偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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【R-15】鈴音編

第75話 最悪の展開 その1

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 翌日の夕方……

 俺は今日のアルバイトを終えて、一度帰宅して、シャワーを浴びてから山本さんの家に晩ご飯を食べるために向かう。
 時間は少し早いが、鈴音さんの事も気に成っていたので向かう。

 今日1日はアルバイト中でも、スマートフォンを肌身離さず持っていた。
 もしかしたら…、鈴音さんから連絡が来るかもと期待していたからだ。
 しかし……連絡は一切来ず、ここ最近は稀子とのRailのやり取りもすっかり減ってしまった……。既読マークは付くが、返信は無いと言うパターンばかりで有った。

 山本さんの家に到着して、リビングの引き戸を開いて挨拶をすると、今日は山本さんのお母さんが料理を作っていた。

「何か、手伝える事は有りますか?」

「えっと……そうね。炊き合わせを小鉢に別けて貰える?」

 山本さんのお母さんは、鍋をダイニングテーブルの方に持ってくる。
 蓋を開けると、美味しいそうな炊き合わせが鍋一杯に入っていた。
 山本さんの家は炊き合わせを大鉢に入れて、みんなでつつくスタイルでは無い。小鉢に1人ずつ小分けされる。
 俺は炊き合わせを小分けしながら、軽く状況を覗ってみる。

「…今日は、孝明さんや鈴音さん達は居ないのですか」

「えぇ、孝明は工場こうばですし、鈴音さんや稀子さんは自室だと思います」

「……そうですか?」

(山本さんのお母さんは、余り他人に興味が無いのか?)
(でも、そんな訳無いよな…。そうだったら、自分の家を下宿先にして、人を2人も住まわせない)

(この人はこの人で、何を考えて居るのだろう?)

 俺はそう思いながら、おばさんの作る料理を手伝った……

 ……

 晩ご飯の時間……

 俺はてっきり、鈴音さんと山本さんの2人でリビングに来ると思っていたが、鈴音さん1人でリビングに入ってきた。表情もやはり元気が無い……

「こんばんは。鈴音さん!」

「あっ、はい…。こんばんは、比叡さん……」

(これは、話し合い失敗したか…)

 俺はそう考えながらも、山本さんと稀子の到着を待つ。
 つい最近までは、鈴音さんと稀子が同時にリビングに来ていたが、ここ数日は別々で有った。
 数分が経った頃……。稀子が来て、その後直ぐに山本さんもリビングに来る。

「こんばんは! 比叡君!!」

「こんばんは…。稀子ちゃん」

「今日も美味しそうなご飯だね~~♪」
「焼きシシャモも美味しそう~~」

「比叡君! 今日も“モリモリ”食べようね!」

「あぁ……そうだね…」

 稀子は何時も通りの元気な声で、声を掛けてくれる。食欲も有りそうだ。
 それは良いのだが……、落ち込んでいる親友を気にはしないのか!?

 鈴音さんと山本さんが対立して以来、炊飯器の置かれている場所が変わった。
 それまでは、鈴音さん近くに炊飯器が有ったのだが、今は山本さんのお母さんの場所に変更になった。
 山本さんが、鈴音さんにお代わりを頼みたくない理由らしい。この人も子どもか!?

 食事前の挨拶をして、今日も晩ご飯が始まる……
 誰かが、積極的に会話をする訳で無く、黙々と食事の時間が進んでいく。
 修行僧や刑務所で有るまいし、談笑の無い食事なんか、はっきり言って美味しくない!
 俺は何時まで、この詰まらない晩ご飯が続くかと思いながら今日も食事を取る。

「ごちそうさま…」

 山本さんは食事を終えると、今日はリビングからは出て行かずに、ソファー座ってテレビを付けて見始める。
 バラエティー番組を見ていて、時々笑い声を上げている。

「ご馳走様でした…」

 鈴音さんも食事を終えて、この後はどうするのだろう?

「お母様……。今日は少し用事が有りますので、後片付けはすいません」

 鈴音さんはそう言いながら、頭を『ペコリ』と下げる。

「良いですよ。鈴音さん! あなたはまだ、学園生ですから!」

「本当にすいません…」

 鈴音さんが頭を再度下げると同時に、稀子が鈴音さんに質問をする。

「あれ? りんちゃん。何か有るの?」

「えっ、えぇ……」

 鈴音さんはそう言うと、リビングから出て行ってしまう。

「比叡君?」
「最近の鈴ちゃん変だね?」

(いや『お前が原因だろ』と言いたいが、山本さん親子が居る手前、それは言えない)

「変とは…?」

 こう成ったら、ワザと言って探りを入れたる。

「何かね……ずっと、落ち込んでいるような」
「何が有ったのかな…?」

(こいつ。絶対にワザと言っているだろ!)
(稀子が鈴音さんからの伝言を伝えてない事は、こっちだって知って居るんだぞ!!)

「早く、鈴ちゃんが元気になると良いね!」
「比叡君!!」

「あぁ…」

 稀子は猫かぶりをしているが、俺はそれを言えなかった。
 それを言ってしまうと、俺と鈴音さんの関係が明るみに出てしまう。
 晩ご飯後の後片付けを手伝ってから、俺はアパートに戻る。

 鈴音さんに電話を掛けようかと考えたが、もしかしたら、山本さんと話し合いをして居るかも知れないので、俺から電話を掛ける事は、今日はしない事にした。
 雑用をしてから、テレビのニュース番組を見ていると、スマートフォンから着信音が流れる。

 俺は着信名を見ると鈴音さんからだった……
 吉報か不幸事か、どちらかが判らないが、俺は鈴音さんからの着信に出た。
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