偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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稀子編

第71話 稀子の部屋で……

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 鈴音さんが部屋を出た後、俺は稀子に質問をする。

「2階は稀子と後、誰が居るの?」

「2階は、私とりんちゃんだけだよ!」

「山本さん達は?」

「山本さんのお母さんは1階で、山本さんは離れだよ」

「離れも有るんだ……結構大きい家だね」

「そうだね! だから、私達が下宿出来るんだよ!!」

「稀子」
「山本さんのお父さんの亡くなった理由は、稀子は知っている?」

「山本さんのお父さん……?」
「う~ん、お酒飲んだ帰り道に、事故に遭ったとか聞いた様な…」

「飲酒!?」
「それは車で!?」

「違うよ比叡君…」
「山本さんが運転して居たのでは無くて、ねられた方…」

「歩行者側か…」

 状況は良く分からないが、山本(孝明)さんも酒好きだからな…。暴○族のヘッドもして居たみたいだし、泥酔状態で父親が事故に遭えばキツいよな……

「稀子ちゃん。それは何時いつ位か分かる?」

「流石に其処までは知らないよ……。でも、私達が来た(下宿)時には、もう山本さんのお父さんは亡くなって居た…」

「そうか……。山本さんが本格的に職人に成ろうとした時期もその辺だし、事故に遭ったのは、もっと以前に成るのか…?」

「……比叡君。もう少し楽しい話しようよ!」
「暗い話しは、気持ちが暗くなるから!!」

「あっ、そうだね……」
「でも、稀子……俺は楽しい事より、稀子と気持ち良い事がしたいのだけど……」

「気持ち良い事?」

「足をくすぐるとか?」

「足をくすぐるのはちょっと……」

「じゃあ、後は何が有るのかな…?」
「私では、思いつかないな……頭は良くないし!」

 本当かワザとかは分からないが、稀子はすっとぼける。
 ここが俺のアパートなら強引に行くのだが、ここでは出来ない。(山本さんが恐い!)

「……比叡君。そろそろ帰らない?」
「私、眠くなってきた……。明日も学園だし…」

 稀子は口元を抑えて欠伸をする。眠たいのをアピールする!?
 自分から誘って置いて追い出す!?
 と言っても、明日は平日だ。俺もアルバイトが有るし、稀子も当然学園が有る。

 折角の機会を失いそうだが、俺と稀子は部屋から出て玄関に向かう。
 リビング等の明かりは消えており、山本さん達は就寝しているのかも知れない。

 玄関で、稀子とお休みの挨拶をする。

「じゃあ、稀子。お休み! また明日!!」

「うん。比叡君もお休み!」
「比叡君……」

『お休み』を言ったのに、稀子は俺を何故か手招きする。
 俺は稀子に近づくと……

『チュッ』

 稀子は俺の頬にキスをする。

「……比叡君が先に進みたいのは、私でも分かるのだよ!」
「でも、比叡君。良く聞いてね。私はまだ学園生!」

「鈴ちゃんと山本さんは、その当たりをどうしているかは、まだ聞けてないけど……どうなんだろうね!」

「私としては、卒園までは大人の関係は持ちたくないけど、比叡君がどうしても言うなら、もっと男らしく成って!」

「そう成ったら、時期を早めて上げる気に成るかも!」
「でも、期待しちゃ駄目だぞ!」

 稀子は最後『めっ!』の表情をしながら言う。

「今でも……十分男ですけど…」

 俺は思わずそう反論してしまう。
 稀子は知っていて、知らない振りをしていたのだ!

「でも……比叡君」
「男の割に…、大きな壁にぶつかると、途端に勢いが無くなるのだよね…」

「それは、誰でも同じだと思うが……」

「いんやっ、山本さんは仲間に頼って切り抜けるし、鈴ちゃんは頭が良いから頭脳戦で乗り切る」
「私は勢いで何とかするけど……比叡君の場合は、落ち込んで自滅している様な感じがするの!」

「うっ……」

 中々、痛い所を突いて来るな稀子。

「さっきの山本さんの話し合いだって、結果的には同じ道に進むのだろうけど、その途中で比叡君は、問題には直面していたけど、私の中では逃げ出そうとする気持ちが大きかった!」

「私がスマートフォンを忘れて比叡君の所に行ったから、鈴ちゃんが心配して電話を掛けてきて、私が鈴ちゃんに事情を話して、山本さんとの話し合いの場を作った!」

「これ……本来は、比叡君がする事何だぞ!」
「私や鈴ちゃんに頼りまくり何だぞ!!」

(まさか……この場で、稀子に説教されるとは思わなかった!)

「しかし、鈴ちゃん…。意外に比叡君の事好きかもね…!」
「鈴ちゃんが、全て絵を描いて居る様にも見える……」

 稀子はボソッと言う。

「えっ…!?」

「あっ、これは私の独り言!!」
「だからね、比叡君! 私に格好良い所見せて!!」

「今の比叡君は格好良い時も有るけど、“なよなよ”した所も多い!」
「私は“なよなよ”した比叡君は好きじゃ無い!!」
「私を『キュン❤』とさせないと、この先が大変だぞ!!」

 稀子は俺に『ビシッ』と指をさす。

「……」

 俺は何も言えなかった。
 今回も自分の力で解決は出来ずに、助けて貰ってばかりだから有る。
 玄関の戸締まりの関係で、最後は追い出される様に山本さんの家を出る。

(稀子の言う通り、俺1人では何も解決は出来ていない)
(今後も、助けて貰う事ばかりに成る)

「この恩を何時かは、必ず返さないと行けないな……」
「その前に、稀子の言う格好いい男は、何が基準なんだ!?」

 稀子の場合…、山本さんを絶対に基準にしているが、俺は山本さんには成れない。
 それでも、それに近い何かに成る必要は有ると感じて、俺はアパートに戻った。
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