31 / 434
出会い編
第31話 稀子からのお願い その2
しおりを挟む
「それはね、私と一緒に児童福祉への道を歩もう!」
「私は幼稚園の先生か、若しくは保育士さんの道を目指す!」
「比叡君は保育士の資格を取って、学童の先生をもう一度挑戦してみたら!」
「お互いが同じ道に進めば情報の共有も出来るし、堂々と私が比叡君の家に行ったり、場合によっては比叡君が山本さんか私の家に来る事が出来る!」
「ねぇ、良いアイディアとは思わない♪」
「……」
稀子そう提案してくれる……確かに悪い話では無い。
お互いが同じ道を進むなら、お互いの家を行き来しても問題無いだろう。
年齢の差は多少は有るが、同じ道に進む同士なら文句は言われまい。
俺の年齢的には十分挑戦が可能な年齢では有るが、お金の問題がある……。これをどうするかだ!?
稀子の話はまだ有るらしく、再び話し始めた。
「比叡君の場合なら、無理して大学に行く必要は無くて、保育の専門学校でも可能なはずなの!」
「……これ見て、私の住んでいる隣町に在る保育士の養成学校だけど、そこには夜間のコースが有って期間は1年延びるけど、3年間で保育士の資格が取得出来るんだよ!」
「そうすると日中は働く事が出来るし、どうだろう比叡君…?」
稀子はそう言って、稀子のスマートフォン画面を俺に見せてくれる。
そこには、保育士養成学校の案内が表示されている。
「引っ越しとかの問題も、山本さんに頼めば何とか成ると思うの。山本さん凄く顔が広いから!」
「本当にあんな事やこんな事まで解決出来ちゃうの!」
あんな事やこんな事まで解決する山本さん……。有る意味凄い人だと感心するが、有る意味恐ろしい人だと再認識させられる。
普通は俺が稀子に、こう言った事を言う立場なのに……俺より幼い、子どもだと思っていた子にこんな事をされている。生き恥も良いとこだ!
駅で偶然に出会って、山本さんと対峙して、更には彼女と数日過ごせて、最後は稀子が一生懸命考え抜いた案を提案してくる。
学童保育をクビにされた時は人生のどん底だと感じた。
でも、今の自分は人生のどん底から、本当に抜け出す機会なのかも知れない……
俺にとって、人生の選択を選ぶ時が再びやって来た。
「稀子ちゃんいや、稀子……」
「俺は決断力が鈍い人間だから、直ぐには返事が出来ないけど、稀子の気持ちを汲んで、俺は保育士の資格の道に挑戦して見ようと思う!」
「比叡君…」
「その道を決めた時には改めて、稀子ちゃんに連絡するよ!」
「是非そうしてよ!」
「待っているから!!」
稀子は『頑張れ!』の表情をしながら言う。
「あっ、だから……稀子ちゃんの連絡先を教えて欲しいのだけど」
「えっ!」
「ああ、そうだね///」
「比叡君には教えてなかったね。もう、教えたつもりで居たよ」
俺は稀子の電話番号とRailのIDを教えて貰う。
Railは学園時代にも使っていたが、最近はアプリすら起動させてなかった。
「これで、比叡君の問題も解決出来るかな?」
「あっ、もし、引っ越しとかが必要ならドンドン相談してね♪」
「出来る事は私も頑張るから♪」
稀子は笑顔で言ってくれる。
俺自身では決めたが当然、まだ親には相談して居ないし、引っ越しと成ると費用の問題等も出て来る。
自分の進路も大事だが、その辺の事を考えて行動しなければ成らない。
……
昼食は稀子が『比叡君の前祝いだ!』と言いだして、お寿司を希望したため出前寿司を取って昼食にする。それも上寿司に当たる物だ。
しかし、前祝いと言っても俺の前祝いだし、お金は全部俺が出すしか無いし(稀子はお金を持っていない)、何だかおかしい気がする……。稀子に上手に乗せられたらしい。
俺が進路をほぼ決めたから言っても、稀子との接触はキス以上は許してくれなくて、当面は健全な付き合いが続きそうだ……
いよいよ、山本さん達が来る時間が近付いてきたので、稀子の荷物は稀子が持ち、水族館のお土産は俺が持って指定されたラッキーセブン、駅前店に向かう。
約束の時間は15時だが、時間10分前にコンビニ到着すると、駐車場には例のハ○エースが止まっていた。
俺達の声で気付いたのだろう……。運転席と助手席のドアが同時に開く。
出て来たのは山本さんと、稀子と同じ位の小柄の女性が降りて来て、こちらに向かって来て俺に声を掛ける。
遂に稀子との生活が、終わりを告げる時が来た。
「私は幼稚園の先生か、若しくは保育士さんの道を目指す!」
「比叡君は保育士の資格を取って、学童の先生をもう一度挑戦してみたら!」
「お互いが同じ道に進めば情報の共有も出来るし、堂々と私が比叡君の家に行ったり、場合によっては比叡君が山本さんか私の家に来る事が出来る!」
「ねぇ、良いアイディアとは思わない♪」
「……」
稀子そう提案してくれる……確かに悪い話では無い。
お互いが同じ道を進むなら、お互いの家を行き来しても問題無いだろう。
年齢の差は多少は有るが、同じ道に進む同士なら文句は言われまい。
俺の年齢的には十分挑戦が可能な年齢では有るが、お金の問題がある……。これをどうするかだ!?
稀子の話はまだ有るらしく、再び話し始めた。
「比叡君の場合なら、無理して大学に行く必要は無くて、保育の専門学校でも可能なはずなの!」
「……これ見て、私の住んでいる隣町に在る保育士の養成学校だけど、そこには夜間のコースが有って期間は1年延びるけど、3年間で保育士の資格が取得出来るんだよ!」
「そうすると日中は働く事が出来るし、どうだろう比叡君…?」
稀子はそう言って、稀子のスマートフォン画面を俺に見せてくれる。
そこには、保育士養成学校の案内が表示されている。
「引っ越しとかの問題も、山本さんに頼めば何とか成ると思うの。山本さん凄く顔が広いから!」
「本当にあんな事やこんな事まで解決出来ちゃうの!」
あんな事やこんな事まで解決する山本さん……。有る意味凄い人だと感心するが、有る意味恐ろしい人だと再認識させられる。
普通は俺が稀子に、こう言った事を言う立場なのに……俺より幼い、子どもだと思っていた子にこんな事をされている。生き恥も良いとこだ!
駅で偶然に出会って、山本さんと対峙して、更には彼女と数日過ごせて、最後は稀子が一生懸命考え抜いた案を提案してくる。
学童保育をクビにされた時は人生のどん底だと感じた。
でも、今の自分は人生のどん底から、本当に抜け出す機会なのかも知れない……
俺にとって、人生の選択を選ぶ時が再びやって来た。
「稀子ちゃんいや、稀子……」
「俺は決断力が鈍い人間だから、直ぐには返事が出来ないけど、稀子の気持ちを汲んで、俺は保育士の資格の道に挑戦して見ようと思う!」
「比叡君…」
「その道を決めた時には改めて、稀子ちゃんに連絡するよ!」
「是非そうしてよ!」
「待っているから!!」
稀子は『頑張れ!』の表情をしながら言う。
「あっ、だから……稀子ちゃんの連絡先を教えて欲しいのだけど」
「えっ!」
「ああ、そうだね///」
「比叡君には教えてなかったね。もう、教えたつもりで居たよ」
俺は稀子の電話番号とRailのIDを教えて貰う。
Railは学園時代にも使っていたが、最近はアプリすら起動させてなかった。
「これで、比叡君の問題も解決出来るかな?」
「あっ、もし、引っ越しとかが必要ならドンドン相談してね♪」
「出来る事は私も頑張るから♪」
稀子は笑顔で言ってくれる。
俺自身では決めたが当然、まだ親には相談して居ないし、引っ越しと成ると費用の問題等も出て来る。
自分の進路も大事だが、その辺の事を考えて行動しなければ成らない。
……
昼食は稀子が『比叡君の前祝いだ!』と言いだして、お寿司を希望したため出前寿司を取って昼食にする。それも上寿司に当たる物だ。
しかし、前祝いと言っても俺の前祝いだし、お金は全部俺が出すしか無いし(稀子はお金を持っていない)、何だかおかしい気がする……。稀子に上手に乗せられたらしい。
俺が進路をほぼ決めたから言っても、稀子との接触はキス以上は許してくれなくて、当面は健全な付き合いが続きそうだ……
いよいよ、山本さん達が来る時間が近付いてきたので、稀子の荷物は稀子が持ち、水族館のお土産は俺が持って指定されたラッキーセブン、駅前店に向かう。
約束の時間は15時だが、時間10分前にコンビニ到着すると、駐車場には例のハ○エースが止まっていた。
俺達の声で気付いたのだろう……。運転席と助手席のドアが同時に開く。
出て来たのは山本さんと、稀子と同じ位の小柄の女性が降りて来て、こちらに向かって来て俺に声を掛ける。
遂に稀子との生活が、終わりを告げる時が来た。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説


俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。
112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。
ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。
ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。
※完結しました。ありがとうございました。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです
新条 カイ
恋愛
ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。
それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?
将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!?
婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。
■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…)
■■

溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる