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稀子編
第52話 晩ご飯は美味しいに決まっている!!
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『いただきます』
食事前の挨拶をして晩ご飯が始まる。
普段の食事では稀子や鈴音さん、山本さんのお母さんはジュース類を飲まない。水かお茶で有る。
酒代を払っている俺には、基本的に瓶ビール大瓶が1本出される。
何故、大瓶かと言うと、山本(孝明)さんが大瓶派だからで有る。それのご相伴を俺は貰っている。
飲むか飲まないかは事前に聞いてくれる。仮に毎日……瓶ビール大瓶を1本飲んでいたら、絶対に5,000円では収まらない。
山本さんは食事時に飲む人らしく、食事後の飲酒はまずしないそうだ。
俺は食事前の挨拶の後、自分の瓶ビールを持って、山本さんのコップにビールを注ぐ。
これをするのは儀式みたいな物で、この後は手酌に成る。
作法というか山本(孝明)さんルールだ。これは土曜の晩ご飯時に教えられた。
山本さんのコップにビールが注ぎ終わると、今度は山本さんが俺のコップにビールを注いでくる。ビールを注ぎ終えると、山本さんは聞いてくる。
「比叡君。どうだった?」
「アルバイトの初日は?」
「あっ、はい!」
「肉体的には問題無いですが、結構細かい作業ですね…」
「そうなのか!」
「機械を使って、やるのでは無いのか?」
「今日の場合は手作業でした……。これが毎日だと大変ですね」
山本さんはビールを飲み干して、手酌でビールを注いでる。
ビールを注ぎ終えると……
「……紹介した手前、こんな事を言っては駄目だが、肉体労働が良ければそっちも紹介するぞ!」
「時給は、そっちの方が遙かに良いからな!」
「あっ、今の所で大丈夫です。家からも近いし、定時で上がれるので…」
「そうか!」
「比叡君が良いなら、それで良い!」
「学校に通うまで、まだ時間は有ると思うから、Wワークをする気が有るならまた言ってくれ。紹介するから!!」
「あっ、はい……その時は…」
俺はそう言いながら、ここでやっとビールを飲む。
労働の後のビールは本当に美味しい。自分自身で『お疲れ様!』と心の中で言う。
Wワークに付いては、今の所は考えてない。
しかし、今のアルバイトだけでは、学校生活の後半には、厳しくなるのは目に見えていた。
山本さんの言う通り、アルバイト休日の時に、別のアルバイトを入れた方が良いかも知れない。
その話は横に置いておいて、俺は早速……肉じゃがを食べる!
鈴音さんの作った、肉じゃがの肉は、豚肉で有った。
「うぁ!」
「ジャガイモが“ほくほく”で、味付けも甘すぎず、塩加減も丁度良くて美味しい!」
俺は誰かに言う訳で無く、グルメレポーター見たいに言う。
すると早速、山本さんが絡んでくる。
「旨いだろ! 比叡君!!」
「鈴音は、煮込み料理系は大得意だからな!」
「明日のために、腹一杯食べて帰れよ!」
「そう言って下さると嬉しいですわ!」
山本さんは自分が褒められた様に言って、鈴音さんも和やかな笑顔で返してくれる。
しかし……稀子の表情は少し拗ねた顔をしていた。
サンドイッチの時からそうだが、稀子は鈴音さんの料理に対して、対抗心を持つ様に成った。
初日の歓迎パーティ時は、稀子が揚げ物担当、鈴音さんがクリームシチューの担当だったが、その料理が、2人の自信作の料理なのだろうか?
そうすれば…、サンドイッチも出て来ても良いはずだが、サンドイッチは無くて、代わりに“おにぎり”が有った。
おにぎりを握ったのは山本さんで有った。
(あの時……おにぎりが有ったのは、山本さんも何かの料理を出したかったのかな?)
(それより、稀子の機嫌を直さなくては!!)
「そう言えば……稀子ちゃんも料理手伝っていたよね!」
「稀子ちゃんは、どれ作ったの?」
ベタな方法だが、稀子なら喰いつくと思って、俺は稀子に話し掛ける。
しかし、稀子は不機嫌そうな口調で返事をする。
「んっ……私の料理?」
「これ…」
「でも私は、ナスをオーブントースターで焼いただけだから、料理では無いね…」
稀子は喰いついた事は喰いついたが、稀子の元気パワーを全然感じない。棒読み状態で有る。
俺はそれでも、稀子を褒めるために、ナスの肉味噌がけを食べる。
ナスの焼き加減も……丁度トロトロで美味しくて、それがまた肉味噌とぴったり合う。
「ナスの焼き加減も丁度良くて美味しいよ。稀子ちゃん!」
「肉味噌がいくら良くても、ナスの焼き加減が悪いと台無しに成るから、稀子ちゃんは料理上手だよ!!」
稀子の機嫌が少しでも良くなる様に、俺はベタ褒めをする。
すると…段々、拗ねていた表情から笑顔が戻っていく。
「もぉ~~比叡君たら❤」
「そんなに言われると、嬉しく成っちゃうよ♪」
「だよね!」
「鈴ちゃんの作った肉味噌が美味しくても、ナスが美味しくなければ意味が無いもんね!!」
稀子はそう言いながら、ナスの肉味噌がけを食べ始める。
「うん。うん。美味しい!」
「私には料理センスが有るかも!!」
自画自賛しながら稀子は食べている。
どうやら、稀子の機嫌は直った様だ。そうすると、山本さんが俺に耳打ちをしてくる。
俺は何だろうと思った……
食事前の挨拶をして晩ご飯が始まる。
普段の食事では稀子や鈴音さん、山本さんのお母さんはジュース類を飲まない。水かお茶で有る。
酒代を払っている俺には、基本的に瓶ビール大瓶が1本出される。
何故、大瓶かと言うと、山本(孝明)さんが大瓶派だからで有る。それのご相伴を俺は貰っている。
飲むか飲まないかは事前に聞いてくれる。仮に毎日……瓶ビール大瓶を1本飲んでいたら、絶対に5,000円では収まらない。
山本さんは食事時に飲む人らしく、食事後の飲酒はまずしないそうだ。
俺は食事前の挨拶の後、自分の瓶ビールを持って、山本さんのコップにビールを注ぐ。
これをするのは儀式みたいな物で、この後は手酌に成る。
作法というか山本(孝明)さんルールだ。これは土曜の晩ご飯時に教えられた。
山本さんのコップにビールが注ぎ終わると、今度は山本さんが俺のコップにビールを注いでくる。ビールを注ぎ終えると、山本さんは聞いてくる。
「比叡君。どうだった?」
「アルバイトの初日は?」
「あっ、はい!」
「肉体的には問題無いですが、結構細かい作業ですね…」
「そうなのか!」
「機械を使って、やるのでは無いのか?」
「今日の場合は手作業でした……。これが毎日だと大変ですね」
山本さんはビールを飲み干して、手酌でビールを注いでる。
ビールを注ぎ終えると……
「……紹介した手前、こんな事を言っては駄目だが、肉体労働が良ければそっちも紹介するぞ!」
「時給は、そっちの方が遙かに良いからな!」
「あっ、今の所で大丈夫です。家からも近いし、定時で上がれるので…」
「そうか!」
「比叡君が良いなら、それで良い!」
「学校に通うまで、まだ時間は有ると思うから、Wワークをする気が有るならまた言ってくれ。紹介するから!!」
「あっ、はい……その時は…」
俺はそう言いながら、ここでやっとビールを飲む。
労働の後のビールは本当に美味しい。自分自身で『お疲れ様!』と心の中で言う。
Wワークに付いては、今の所は考えてない。
しかし、今のアルバイトだけでは、学校生活の後半には、厳しくなるのは目に見えていた。
山本さんの言う通り、アルバイト休日の時に、別のアルバイトを入れた方が良いかも知れない。
その話は横に置いておいて、俺は早速……肉じゃがを食べる!
鈴音さんの作った、肉じゃがの肉は、豚肉で有った。
「うぁ!」
「ジャガイモが“ほくほく”で、味付けも甘すぎず、塩加減も丁度良くて美味しい!」
俺は誰かに言う訳で無く、グルメレポーター見たいに言う。
すると早速、山本さんが絡んでくる。
「旨いだろ! 比叡君!!」
「鈴音は、煮込み料理系は大得意だからな!」
「明日のために、腹一杯食べて帰れよ!」
「そう言って下さると嬉しいですわ!」
山本さんは自分が褒められた様に言って、鈴音さんも和やかな笑顔で返してくれる。
しかし……稀子の表情は少し拗ねた顔をしていた。
サンドイッチの時からそうだが、稀子は鈴音さんの料理に対して、対抗心を持つ様に成った。
初日の歓迎パーティ時は、稀子が揚げ物担当、鈴音さんがクリームシチューの担当だったが、その料理が、2人の自信作の料理なのだろうか?
そうすれば…、サンドイッチも出て来ても良いはずだが、サンドイッチは無くて、代わりに“おにぎり”が有った。
おにぎりを握ったのは山本さんで有った。
(あの時……おにぎりが有ったのは、山本さんも何かの料理を出したかったのかな?)
(それより、稀子の機嫌を直さなくては!!)
「そう言えば……稀子ちゃんも料理手伝っていたよね!」
「稀子ちゃんは、どれ作ったの?」
ベタな方法だが、稀子なら喰いつくと思って、俺は稀子に話し掛ける。
しかし、稀子は不機嫌そうな口調で返事をする。
「んっ……私の料理?」
「これ…」
「でも私は、ナスをオーブントースターで焼いただけだから、料理では無いね…」
稀子は喰いついた事は喰いついたが、稀子の元気パワーを全然感じない。棒読み状態で有る。
俺はそれでも、稀子を褒めるために、ナスの肉味噌がけを食べる。
ナスの焼き加減も……丁度トロトロで美味しくて、それがまた肉味噌とぴったり合う。
「ナスの焼き加減も丁度良くて美味しいよ。稀子ちゃん!」
「肉味噌がいくら良くても、ナスの焼き加減が悪いと台無しに成るから、稀子ちゃんは料理上手だよ!!」
稀子の機嫌が少しでも良くなる様に、俺はベタ褒めをする。
すると…段々、拗ねていた表情から笑顔が戻っていく。
「もぉ~~比叡君たら❤」
「そんなに言われると、嬉しく成っちゃうよ♪」
「だよね!」
「鈴ちゃんの作った肉味噌が美味しくても、ナスが美味しくなければ意味が無いもんね!!」
稀子はそう言いながら、ナスの肉味噌がけを食べ始める。
「うん。うん。美味しい!」
「私には料理センスが有るかも!!」
自画自賛しながら稀子は食べている。
どうやら、稀子の機嫌は直った様だ。そうすると、山本さんが俺に耳打ちをしてくる。
俺は何だろうと思った……
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