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稀子編
第49話 お昼休みと午後
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……
午前中はずっとバリ取りの作業で有った。
一般的な企業なら、午前10時前後と午後3時頃に休憩の時間が有るが、この会社は午後3時の休憩は有るが、午前10時の休憩は無い。
本当に無い訳では無いが、午前10時の休憩は任意で取る。
実際、10時に休憩を取っている人は、ちらほらとは居たが、殆ど取っている人は居ないと言っても過言では無いだろう……
俺は堂々と休憩を出来る状態では無かったので、トイレ休憩だけで済ました。
仕事の中で、ゆっくりと休めるのが昼休み。
ここの会社の昼休憩は1時間で有った。昼食は事務所が有る建屋で取る。
更衣室(物置)の横が食堂に成っているので、其処に向かい昼食を取る。
企業向け仕出し弁当を食べて、食堂に有るテレビをしばらく見ているが、面白くない内容なので食堂から出る。
この会社は食堂しか休憩室に当たる物が無いので、俺は行き場を失う。
更衣室に向かって、ロッカーからスマートフォンを取り出す。
(稀子に連絡でも取ってみるか?)
そう考えた俺は、Rail(SNS)アプリをタッチして起動させる。
どんな風に、稀子に連絡を取ろうかとしばらく考える……
(無難に『こんにちは、―――』で良いか?)
『稀子。こんにちは』
『今、お昼休憩中だよ!』
と打ち込んで送信をする。
この時間なら、稀子達の学園もお昼休みの筈だろう。
しかし……中々、既読が付く事は無かった。
(まだ、授業中か?)
学園の時間割なんて俺は知らないし、稀子も態々俺には言わない。
近くにビール瓶を入れるケースが転がっていたので、それを椅子代わりにして、適当にネットを眺めていると……
『お仕事は順調?』
Railアプリから通知が来る。稀子からだった。
俺はRailアプリを開いて返信を打つ。
『結構大変……バリ取りを甘く見ていた(汗)』
『数もあまり出来ていないし、順調とは言いにくい……』
俺は思った事を打ち込んで稀子に返信をする。
今度は直ぐに既読マークが付いて返信も早かった。
『初日なんだから、どんまいだよ!』
『お昼からも頑張ってね♪』
稀子からその様な返信が来る。
文面からして…、稀子は会話を切り上げたい感じがしたし、俺の方も後10分位で昼休憩が終わる。
Railを閉じて、スマートフォンを再びロッカーに仕舞って工場の方に戻る。
……
午後からも、午前中の続きでバリ取りの作業が始まる。
多少、作業速度は早く成っては来たが、それでも数はこなせていない。
作業も少し飽きてきたし、お昼ご飯を食べたばかりの午後……もちろん眠気もやってくる。
危険な作業をしている訳では無いので、怪我をする可能性は低いが、集中力は散漫と成ってくる。
一番眠気が強くなる午後2時前後……
安井さんが俺の所にやって来て、俺が仕上げた部品の検品を始める。
1時間に10個近く仕上げたが、その内の5個は机の上に“ぽんぽん”置かれる。
「バリ取りが甘いから、やり直して!」
「後、もう少し丁寧に!!」
安井さんは少し高圧的な態度で言う。
「あっ、すいません…」
しかし、安井さんはそれ以上は言って来ずに戻って行った。
バリを取っているのを仕上げてから、やり直しを指摘された、部品の修正に取り掛かる。
(少し、甘い所も有るが、これ位なら良いだろう?)
(あの人も細かいな……)
自分が良いと思っても、相手が駄目だと言ったら駄目で有る。
俺は心の中で愚痴をこぼしながら修正する。
……
時刻は15時に入り、午後3時の休憩で有る。休憩時間は15分で有る。
眠気の方は大分無くなって居たが、気分転換に会社近くに有った自動販売機で缶コーヒーを買う。
俺は缶コーヒーを飲みながら少し考える。
(この会社……。気軽に話せそうな人が全く居ないよな)
(俺よりも年齢が高い人ばかりだし、話しやすい雰囲気も無い。何処かピリピリしている…)
(安井さんは俺と同年代の感じはするけど、神経質の感じがするし俺、此処でやって行けるのかな?)
今日の仕事内容と環境を思い出しながら缶コーヒーを飲む。
休憩時間も終わり、後は17時まで、ひたすらバリ取りに励む。
……
時刻は16時50分…定時の10分前。安井さんが声を掛けて来る。
「青柳さん。そろそろ終業時間だから、周りの清掃に入って!」
安井さんにそう言われたので、俺は作業のキリを付けて清掃に入る。
俺の作業机周りや床は、バリ取りをしたアルミの金属粉末で汚れていた。
箒で掃くが床が凸凹のため、窪み部分は上手に掃けない。
それでも有る程度は綺麗にする……
時刻は17時……。アルバイト初日が無事終わる。
俺は近くに居た、安井さんや専務に声を掛けてから工場を出る。
しかし、俺以外は残業なのだろうか? 工場内では、彼方此方で機械音がまだ響いていた。
更衣室で着替えを済ませるが、作業着の洗濯をどうしようかと迷う。
今日はバリ取りをしただけだし、そんなに汚れている感じでは無かった。
もう1日着ても大丈夫だろうと思って、作業着はロッカーに仕舞う。
事務所に人が居たので、事務員と言うか社長の奥さんに挨拶をしてから、事務所から出る。
こうして、アルバイト初日を無事に終えた……
午前中はずっとバリ取りの作業で有った。
一般的な企業なら、午前10時前後と午後3時頃に休憩の時間が有るが、この会社は午後3時の休憩は有るが、午前10時の休憩は無い。
本当に無い訳では無いが、午前10時の休憩は任意で取る。
実際、10時に休憩を取っている人は、ちらほらとは居たが、殆ど取っている人は居ないと言っても過言では無いだろう……
俺は堂々と休憩を出来る状態では無かったので、トイレ休憩だけで済ました。
仕事の中で、ゆっくりと休めるのが昼休み。
ここの会社の昼休憩は1時間で有った。昼食は事務所が有る建屋で取る。
更衣室(物置)の横が食堂に成っているので、其処に向かい昼食を取る。
企業向け仕出し弁当を食べて、食堂に有るテレビをしばらく見ているが、面白くない内容なので食堂から出る。
この会社は食堂しか休憩室に当たる物が無いので、俺は行き場を失う。
更衣室に向かって、ロッカーからスマートフォンを取り出す。
(稀子に連絡でも取ってみるか?)
そう考えた俺は、Rail(SNS)アプリをタッチして起動させる。
どんな風に、稀子に連絡を取ろうかとしばらく考える……
(無難に『こんにちは、―――』で良いか?)
『稀子。こんにちは』
『今、お昼休憩中だよ!』
と打ち込んで送信をする。
この時間なら、稀子達の学園もお昼休みの筈だろう。
しかし……中々、既読が付く事は無かった。
(まだ、授業中か?)
学園の時間割なんて俺は知らないし、稀子も態々俺には言わない。
近くにビール瓶を入れるケースが転がっていたので、それを椅子代わりにして、適当にネットを眺めていると……
『お仕事は順調?』
Railアプリから通知が来る。稀子からだった。
俺はRailアプリを開いて返信を打つ。
『結構大変……バリ取りを甘く見ていた(汗)』
『数もあまり出来ていないし、順調とは言いにくい……』
俺は思った事を打ち込んで稀子に返信をする。
今度は直ぐに既読マークが付いて返信も早かった。
『初日なんだから、どんまいだよ!』
『お昼からも頑張ってね♪』
稀子からその様な返信が来る。
文面からして…、稀子は会話を切り上げたい感じがしたし、俺の方も後10分位で昼休憩が終わる。
Railを閉じて、スマートフォンを再びロッカーに仕舞って工場の方に戻る。
……
午後からも、午前中の続きでバリ取りの作業が始まる。
多少、作業速度は早く成っては来たが、それでも数はこなせていない。
作業も少し飽きてきたし、お昼ご飯を食べたばかりの午後……もちろん眠気もやってくる。
危険な作業をしている訳では無いので、怪我をする可能性は低いが、集中力は散漫と成ってくる。
一番眠気が強くなる午後2時前後……
安井さんが俺の所にやって来て、俺が仕上げた部品の検品を始める。
1時間に10個近く仕上げたが、その内の5個は机の上に“ぽんぽん”置かれる。
「バリ取りが甘いから、やり直して!」
「後、もう少し丁寧に!!」
安井さんは少し高圧的な態度で言う。
「あっ、すいません…」
しかし、安井さんはそれ以上は言って来ずに戻って行った。
バリを取っているのを仕上げてから、やり直しを指摘された、部品の修正に取り掛かる。
(少し、甘い所も有るが、これ位なら良いだろう?)
(あの人も細かいな……)
自分が良いと思っても、相手が駄目だと言ったら駄目で有る。
俺は心の中で愚痴をこぼしながら修正する。
……
時刻は15時に入り、午後3時の休憩で有る。休憩時間は15分で有る。
眠気の方は大分無くなって居たが、気分転換に会社近くに有った自動販売機で缶コーヒーを買う。
俺は缶コーヒーを飲みながら少し考える。
(この会社……。気軽に話せそうな人が全く居ないよな)
(俺よりも年齢が高い人ばかりだし、話しやすい雰囲気も無い。何処かピリピリしている…)
(安井さんは俺と同年代の感じはするけど、神経質の感じがするし俺、此処でやって行けるのかな?)
今日の仕事内容と環境を思い出しながら缶コーヒーを飲む。
休憩時間も終わり、後は17時まで、ひたすらバリ取りに励む。
……
時刻は16時50分…定時の10分前。安井さんが声を掛けて来る。
「青柳さん。そろそろ終業時間だから、周りの清掃に入って!」
安井さんにそう言われたので、俺は作業のキリを付けて清掃に入る。
俺の作業机周りや床は、バリ取りをしたアルミの金属粉末で汚れていた。
箒で掃くが床が凸凹のため、窪み部分は上手に掃けない。
それでも有る程度は綺麗にする……
時刻は17時……。アルバイト初日が無事終わる。
俺は近くに居た、安井さんや専務に声を掛けてから工場を出る。
しかし、俺以外は残業なのだろうか? 工場内では、彼方此方で機械音がまだ響いていた。
更衣室で着替えを済ませるが、作業着の洗濯をどうしようかと迷う。
今日はバリ取りをしただけだし、そんなに汚れている感じでは無かった。
もう1日着ても大丈夫だろうと思って、作業着はロッカーに仕舞う。
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こうして、アルバイト初日を無事に終えた……
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