偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
95 / 434
【R-15】鈴音編

第93話 朱海蝲蛄 【山本】 その12

しおりを挟む
 山本の状況……

 昼食のカップ焼きそばを食べて、何時でも出撃が出来るように僕はリビングで待機しているが、一向に敏行からの連絡は来ない……

 時刻は15時を過ぎた所……。しびれを切らした僕は、再度敏行に電話を掛ける。

「総長! お疲れ様です!!」

「敏行…。役に成りきるのは良いが…、状況はどうだ?」

「そっ、それは……」

(何も掴めてないのか!)
(こいつは…)

「僕の指示通りに、動いて居るのだろうな…?」

「そっ、それは勿論!」

「沿線の捜索は…、何処まで行った?」

「えっ!?」
「沿線の捜索ですか…?」
「えっと……、西は名美崎《なみさき》、東は……松林《まつばやし》、北は、古城《ふるしろ》ですね」

「お前……大分、広げたんだな…」

「あっ、はい!!」

 褒められたと思って、声が喜んでやがる。馬鹿が……
 少人数で、広範囲を捜索しても意味が無いだろ!
 少しは頭を使え!!

(名美崎から西は、比叡の以前住んでいた町の方角に成るな…?)
彼奴あいつの事だ。前住んでいた町に未練は無いはずだ)
(西の捜索はこれ以上無駄だな…)

「敏行…」

「はっ、はい!」

「西の捜索は名美崎で打ち切って、北と東に集約させろ!」

「えっ、良いんですか?」

「あぁ、構わん…」

「分かりました…」

「何か有ったら、直ぐに連絡を入れろよ!」

「はっ、はい。総長、勿論!」

『ピッ』

 僕は頭を掻きながら……

「僕も探しに行っても良いが、総長が右往左往するのもな…」
「車の用意と、道具の準備でもするか…」

 僕はガレージに行って、ガレージのシャッターを開ける。

『ガララ~~♪』

 ガレージにはハ○エースと、朱海蝲蛄時代に乗っていたバイクが、車の後ろに置いて有る。
 バイクの方は、何時でも乗れるようにメンテナンスはして有る。

「狭い路地に入られても良いように、バイクで迎えに行ってやるか!」
「彼奴らの事だから、僕がハ○エースで動いて居るだろうと、思っている筈だからな!」

「良し! 比叡らの場所が分かったら、敏行にハ○エースを運転させて、僕はバイクで行こう!」
「バイクの自賠責保険は、まだ切れて無かった筈だが……多分大丈夫だろう」

 本当は確認をしたいが、照明設備が漏電の影響で使えない。この前の雨の所為だろう…。更に防犯のために窓も無い。
 ガレージ内左右には棚が置いて有るので、奥まで陽の明かりが入り込みにくい。
 通路も、車のドアを開けて、乗り込むのがギリギリ位の幅で有る。

 ハ○エースを出せば、陽の明かりが入るから確認出来るが、一度出して、直ぐに戻すのが面倒くさいと感じた。此処には懐中電灯も無いし、乗る時に確認すれば良いか!
 実際……。バイクに乗ろうかと考えただけで、本当に決めた訳では無い。
 愛車のハ○エースに、比叡達を確保するのに便利な道具を積み込む。

「彼奴らがどこに居ても、必ず確保しないとな!」
「ス○ンガンとLEDライトも必要だな……」

 ガレージで揃わない道具は、後で用意する。

「これで良しと……」
「家に戻る前に、コンビニに行って、晩飯を買いに行くか!」

 丁度ガレージに居るのだし、俺はハ○エースに乗り込んで晩飯を買いに行く。
 この時に、バイクの自賠責保険を確認すれば良かったのが、頭は比叡のお仕置きの事で、記憶から抜けてしまった……

 ……

 晩飯をコンビニに買いに行って、ス○ンガンやLEDライトの準備と動作確認をして、少し早い晩飯を食べた後、リビングでうたた寝をしていると、スマートフォンから着信音が鳴る。

「んっ……」

 ディスプレイの表示を見ると敏行からだった。

「やっと、見付かったか…?」

 僕は電話に出る。

『ピッ』

「もし、もし」

「総長! 見付かりました!!」

「何! 本当か!!」
「でかした! 何処だ!!」

騒丘そうおか市に有るビジネスホテルです。そのホテルに奴らは泊まって居ます!」

「騒丘か……ずいぶん逃げたな。敏行、本当に良くやった!!」

「総長!」
「有り難う御座います!」

(実際は俺では無いが、黙っていれば俺の手柄だ!!)

「良し! 早速行くぞ!!」
「お前は、僕の家に直ぐ来い!!」

「えっ!? 俺も行くんですか??」

「決まっているだろう! 副総長だろ!!」
「僕はバイクで行く。敏行がハ○エースで来ないと、彼奴らを連れて来られない!」

「そう言う事ですか……。今すぐ向かいます!」

「30分で来いよ!!」

「……分かりました!!」

『ピッ』

「あのやろ~~、敏行は捜索して無かったんだな!」
「本当に探していたら、30分で来られる筈が無い!!」

「まぁ、良いや。見付かったのだから不問にしてやろう!!」
「俺は心が広いからな!! がはは~~」

 ……

 約30分後……。敏行は僕の家に来て、今から比叡と鈴音を捕まえに行く。

「総長! これが場所です!!」

 僕は敏行から、手書きの地図を受け取る。
 バイクなら、ホテル到着まで2時間も掛からない……

「僕はバイクで先に行くから、敏行はハ○エースで来てくれ!」
「ほら……鍵だ!」

 敏行に鍵を投げ渡す。
 敏行はハ○エースに乗り込んで、ガレージからハ○エース出す。
 時刻は、22時を少し過ぎた所……丁度、寝込みを襲えて都合が良い!

 月夜の明かりの中、僕はバイクをガレージから出す。

『キュル、キュル……、グォン~~、グォォォン~~~、―――』

 僕のバイクが元気良く唸り声を上げる。獲物を欲しがっている音だ!
 ヘルメットを被り、バイクに跨がる。

「比叡君……。君にはお礼を…、本当に死ぬ程したいからね~~」

「じゃあ、先に行ってるぞ!!」
「敏行!!」

「総長! 直ぐに後を追います!!」

 バイクのアクセルを握り締め、比叡の絶望する顔を思い浮かべながら、比叡の居るホテルへ全速力で向かう!!

「待ってろよ~~比叡!!」
「宴の始まりだ~~~!」
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

辺境伯へ嫁ぎます。

アズやっこ
恋愛
私の父、国王陛下から、辺境伯へ嫁げと言われました。 隣国の王子の次は辺境伯ですか… 分かりました。 私は第二王女。所詮国の為の駒でしかないのです。 例え父であっても国王陛下には逆らえません。 辺境伯様… 若くして家督を継がれ、辺境の地を護っています。 本来ならば第一王女のお姉様が嫁ぐはずでした。 辺境伯様も10歳も年下の私を妻として娶らなければいけないなんて可哀想です。 辺境伯様、大丈夫です。私はご迷惑はおかけしません。 それでも、もし、私でも良いのなら…こんな小娘でも良いのなら…貴方を愛しても良いですか?貴方も私を愛してくれますか? そんな望みを抱いてしまいます。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 設定はゆるいです。  (言葉使いなど、優しい目で読んで頂けると幸いです)  ❈ 誤字脱字等教えて頂けると幸いです。  (出来れば望ましいと思う字、文章を教えて頂けると嬉しいです)

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

処理中です...