが、誰かが居るのか?
 俺はまさかと思いながら、静かに様子を見に行くと同時に……

『カチャン!』

 俺の目の前で、ドアのロックが解除された!!
 しかし……ロックが解除されても、チェーンロックが付いている!!
 ドアを再度ロックしようと、俺は駆け寄るが間に合わない!!

『キィーー』

 ドアはゆっくりと開くが、チェーンロックの御陰で途中までしか開かない。
 しかし『ニュッ』と大きい“はさみ”が出て来た……。何だこれは!?

『バチン!!』

 大きいはさみで、チェーンロックが呆気なく破壊(切断)された!?
 ドアを閉めるのは諦めて、俺は急いで鈴音さんを起こしに向かおうとするが、強力なLEDライトの光線が俺の方に向けられる!!

「いた~~~!!」

 山本さんが……不気味な顔で、嬉しそうに言う!

「愛の逃亡劇ドラマも終わりだね…。比叡君!」
「瞬間視聴率は3%位かな…?」

 そう言うと同時に山本さんの背後から、別の男性が助走を付けて急に現れる。俺は抵抗する暇も無く……

『ドスッ!!』

「うっ!!」

 その男は、俺にみぞおちを喰らわす。的確だ…。山本さんの仲間か?
 今の騒動で鈴音さんも目を覚ますが、直ぐに山本さんは鈴音さんの口を押さえていた。
 完璧で有った……これでは声も出せない!!

『ドスッ!!』

「うぁぁ……」

 俺が直ぐに気絶をしなかったので、もう1発喰らってしまう……
 俺はその場で意識を失ってしまった……

 ……
 …
 ・ 

「うっ……」

(ここは、どこだ?)

 俺は周りを見渡すとランドセルの作りかけや、その材料が置いて有る。
 ここは山本さんの工場こうばか…?

 俺は体を動かそうとするが、両手を紐で縛られていて、両足もアキレス腱付近で紐で縛られている。これでは身動きが出来ない……
 それに俺は、作業台の上に全身裸で、背中を上にされて乗せられている。どうしてだ?
 俺が辺りを見回していると、山本さんが俺に気づいた様だ。

「お目覚めかね…。比叡君…?」

 山本さんは、普段通りの口調で話して居るように見えるが……

「苦労したよ…」
「こんなに手間を掛けさせて……。大変だった…!」

「山本さん……どうして、俺達の場所が分かったのだ?」

 俺は山本さんに質問をする。普通の人なら知りようが無いからだ!
 しかし、山本さんは苦笑する。

「ふふっ……。僕の力を舐めてくれては困るよ。君には…、僕本来の姿を教えて無いからね……」

「……鈴音さんから聞いたよ。族の総長なんだってな?」

『う~~、う~~』

「あの、お喋りが~~」
「馬鹿女を親友にするのだから、彼奴あいつも所詮そっち系か?」

(馬鹿女…? 誰だろう?)
(でも、どうして部屋の番号まで分かってしまったんだ!?)

「山本さん。場所が分かっても、部屋の番号までは分からない筈だが?」

「ふっ。舐めて貰っては困るね比叡君…。これが僕の力だ!」
「仲間の協力を得れば部屋の番号も分かるし、非常階段の施錠も解除してくれる…。君ももう少し、まともな場所に泊まれば、こうは成らなかったかもね…」

(クソ~~!!)
(ビジネスホテル自体は良かったが、山本さんの息が掛かっていたか!?)

(あの時、視線を感じたのは、従業員の中に山本さんの協力者が居たからだ!!)
(これが駅前のビジネスホテルだったら、防げたかも知れなかった!!)

「それにしてもどうやって、チェーンロックを切ったのだ??」
「そんな道具、簡単には手には入らない筈だ!!」

 俺は独り言のように言うと、山本さんは反応する。

「比叡君。これだよ…」

 山本さんは先ほどの、大きな“はさみ”を見せてくれる。

「これは……、ボ○トクリッパーと言って、太い電線や針金等を切る物だよ」
「彼処のホテルが、昔ながらのチェーンロックだったから、凄く簡単だったよ!」

「そんな道具が有るんだ…。あのホテルがオートロックだったら…」

 こんな事態は想定していなかったら、どうしようも無いが、やるせない状態だ。

『う~~、う~~』

(それより、鈴音さんは?)
(鈴音さんだけを解放する訳が無い!)
(変な声が時々聞こえるし、この部屋の何処かに鈴音さんは必ず居る筈だ!)

「山本さん…。鈴音さんは?」

「鈴音…?」
「おい!」

 山本さんが『おい!』と言うと工場こうばの奥のスポットライトが点灯する。
 其処には、椅子に座らされていて、両手は椅子の背もたれ側を紐で縛られていて、両足は椅子の脚に紐によって縛り付けられており、更にをされた鈴音さんが其処には居た。
 先ほどから聞こえていた“うめき声”は鈴音さんだったのか……。鈴音さんは流石に裸にはされてはいないが……

「う~~、う~~」

(それにしても……何故、大股にされているのだ?)

「馬鹿女の様に『ギャー、ギャー』五月蠅いからね、あぁするしか無かったよ…」
「鈴音の可愛い顔を、傷つける訳には行かんからな」

 俺はここで気付く…!

(馬鹿女って……稀子の事か!)
(そう言えば、稀子はどうした? 何故ここに居ない!?)
(山本さんと共謀しているはずなら、この場に居るだろう?)

「……稀子ちゃんは居ないのですか?」

「稀子……。実家に帰したよ!」
「僕がキツく言って上げたから……もう、帰って来ないのでは無いかな…?」

「稀子ちゃんを帰した!?」
「どういう事ですか!?」

 俺がそう言うと、山本さんは俺を睨み付けて言う。

「君が知る必要は無いよ…」

「さて……。比叡君のお仕置きを開始しようか…?」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

婚約者様。現在社交界で広まっている噂について、大事なお話があります

柚木ゆず
恋愛
 婚約者様へ。  昨夜参加したリーベニア侯爵家主催の夜会で、私に関するとある噂が広まりつつあると知りました。  そちらについて、とても大事なお話がありますので――。これから伺いますね?

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。

112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。 エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。 庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

牢で死ぬはずだった公爵令嬢

鈴元 香奈
恋愛
婚約していた王子に裏切られ無実の罪で牢に入れられてしまった公爵令嬢リーゼは、牢番に助け出されて見知らぬ男に託された。 表紙女性イラストはしろ様(SKIMA)、背景はくらうど職人様(イラストAC)、馬上の人物はシルエットACさんよりお借りしています。 小説家になろうさんにも投稿しています。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

処理中です...