偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編

第94話 襲撃

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 比叡と鈴音の状況……

 俺は最初、寝付けないかと感じたが、疲れていた所為か直ぐに眠気が襲ってくる。
 悶々とする気持ちも有ったが、今は眠気の方が強いようだ……
 鈴音さんも寝息を立て始めており、鈴音さんは本当に普通の旅行をしている感じで有った……

 ……
 …
 ・

『カチャ、カチャ、―――』
『カチャ、カチャ、―――』

 俺は不思議な物音で目が覚める。

「何の音だ…?」

 俺はベッドから起き上がり、ドアの方を覗うが、誰かが居るのか?
 俺はまさかと思いながら、静かに様子を見に行くと同時に……

『カチャン!』

 俺の目の前で、ドアのロックが解除された!!
 しかし……ロックが解除されても、チェーンロックが付いている!!
 ドアを再度ロックしようと、俺は駆け寄るが間に合わない!!

『キィーー』

 ドアはゆっくりと開くが、チェーンロックの御陰で途中までしか開かない。
 しかし『ニュッ』と大きい“はさみ”が出て来た……。何だこれは!?

『バチン!!』

 大きいはさみで、チェーンロックが呆気なく破壊(切断)された!?
 ドアを閉めるのは諦めて、俺は急いで鈴音さんを起こしに向かおうとするが、強力なLEDライトの光線が俺の方に向けられる!!

「いた~~~!!」

 山本さんが……不気味な顔で、嬉しそうに言う!

「愛の逃亡劇ドラマも終わりだね…。比叡君!」
「瞬間視聴率は3%位かな…?」

 そう言うと同時に山本さんの背後から、別の男性が助走を付けて急に現れる。俺は抵抗する暇も無く……

『ドスッ!!』

「うっ!!」

 その男は、俺にみぞおちを喰らわす。的確だ…。山本さんの仲間か?
 今の騒動で鈴音さんも目を覚ますが、直ぐに山本さんは鈴音さんの口を押さえていた。
 完璧で有った……これでは声も出せない!!

『ドスッ!!』

「うぁぁ……」

 俺が直ぐに気絶をしなかったので、もう1発喰らってしまう……
 俺はその場で意識を失ってしまった……

 ……
 …
 ・ 

「うっ……」

(ここは、どこだ?)

 俺は周りを見渡すとランドセルの作りかけや、その材料が置いて有る。
 ここは山本さんの工場こうばか…?

 俺は体を動かそうとするが、両手を紐で縛られていて、両足もアキレス腱付近で紐で縛られている。これでは身動きが出来ない……
 それに俺は、作業台の上に全身裸で、背中を上にされて乗せられている。どうしてだ?
 俺が辺りを見回していると、山本さんが俺に気づいた様だ。

「お目覚めかね…。比叡君…?」

 山本さんは、普段通りの口調で話して居るように見えるが……

「苦労したよ…」
「こんなに手間を掛けさせて……。大変だった…!」

「山本さん……どうして、俺達の場所が分かったのだ?」

 俺は山本さんに質問をする。普通の人なら知りようが無いからだ!
 しかし、山本さんは苦笑する。

「ふふっ……。僕の力を舐めてくれては困るよ。君には…、僕本来の姿を教えて無いからね……」

「……鈴音さんから聞いたよ。族の総長なんだってな?」

『う~~、う~~』

「あの、お喋りが~~」
「馬鹿女を親友にするのだから、彼奴あいつも所詮そっち系か?」

(馬鹿女…? 誰だろう?)
(でも、どうして部屋の番号まで分かってしまったんだ!?)

「山本さん。場所が分かっても、部屋の番号までは分からない筈だが?」

「ふっ。舐めて貰っては困るね比叡君…。これが僕の力だ!」
「仲間の協力を得れば部屋の番号も分かるし、非常階段の施錠も解除してくれる…。君ももう少し、まともな場所に泊まれば、こうは成らなかったかもね…」

(クソ~~!!)
(ビジネスホテル自体は良かったが、山本さんの息が掛かっていたか!?)

(あの時、視線を感じたのは、従業員の中に山本さんの協力者が居たからだ!!)
(これが駅前のビジネスホテルだったら、防げたかも知れなかった!!)

「それにしてもどうやって、チェーンロックを切ったのだ??」
「そんな道具、簡単には手には入らない筈だ!!」

 俺は独り言のように言うと、山本さんは反応する。

「比叡君。これだよ…」

 山本さんは先ほどの、大きな“はさみ”を見せてくれる。

「これは……、ボ○トクリッパーと言って、太い電線や針金等を切る物だよ」
「彼処のホテルが、昔ながらのチェーンロックだったから、凄く簡単だったよ!」

「そんな道具が有るんだ…。あのホテルがオートロックだったら…」

 こんな事態は想定していなかったら、どうしようも無いが、やるせない状態だ。

『う~~、う~~』

(それより、鈴音さんは?)
(鈴音さんだけを解放する訳が無い!)
(変な声が時々聞こえるし、この部屋の何処かに鈴音さんは必ず居る筈だ!)

「山本さん…。鈴音さんは?」

「鈴音…?」
「おい!」

 山本さんが『おい!』と言うと工場こうばの奥のスポットライトが点灯する。
 其処には、椅子に座らされていて、両手は椅子の背もたれ側を紐で縛られていて、両足は椅子の脚に紐によって縛り付けられており、更にをされた鈴音さんが其処には居た。
 先ほどから聞こえていた“うめき声”は鈴音さんだったのか……。鈴音さんは流石に裸にはされてはいないが……

「う~~、う~~」

(それにしても……何故、大股にされているのだ?)

「馬鹿女の様に『ギャー、ギャー』五月蠅いからね、あぁするしか無かったよ…」
「鈴音の可愛い顔を、傷つける訳には行かんからな」

 俺はここで気付く…!

(馬鹿女って……稀子の事か!)
(そう言えば、稀子はどうした? 何故ここに居ない!?)
(山本さんと共謀しているはずなら、この場に居るだろう?)

「……稀子ちゃんは居ないのですか?」

「稀子……。実家に帰したよ!」
「僕がキツく言って上げたから……もう、帰って来ないのでは無いかな…?」

「稀子ちゃんを帰した!?」
「どういう事ですか!?」

 俺がそう言うと、山本さんは俺を睨み付けて言う。

「君が知る必要は無いよ…」

「さて……。比叡君のお仕置きを開始しようか…?」
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