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【R-15】鈴音編
第74話 鈴音さんと電話相談
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「私の相談よりかは、稀子さんなのですが…」
「はい…?」
何で、自分の相談より稀子が出て来るのだ?
鈴音さんも俺と同じ事を考えて居るのか?
「稀子さんは『私が、ネゴシエーターに成って上げる!』と言うのですが、そんな感じが全然しないのです…」
「私の気持ちを稀子さんに伝言しているのですが、孝明さんから全く返事が来ないのです…」
「……」
「本当の交渉人なら、もう何処かで、話し合いの場は設けられているはずです!」
「でも……、その話は全然来ません」
「稀子さんは本当に、私の親友でしょうか?」
やはりと言うか……鈴音さんも同じ事を考えていたか?
「鈴音さん」
「稀子を当てにするのは止めて、鈴音さん自身で山本さんに、話し掛けたらどうですか?」
「……やはり、そうですよね!」
「私も稀子さんにその様に相談したら『鈴ちゃんは、私の事が信用出来ないの!?』と言われまして、本当に困っていたのです」
「鈴音さん……俺の予想ですけど、稀子は山本さんを諦めてはいません!」
「今直ぐにでも対応しないと手遅れになります……。引き留めてしまった俺が言うのも何ですか」
「いえ、比叡さん…。そんなに自分を責めないで下さい!」
「私もあの時は、感情的に成っていました」
「実はあの時が……初めて、孝明さんに私の気持ちを言ったのです!」
「孝明さんに告白された時、私は只頷いただけでした!」
「私からは言葉を述べてません…。私を好いてくれる人なら、私を大切にしてくれると感じてましたから…」
「まさか……、こんな状態に成ってしまうとは?!」
聞きたくは無いが…、電話向こうから啜り泣きの声が聞こえてくる。
こんな心が綺麗な子を、山本さんに返すのは勿体ないが……
「鈴音さん!」
「泣かないで下さい。明日にでも山本さんと話し合いをしましょう!」
「1人が嫌でしたら、俺も同席します!」
俺がそう言うと、鈴音さんは強い口調で言ってくる。
「それは駄目です!!」
「私と孝明さんの場に比叡さんが出て来たら、孝明さんは激怒します!」
「あの人は、自分の世界に邪魔者が入るのが一番嫌いなのです!!」
「それでしたら……何故、稀子は大丈夫なのですか?」
「稀子も、本来は部外者のはず!」
「孝明さんはきっと、稀子さんの事は許していると思うのです」
「私が居なければ……孝明さんは、稀子と関係を深めていたはず。でも、将来性を考えて私を選んだと言うよりかは、私をキープしたのだと感じます」
稀子が家出をした時、稀子は帰りたく無いから俺の所に残りたいと言い、山本さんと交渉したが……、鈴音さんが援護するまでは、山本さんは稀子を連れ戻す気満々だった。
稀子を異性として見られないと言う割には、山本さんと稀子は仲が良い。
鈴音さんは真面目だし、口調も優しいし、思いやりも有る。
俺の中で見ても完璧の女性だが、面白みが欠ける部分も有る。
こんな言い方しては駄目だが、妻としては良いが、遊び相手として物足りない。
俺の場合……稀子と居て楽しい事は楽しいが、稀子は押しが強いし、直ぐに拗ねるから心が疲れる時も多い。
俺は稀子より、鈴音さんの方がタイプだと判ってしまったし、このままの状態が続いてくれた方が、都合が良いのはこちらとしても事実だが……
「それでも明日、必ず話し合いはして下さい!」
「今の状態が続いて、喜ぶのは稀子(俺)だけです!」
内心『別れろw』と思いながら、口では真面目ぶる俺。
学童保育で指導員をしていた時は、綺麗な心だった筈なのに!?
「分かりました」
「明日の夕方……孝明さんと話し合います」
「比叡さん。相談に乗って下さって、有り難う御座います!」
「それでは、お休みなさい…」
「何か有ったらまた、相談に乗るから!」
「元気出してね。鈴音さん!」
「お休み!」
「はい……では…」
「……」
鈴音さんとの通話が終わる。
「稀子の奴…。本当に山本さんと関係を持つ気だな!」
「でかい釘を刺したいが、俺の言う事は今、絶対に聞かないだろう」
(学園時代にも居たな…)
(自分の意見が通らないと、暴れるか泣く奴)
稀子がそうでは無いが、かなり似ている部分も有った。
(更に稀子は、ずる賢い部分も有るからな…)
稀子が『みなと水族館』に行きたいと言い出した時、俺は距離と金額の関係で渋ったが、稀子は山本さんを使って脅し掛けてきた。
お金に関しては、山本さんから食費名目で貰ったお金だったから、自分の財布は痛まなかったが、稀子は自分の望みを叶えるためなら、手段を選ばない子と言うのも分かってしまった……
(後は鈴音さんが、上手く行けば良いのだが…)
(この状況が続いても、誰も得をする人は居ないはずだ!)
俺はそう考えながら布団を敷く。
今日は直ぐに寝付け無いはずだが、明日の事も有るので俺は布団に潜り込んだ……
「はい…?」
何で、自分の相談より稀子が出て来るのだ?
鈴音さんも俺と同じ事を考えて居るのか?
「稀子さんは『私が、ネゴシエーターに成って上げる!』と言うのですが、そんな感じが全然しないのです…」
「私の気持ちを稀子さんに伝言しているのですが、孝明さんから全く返事が来ないのです…」
「……」
「本当の交渉人なら、もう何処かで、話し合いの場は設けられているはずです!」
「でも……、その話は全然来ません」
「稀子さんは本当に、私の親友でしょうか?」
やはりと言うか……鈴音さんも同じ事を考えていたか?
「鈴音さん」
「稀子を当てにするのは止めて、鈴音さん自身で山本さんに、話し掛けたらどうですか?」
「……やはり、そうですよね!」
「私も稀子さんにその様に相談したら『鈴ちゃんは、私の事が信用出来ないの!?』と言われまして、本当に困っていたのです」
「鈴音さん……俺の予想ですけど、稀子は山本さんを諦めてはいません!」
「今直ぐにでも対応しないと手遅れになります……。引き留めてしまった俺が言うのも何ですか」
「いえ、比叡さん…。そんなに自分を責めないで下さい!」
「私もあの時は、感情的に成っていました」
「実はあの時が……初めて、孝明さんに私の気持ちを言ったのです!」
「孝明さんに告白された時、私は只頷いただけでした!」
「私からは言葉を述べてません…。私を好いてくれる人なら、私を大切にしてくれると感じてましたから…」
「まさか……、こんな状態に成ってしまうとは?!」
聞きたくは無いが…、電話向こうから啜り泣きの声が聞こえてくる。
こんな心が綺麗な子を、山本さんに返すのは勿体ないが……
「鈴音さん!」
「泣かないで下さい。明日にでも山本さんと話し合いをしましょう!」
「1人が嫌でしたら、俺も同席します!」
俺がそう言うと、鈴音さんは強い口調で言ってくる。
「それは駄目です!!」
「私と孝明さんの場に比叡さんが出て来たら、孝明さんは激怒します!」
「あの人は、自分の世界に邪魔者が入るのが一番嫌いなのです!!」
「それでしたら……何故、稀子は大丈夫なのですか?」
「稀子も、本来は部外者のはず!」
「孝明さんはきっと、稀子さんの事は許していると思うのです」
「私が居なければ……孝明さんは、稀子と関係を深めていたはず。でも、将来性を考えて私を選んだと言うよりかは、私をキープしたのだと感じます」
稀子が家出をした時、稀子は帰りたく無いから俺の所に残りたいと言い、山本さんと交渉したが……、鈴音さんが援護するまでは、山本さんは稀子を連れ戻す気満々だった。
稀子を異性として見られないと言う割には、山本さんと稀子は仲が良い。
鈴音さんは真面目だし、口調も優しいし、思いやりも有る。
俺の中で見ても完璧の女性だが、面白みが欠ける部分も有る。
こんな言い方しては駄目だが、妻としては良いが、遊び相手として物足りない。
俺の場合……稀子と居て楽しい事は楽しいが、稀子は押しが強いし、直ぐに拗ねるから心が疲れる時も多い。
俺は稀子より、鈴音さんの方がタイプだと判ってしまったし、このままの状態が続いてくれた方が、都合が良いのはこちらとしても事実だが……
「それでも明日、必ず話し合いはして下さい!」
「今の状態が続いて、喜ぶのは稀子(俺)だけです!」
内心『別れろw』と思いながら、口では真面目ぶる俺。
学童保育で指導員をしていた時は、綺麗な心だった筈なのに!?
「分かりました」
「明日の夕方……孝明さんと話し合います」
「比叡さん。相談に乗って下さって、有り難う御座います!」
「それでは、お休みなさい…」
「何か有ったらまた、相談に乗るから!」
「元気出してね。鈴音さん!」
「お休み!」
「はい……では…」
「……」
鈴音さんとの通話が終わる。
「稀子の奴…。本当に山本さんと関係を持つ気だな!」
「でかい釘を刺したいが、俺の言う事は今、絶対に聞かないだろう」
(学園時代にも居たな…)
(自分の意見が通らないと、暴れるか泣く奴)
稀子がそうでは無いが、かなり似ている部分も有った。
(更に稀子は、ずる賢い部分も有るからな…)
稀子が『みなと水族館』に行きたいと言い出した時、俺は距離と金額の関係で渋ったが、稀子は山本さんを使って脅し掛けてきた。
お金に関しては、山本さんから食費名目で貰ったお金だったから、自分の財布は痛まなかったが、稀子は自分の望みを叶えるためなら、手段を選ばない子と言うのも分かってしまった……
(後は鈴音さんが、上手く行けば良いのだが…)
(この状況が続いても、誰も得をする人は居ないはずだ!)
俺はそう考えながら布団を敷く。
今日は直ぐに寝付け無いはずだが、明日の事も有るので俺は布団に潜り込んだ……
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