偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
52 / 434
稀子編

第50話 労働の後の食事と言いたいが…… その1

しおりを挟む
 アルバイト先で有る会社から出た後は、特に用事は無いのでアパートに戻る。
 晩ご飯は山本さんの家で頂く事に成っているが、お金を払ってるとは言え、多少は手伝わないと気まずい事が昨日分かったので、シャワーを浴びてから山本(稀子)さんの家に向かう事にする。

 どうして分かったかと言うと……、稀子や鈴音さんは気にしてない感じだったが、山本さんは違った!
 表情だけで口には出さなかったが態度からして『こいつ……甘い顔しやがったら、甘えやがって。今は良いが―――』見たいな空気とオーラを読み取ってしまった!
 俺はこれでも、人の状態を観察するのは出来る方で有る。相手が何をしたいか、何を望んでいるかは大体予想出来る。

 学童保育で指導員をしていた時代。俺の上司だった中年女性も、どちらかと言うと感情で動く人だった。
 “あぁ”言った人は、己に非が有っても『私は悪くない! あいつが私を傷つけたと!!』と平気で言う。
 周りの人達も敵に回したくないから、相手に決定的な証拠が無い限り、味方に付かれる。
 俺がクビにされる時、中年女性と言い合いをしていたが、周りの指導員は遠巻きで見ているだけだった。傍観者だったのだ! 

(終わってしまった事を思い出しても仕方無いか……)

 ちなみに晩ご飯の時間は19時位で有る。時間は目安と鈴音さんに言われた。
 時間に成ったら、山本さんの家に行って晩ご飯を食べに行って、食べ終わったら軽い片付けをして戻る行為は、俺がお金を払って居る以上、問題は無いと言いたいが、本当にそれをしたければ、最低でも……今の倍の金額を払わなければ成らない。

 でも…、それを本当にしたら鈴音さんも困る前に、俺が山本さんにぶっ飛ばされるに決まっている。フルスイングで来るだろうし、最悪な展開が待っているに違いない!
 俺は昨夜……。晩ご飯を食べ終えてリビングから出る時、山本さんが何も言わずに俺を睨み付ける様に見ていた時……俺はそれに気付いた。
 俺は何だかんだで、甘えた根性を叩き出せては無かった……
 昨日までは稀子からの『晩ご飯出来るよ!』と電話を受けて、山本さんの家に行っていたが、少しでも手伝いが出来る様に、18時半を目安に山本さんの家に向かう。

 山本さんの家の玄関から入り、リビングに向かい引き戸を開く。
 挨拶をしてリビングに入り、ダイニングの方に目を向けると、今日の担当は鈴音さんの様だが稀子も手伝いをしている。稀子が俺に話し掛けてくる。

「あれ…? 比叡君」
「まだ、ご飯は早いよ…」

 稀子は不思議そうな顔をしながら言う。

「食べて帰るだけでは悪いから、手伝おうと思って……山本さん達は?」

 俺がそう稀子に聞くと、稀子では無く、キッチンに居る鈴音さんが返事をする。

「孝明さんは工場こうばの方でして、お母様はお店の方ですけど、もうすぐ戻って来るはずですわ!」

 鈴音さんはそう答える。
 よく考えれば……このお店の営業時間は知らないし、定休日も知らない。お世話に成っているのに何で、俺は基本的の事を聞いてないのだ…?

 山本さんは自らペラペラ喋る人では無いし、却って大事な事も隠そうとする。
 稀子は居候の身分だから、何処まで状況を把握しているか不明だし、鈴音さんも立ち回りの良い人だが、山本さんと同じ様に私的の事は言わない。
 俺が聞けば答えてくれるのだろうけど、俺が聞かない限りは言わない……

(温かい家族だと感じたが違ったか…)
(俺だけ……除け者にされている訳では無いと思うが…)

「……どうしました。比叡さん?」

 俺が黙り込んで考え事をしていたので、鈴音さんが気に掛けてくれる。

「あっ、いえ……よく考えたら、お店の営業時間と定休日を聞いて無かったと…」

「あれ?」
「稀子さんや孝明さんから聞いてないのですか?」

 鈴音さんは、少し声のトーンを上げる。

「えぇ……聞いて無いです」
「大事な部分の筈なのに、駄目ですよね俺……」

 俺は駄目人間をただ寄せながら言うと、鈴音さんが何故か謝りだす。

「それは、ごめんなさい///」
「私はてっきり、稀子さんや孝明さんが伝えていると思っていましたので///」

「あっ、言え、大丈夫です…」
「俺が聞か無かったのが悪いのです。鈴音さん、謝らないで下さい」

 俺が鈴音さんにそう言ってると、稀子が“きょとん”とした表情で聞いてくる。

「でも……比叡君が、それを知ってどうするの?」
「比叡君は、山本さんのお店を手伝う訳でも無いし、定休日を知ったからと言ってどうするの?」

「変な、比叡君…」

 別に稀子の言ってる事は間違ってはない。
 只、俺の中では知らない事より、知っていた方が良いだけで有る。
 お店の営業時間や定休日が判れば、俺が企画するかは別にして、イベントや相談事がしやすくなるだけで有る。
 俺は稀子に、どの様に説明しようか言葉を選んでいた……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

処理中です...