偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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稀子編

第70話 天使の微笑み

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 山本さんと手打ち後は、時間が時間なので早々にお開きに成った。
 俺は玄関に向かおうとすると、以前の様に稀子に呼び止められる。

「比叡君! 少しお話しよ!」

「良いけど……大分夜は遅いよ」

「大丈夫、10分位だから!」
「今日は、私の部屋でお話ししよう!!」

 稀子と関係が深くなったのか、遂に稀子の部屋に招待される。
 これは素晴らしい展開が待っているか!?
 稀子の部屋は2階に有るので、階段を上がって稀子の部屋に入る。

 初めては語弊が有るので、久しぶりに入る女の子の部屋。小学生以来で有る。
 稀子の部屋は以外にさっぱりしており、勉強机にベッド、本棚が有る位だった。

「女の子の部屋だけど、意外に物が無いね」

「そりゃあそうだよ。比叡君!」
「ここは下宿先だから、荷物も必要最低限だし、かさばる物は後が大変だから置けないよ!」

「あっ、そっか。山本さん達との暮らしぶりから実の家だと思っていた…」

「下宿先だから、友達も呼びにくくてね///」
「私のクッションだけど座って!」

 稀子はそう言って、稀子は勉強机の椅子に座り俺の方に体を向ける。
 折角だから、稀子が普段座っているクッションに腰を下ろす。
 本当は稀子の香りを嗅ぎたいが……何を言っているのだ俺は!?

「でも、良かったね~~。解決出来て!」

「本当。鈴音さんに感謝だよ!」

「あの時、りんちゃんが言ってなければ、比叡君はまた追い出されていたかもね」

 俺が追い出される様に出て行ったのは、鈴音さんから聞いたようだ。

「本当にそうだよ!」
「山本さんが本当に、俺を見限って居たなんて思って無かったから…」

『トントン』

 誰かが部屋のドアをノックする。

「この、ノックの仕方は鈴ちゃんだ!」
「鈴ちゃん! 大丈夫だよ!!」

 稀子がドア向こうの相手に言うと、ドアが開いて鈴音さんが入ってくる。

「比叡さん、こんばんは」
「お楽しみ中の時間に、申し訳有りません!」

 冗談だと思うが、そう言って鈴音さんは入ってくる。

「んっ……鈴ちゃん」
「別に楽しんでは無いよ。比叡君とお話ししているだけ…」

 やはりそう言うか。稀子は言葉の理解が出来ていない。
 またそれも、稀子の良い所か……

「鈴音さん。先ほどは、ありがとうございました!」
「何度も助けられて、感謝しきれないです///」

 俺はそう言いながら頭を下げる。

「いえ、いえ、お役に立てたようで幸いでしたわ!」

 笑顔で返してくれる鈴音さん。
 しかし、俺は気に成る事が有るので聞いて見る。

「あっ、あの鈴音さん……」

「はい…?」

「何故……俺を助けてくれたのですか?」
「助けて貰ってこんな事を言うのも何ですか、鈴音さんとはそんなに深い関係では有りませんし…」

「う~ん」
「何故でしょう…?」

 鈴音さんは困った表情をして悩み始める。
 俺、変な事言ったか?

「そうですね……理由は無いですけど、理由として言えば、稀子さんの大切な人ですかね?」

「あっ…」

 鈴音さんのその言葉で、稀子の顔が赤くなる。

「2人共……まだ、恋人の関係までは発展していないのですよね?」

 鈴音さんがそう聞いてきたので、さっきアパートで稀子と、関係が深く成った事を報告しようとすると…

「あっ、先ほどようやく―――」

「スト~ップ。比叡君!」

 稀子はここで待ったを掛ける。

「稀子……」

「比叡君!」
「勘違いしちゃ駄目だぞ!」
「比叡君を少し異性で見て居るだけで有って、まだ本当には見ていないから!!」

「今、比叡君と男女の関係に成ると、比叡君は絶対に甘えると思う!」
「比叡君の道は見え始めたけど、比叡君はまだ進み出していない!」
「通信講座の申し込みもこれからだし、本格的に保育士さんに成る方法もこれから!」

「あの時、山本さんが比叡君を見捨てれば、私は比叡君に付いて行ったけど、仲良くなったから、比叡君を男として見るのはお預け!!」

「そっ、そんな~~稀子!」

「本当に私を恋人にしたいなら、頑張って保育士さんに成るんだね!」
「そうしたら、本当に考えてあげるよ!!」

 稀子は悪戯っぽく笑う。
 それを見てクスクス笑う鈴音さん。
 一気に稀子と距離が縮まったと思っていたら、また親友状態に戻ってしまった……

「まぁ、まぁ、お二人とも落ち着いて…」
「比叡さん!」

「あっ、はい…」

「それだけ、稀子さんは比叡さんを期待しているのです!」
「期待しなければそんな事も言いませんし、比叡さんのアパートにも行きません」

「私は稀子さんが好きですし、出来れば稀子さんの悲しむ顔は、余り見たくは有りません…」
「今回、比叡さんを助けた理由は、“稀子さんを悲しませたく無かった”でしましょう!」

「……そうですよね」
「あんな形で離ればなれに成ってしまったら、お互いが苦しいですよね」

「比叡さん。これから、色々と大変でしょうが、困った事が有れば、ドンドン相談して下さいね!」

「あっ、はい!」
「ありがとうございます」

「では、この辺で失礼します」
「比叡さん、稀子さん。お休みなさい」

「あっ、お休みなさい。鈴音さん」

「お休み~~鈴ちゃん!!」

 そう言って、鈴音さんは部屋を出て行った。
 俺を助けた理由は、稀子の親友だと言うが、それは本当だろうか?
 少し疑問は残るが、稀子との会話を再開させた……
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