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稀子編
第57話 アルバイト初給料
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昨夜起きた、鈴音さんと山本さんの口論……
鈴音さんは本当に工場に出向いたが、其処には山本さん親子が居て、山本(孝明)さんは母親に叱られていたらしい。
『あんたって言う子は、本当に口下手だね!』
『あんな良い子、何処を探しても居ないよ!』等と言われていたらしい。(鈴音談)
山本(孝明)さんとしては『鈴音は学園生だから、手伝いより勉学に励んで貰いたい』と言い続けたが、山本さんのお母さんと鈴音さんの3人での話し合いの結果……
怪我をする恐れはほぼ無い、検品・包装・梱包に関する部分は、鈴音さんが手伝える様に成った見たいだ。
工具類を使う仕事に関しては山本さんは折れずに、学園を卒園するまでは無理らしいが、それでも鈴音さんは喜んでいた。
『比叡さん! 聞いて下さい!!』
『これで、最初の1歩が踏み出せました!』
翌日の晩ご飯時……
鈴音さんが、俺に声を掛けた時の一声だった。
鈴音さんの今までお手伝いは、箱に入ったランドセルを袋に入れて渡すだけだった。
それが……出来たばかりのランドセルを問題無いか確認して、包装して、梱包する。
一見、面白みの無さそうな仕事だが、それでも鈴音さんは凄く喜んでいた。
職人の世界は下働きから始まる。
鈴音さんもこれで、職人の第1歩を踏み出す事に成るのだろうか?
俺的には嬉しいはずだが、悲しい面も有った……。これで鈴音さんとの関係はこれ以上深く成らないからだ。
鈴音さんが学園を卒園すれば、恐らく進学はせずに職人の世界に入るだろう……
山本さん自身もそれを何処かで認めたから、関わらせるはずだ。
一応、鈴音さんとは連絡先の交換は出来たが、俺自ら鈴音さんに連絡を取る事は少ないだろう……
2人の時間が長ければ長いほど、俺と鈴音さんの関係は希薄に成って行く。
俺には稀子が居るからと言いたいが、やはり隣の芝生は青かった。
人間という生き物は卑しい生き物だ……
……
アルバイト(仕事)に関しては、最初の1週間はバリ取り(加工仕上げ)ばかりだったが、1週間以降はMC旋盤の機械補助を任されて、材料の取り付け、製品の取り外しを行う様に成った。
トラブルの対応は、社員が対応する。
材料が製品に成る時間は、材料の大きさや加工内容によって、“まちまち”なのだが、数分で出来てしまう製品だと、機械作業の方ばかりに成ってしまって、バリ取り作業が進まなくなる。
時々……急ぎのバリ取り仕事が入ってきた時に、1サイクルの短い機械を動かしていると、バリ取りが進まなくて慌てる事も有ったが……何とか頑張っている。
……
…
・
時は少し過ぎて、3月下旬……
今日は給料日で有る。
今の時代は銀行振り込みなので、給料明細を貰うだけで有る。
俺のアルバイト先は、月末締め・翌月下旬支払いなので、初給料には成るけど余り働いていないので給料も少ない……。それでも初給料には変わらない。
給料日の夕方。
アルバイトを終えた俺は、アパートには直ぐには戻らずに市街地の方に向かう。
市街地に在る銀行のATMで通帳の記載と、必要な分のお金を下ろして銀行から出る。
銀行を出た時に、俺は有る事を考えて居た。
『アルバイトでの初給料、期待しているね!!』稀子の言葉を思い出して考えて居た。
(何かを……買っていかないと行けないよな…)
俺は何を買っていくべきかと、迷いながら市街地を歩いているとお菓子屋さんを見つける。大手チェーン店のお菓子屋だ。
(ケーキを買って、プレゼントすれば問題無いか?)
稀子も鈴音さんも甘い物は大好きそうだ。
休日のお茶に誘われる時には、手作りのクッキー等の菓子類が出る時も有る。
大手チェーン店のケーキだから、数を沢山買っても、財布に大きなダメージは受けない。
お菓子屋さんに入り、ショーケースに有ったケーキ類を、適当に選んで買ってアパートに戻った。
今日は寄り道をしていたので、シャワーを浴びて汗と汚れを流して、直ぐに山本さんの家に向かう。
山本さんの家のリビングの引き戸を開いて、挨拶をすると、今日は山本さんのお母さんが料理を作っていた。
「こんばんは!」
「あら!」
「青柳さん。こんばんは」
「おばさん!」
「今日は自分の初給料ですので、お礼も兼ねてケーキを買ってきました!」
「あら、あら。気を遣わなくても良いのに…」
「いえ、皆さんには大変お世話に成っていますから…」
「それでは……青柳さんの心遣いだから頂きます」
山本さんのお母さんは、ケーキの入った箱を受け取る。
「…何か、手伝える事は有りますか?」
「それでしたら、ボウルに入っている、和え物を小鉢に別けて貰える?」
「わかりました!!」
俺は、山本さんのお母さんの晩ご飯作りを手伝う……
……
みんなが揃っての晩ご飯後……
山本さんのお母さんが話を切り出す。
「今日は、青柳さんからケーキを頂いたの!」
山本さんのお母さんがそう言うと……
「ケーキ!!」
「比叡君が買って来てくれたの!!」
「でも、何で…?」
稀子は嬉しそうに言うが、少し疑問を感じた様だ。
「今日が給料日だから……それと、皆さんからお世話に成っているので、お礼の気持ちです…」
「比叡君!」
「覚えてくれていたんだ!!」
「嬉しい~~」
稀子はケーキが食べられる事と、稀子が言った事を俺が覚えていたので、何時もより喜んでいる様だ。
みんなで仲良くケーキを食べて、食後の時間を楽しんだ……
ケーキは、1人2個位は食べられるように買って来たが、綺麗に無くなってしまった。
山本さんは、酒好きなのに甘い物好きみたいだ……。普段とは違う時間を楽しんだ!
鈴音さんは本当に工場に出向いたが、其処には山本さん親子が居て、山本(孝明)さんは母親に叱られていたらしい。
『あんたって言う子は、本当に口下手だね!』
『あんな良い子、何処を探しても居ないよ!』等と言われていたらしい。(鈴音談)
山本(孝明)さんとしては『鈴音は学園生だから、手伝いより勉学に励んで貰いたい』と言い続けたが、山本さんのお母さんと鈴音さんの3人での話し合いの結果……
怪我をする恐れはほぼ無い、検品・包装・梱包に関する部分は、鈴音さんが手伝える様に成った見たいだ。
工具類を使う仕事に関しては山本さんは折れずに、学園を卒園するまでは無理らしいが、それでも鈴音さんは喜んでいた。
『比叡さん! 聞いて下さい!!』
『これで、最初の1歩が踏み出せました!』
翌日の晩ご飯時……
鈴音さんが、俺に声を掛けた時の一声だった。
鈴音さんの今までお手伝いは、箱に入ったランドセルを袋に入れて渡すだけだった。
それが……出来たばかりのランドセルを問題無いか確認して、包装して、梱包する。
一見、面白みの無さそうな仕事だが、それでも鈴音さんは凄く喜んでいた。
職人の世界は下働きから始まる。
鈴音さんもこれで、職人の第1歩を踏み出す事に成るのだろうか?
俺的には嬉しいはずだが、悲しい面も有った……。これで鈴音さんとの関係はこれ以上深く成らないからだ。
鈴音さんが学園を卒園すれば、恐らく進学はせずに職人の世界に入るだろう……
山本さん自身もそれを何処かで認めたから、関わらせるはずだ。
一応、鈴音さんとは連絡先の交換は出来たが、俺自ら鈴音さんに連絡を取る事は少ないだろう……
2人の時間が長ければ長いほど、俺と鈴音さんの関係は希薄に成って行く。
俺には稀子が居るからと言いたいが、やはり隣の芝生は青かった。
人間という生き物は卑しい生き物だ……
……
アルバイト(仕事)に関しては、最初の1週間はバリ取り(加工仕上げ)ばかりだったが、1週間以降はMC旋盤の機械補助を任されて、材料の取り付け、製品の取り外しを行う様に成った。
トラブルの対応は、社員が対応する。
材料が製品に成る時間は、材料の大きさや加工内容によって、“まちまち”なのだが、数分で出来てしまう製品だと、機械作業の方ばかりに成ってしまって、バリ取り作業が進まなくなる。
時々……急ぎのバリ取り仕事が入ってきた時に、1サイクルの短い機械を動かしていると、バリ取りが進まなくて慌てる事も有ったが……何とか頑張っている。
……
…
・
時は少し過ぎて、3月下旬……
今日は給料日で有る。
今の時代は銀行振り込みなので、給料明細を貰うだけで有る。
俺のアルバイト先は、月末締め・翌月下旬支払いなので、初給料には成るけど余り働いていないので給料も少ない……。それでも初給料には変わらない。
給料日の夕方。
アルバイトを終えた俺は、アパートには直ぐには戻らずに市街地の方に向かう。
市街地に在る銀行のATMで通帳の記載と、必要な分のお金を下ろして銀行から出る。
銀行を出た時に、俺は有る事を考えて居た。
『アルバイトでの初給料、期待しているね!!』稀子の言葉を思い出して考えて居た。
(何かを……買っていかないと行けないよな…)
俺は何を買っていくべきかと、迷いながら市街地を歩いているとお菓子屋さんを見つける。大手チェーン店のお菓子屋だ。
(ケーキを買って、プレゼントすれば問題無いか?)
稀子も鈴音さんも甘い物は大好きそうだ。
休日のお茶に誘われる時には、手作りのクッキー等の菓子類が出る時も有る。
大手チェーン店のケーキだから、数を沢山買っても、財布に大きなダメージは受けない。
お菓子屋さんに入り、ショーケースに有ったケーキ類を、適当に選んで買ってアパートに戻った。
今日は寄り道をしていたので、シャワーを浴びて汗と汚れを流して、直ぐに山本さんの家に向かう。
山本さんの家のリビングの引き戸を開いて、挨拶をすると、今日は山本さんのお母さんが料理を作っていた。
「こんばんは!」
「あら!」
「青柳さん。こんばんは」
「おばさん!」
「今日は自分の初給料ですので、お礼も兼ねてケーキを買ってきました!」
「あら、あら。気を遣わなくても良いのに…」
「いえ、皆さんには大変お世話に成っていますから…」
「それでは……青柳さんの心遣いだから頂きます」
山本さんのお母さんは、ケーキの入った箱を受け取る。
「…何か、手伝える事は有りますか?」
「それでしたら、ボウルに入っている、和え物を小鉢に別けて貰える?」
「わかりました!!」
俺は、山本さんのお母さんの晩ご飯作りを手伝う……
……
みんなが揃っての晩ご飯後……
山本さんのお母さんが話を切り出す。
「今日は、青柳さんからケーキを頂いたの!」
山本さんのお母さんがそう言うと……
「ケーキ!!」
「比叡君が買って来てくれたの!!」
「でも、何で…?」
稀子は嬉しそうに言うが、少し疑問を感じた様だ。
「今日が給料日だから……それと、皆さんからお世話に成っているので、お礼の気持ちです…」
「比叡君!」
「覚えてくれていたんだ!!」
「嬉しい~~」
稀子はケーキが食べられる事と、稀子が言った事を俺が覚えていたので、何時もより喜んでいる様だ。
みんなで仲良くケーキを食べて、食後の時間を楽しんだ……
ケーキは、1人2個位は食べられるように買って来たが、綺麗に無くなってしまった。
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