偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
47 / 434
自滅編

その2 まだマシな結果……

しおりを挟む
 更に2ヶ月後……

「あはは、もうだめだ!」

 ついに貯金が尽きてしまった……俺の人生も、最早ここまでだった……

「どうしよ……。来月の家賃も払えないし、住県民税や国民年金の支払いも有る…」

 あの後……結局、本気なんて1度も出さなかった。
『詰まらない、詰まらない』と言って、毎日をダラダラ過ごしただけだった。
 この自堕落な生活から抜け出す努力を、俺は一切しなかった……

「あの時、あの中年女性上司が俺をクビにしなければ……。俺は普通の生活が出来ていたはずなのに!!」

 俺は、あの中年上司を思い出す。あいつが俺の不幸の元凶だ!
 若い子を入れたいとか言っていたけど、どうせ身内の奴だろ。身内贔屓って奴だ!

「あいつに復讐したるか……。待ち伏せして、出刃包丁で一気に―――」

 俺は思わず、そう考えてしまうが……

「……したって、仕方ないよな」
「そんなので一生刑務所は嫌だし、周りの人達が、俺に同情を掛けてくれる訳無いからな」

 俺が罪を犯しても、きっと周りの人達はテレビインタビューで『彼は何を考えているか、分からない人でした』や『女性の職場に、男性が何故居るのかが不思議でした!』とか、俺を擁護ようごはせずに、都合が悪くなる事しか言わないはずだ!

 俺をクビにした中年上司に復讐すれば、その時は快感(幸)を得られるだろうけど、その幸は直ぐに消えるはずだ。……なぜかって?
 
 意味のない幸せだからだよ……もちろん、意味のない不幸もある。
 例えば『小指を角にぶつける』あれは痛い。最悪、出血する時も有る。
 あの時は『うあ、最悪…』と不幸モード全開だが、数日すればその不幸は何処かに行ってしまうし、痛みも無くなる。根付かない感情。これが意味の無い不幸で有ろう。

『じゃあ、根付く幸せは…?』と思うだろう。一番分かりやすいのは恋愛だろう。
 男女が相思相愛になって、結ばれて家族が出来ていく…。これを不幸と感じる人はまず居ないだろう。失った時の反動(不幸)も大きいが……

『根付く不幸』は言うまでも無い……今の俺の状況だ。
 相手を恨み、ねたんで自分を正当化する。
 愚痴は結局……根付く不幸の直前だろう。偶に言うだけなら良いが、“しょっちゅう”に成ってしまうと愚痴では無くて悪口に変わり、結果的に恨んだり妬み出す……

「結局、自分自身の問題だよな……」
「あいつを怨んで、怨むだけでは無くバネにするべきだった!」
「なぜ、俺はそうしなかったのだ!?」

「不幸と思う事、幸せと感じる事…。冷静に考えれば、只の感情だからな…」
「不幸だから更に不幸に成ったのではなく、自分で勝手にそう思い込んで居たから不幸なんだ!」

「幸せもハードルを下げれば直ぐに来る。俺は何かを勘違いしていたんだ!」
「幸せだから不幸が来たわけでなく、自惚れていたんだ!!」

「だから、幸せは直ぐに掴める! 掴めるはずだ!!」
「……気は持ちようかな。はは……」

 俺は乾いた笑いしか出なかった。
 しかし、俺は有る事を思い出す……

 電車旅をした時…。困っている感じがした女の子が、駅のコンコースに居た。
 あの時……俺は声を掛けなかったが、もし声を掛けて居たら、どうなっていたのだろうか?

 ドラマの世界や漫画の世界みたいに、俺の人生は激変に変わって居たのだろうか?
 それとも、ナンパされたとか言われて警察に通報されて、別の意味で人生は終わっていたのだろうか!?
 過ぎてしまった事を振り返っても仕方が無いが、可愛い感じのする子だったし、少しでも良いから、声を掛けておくべきだったと後悔はしている。

 ……

 その後……

 俺は今……大手工場の期間工をやっている。
 工場勤務は立ち仕事で楽ではないが、親友も出来て毎日が楽しい。
 給料も“そこそこ”貰えて、休日も有る程度有る。何より嬉しいのは寮がある事だ。

 前住んでいた部屋の後始末は、売れる物は全て売って、それでも足りない分は親に頭を下げてお金を借りた。寮自体は備え付けの家電があるので不自由はない。
 親との仲は悪いわけでは無いが、性格の不一致と言うやつか、子供の時から馬が合わない。
 だけど、大きな金額では無かったため、直ぐに用意してくれた。

 これを幸せと言えば俺は『そうだ!』と今は感じる様に成った。
 中には『親だから貸して当然だろ!』と思う方もいるかも知れない。感じ方は人それぞれだ。
 でも…、もし親が貸してくれなかったら、不幸だけでは済まなかっただろう。

 期間工が満了したら、また新しく部屋を借りて再出発するつもりだ。
 夢を掴むのも大事だが、俺は些細な幸せでも積極的に掴んで行こうとする事に決めた!

「不幸も幸せも、自分自身が作り出すんだ!!」

 俺は自分にそう言い聞かせて、寮の部屋から出て仕事場に向かった。

 ……

 ☆自滅編☆

   完
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

処理中です...