偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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出会い編

第28話 水族館デート その4

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「えっ、ここで、そんな事、普通聞く!?」

 稀子は如何にも『何言ってるの!?』の顔をする。

「あっ、いや……あんな反グレを、どうしてかなと感じて…」

「比叡君!」
「それは偏見だよ!!」

「山本さん、見掛けは怖いかも知れないけど、凄く優しい人なんだよ!」
「山本さんのお家の庭には、季節の花が絶えないんだよ!!」

「?」
「ガーデニングが趣味なの?」

「どうだろ……趣味なのかな?」
「でも、何時も声を掛けながら、お水を上げたり、肥料を上げているよ!」

 と稀子は言う。
 俺は想像してみる……。あの人のガーデニング姿を……

『お前、全然育ってなぇな! 抜くぞ! ゴラァ!!』

『おら喰え! 嫌と言う程喰わしてやるからな!!(肥料の事)』
(肥料は正しい量を施肥せひしましょう)

『お前は美人(花の事)だから高く売れるぞ!!(評判が高くなる)』
『また、これで……俺の株が有って組長(町内会)に褒められるもんだ!』

 の訳無いか……。きっと、普通の声掛けだと思う……そう信じたい。

「比叡君どうしたの?」
「そんなに真剣に悩んで……」

「あっ、いや……、山本さんのガーデニング姿を想像していて、どんな風なんだろうと…」

「どんな風?」
「別に普通だよ……」

 稀子はキョトンとしながら言う。
 しかし、稀子の普通の基準が分らないからな……。DQN仕様のハ〇エースを、その辺に走っている車だと思っていそうだし。

「まあ、そんな話は良いや!!」
「今は、比叡君がいるし♪」

 稀子はそう言うと、俺に『キュッ』とくっついてくる。
 くっつくのは良いが、俺の手と稀子の手には水族館で買ったお土産を持っている。マグカップは陶器だから割れたら大変だ。

「ねぇ…、比叡君!」
「この後はどうする?」
「もう帰る…?」

「まだ、少し帰るのは早いかな?」
「でも…、ここの海浜公園の景色も見飽きてきたし…」

「ねぇ、比叡君。なら、あそこに行かない?」

 稀子の指を指す方向を俺は見る。
 その方向には観覧車が見えた。遊園地に行きたいのか?

「遊園地に行きたいの?」
「周辺パンフレットで見たら、そんなに大きい規模では無さそうだけど」

「良いじゃん、良いじゃん。行こうよ!」

 稀子がそうせがむので海浜公園内に有る、遊園地に行く事に成った。

 ……

 遊園地と言っても、入場料は無料の遊園地で有って、乗り物に乗る事に料金を払うシステムみたいだ。
 今は、冬の時期で有って、更に平日の夕方を向かえるこの時間帯……。園内の人はまばらだった。
 荷物は邪魔に成らないように園内入口に有る、コインロッカーにお土産を入れて預ける。

 遊園地と言っても、ターゲットが小学生連れの家族を想定しているため、派手目なアトラクションは少なめで、ガンシューティングやゲームセンターに置いて有るようなゲームが中心だった。

「あっ、比叡君!」
「あれ、やりたい!」

 稀子はガンシューティングに興味を示して、ガンシューティングゲームをする。
 海辺の遊園地らしく、海底に住む魔物をガンで退治するゲームだ。
 ……稀子はこの手のゲームに、やり成れていないのだろう……苦戦している。

「うぁ~、魔物にやられた~~」

 イラストの世界だったら稀子の両目が、×状態の表情をしながら言う。

「あ~~。残念だったね…」

「はい。今度は比叡君の番だよ♪」

 稀子はそう言って、銃の場所から離れる。

「えっ、俺もやるの?」

「そうだよ! 折角来たんだし!!」

 稀子がそう言うので、俺もガンシューティングをやる。
 ガンシューティングゲームはPCゲーム等では経験が有るが、ゲームセンター等での経験は殆ど無い。
 ……稀子よりかは高い点数は取れたが、結局クリアは出来なかった。

「比叡君も得意そうでは無いね!」

「まぁ、ゲームセンターには行かないし」

「そっか…。じゃあ、今度は遊具にでも乗ろうか!」
「遊園地だし!!」

 遊園地だから多少は遊具も有る。
 俺と稀子は園内有る、ジェットコースターやメリーゴーランド等の遊具を楽しみ、遊園地を楽しむ……

 ……

 2人で楽しめそうな遊具には大体乗り終わって、園内に在る時計を見ると、17時近くで有った。
 空の景色も夕方になっており、稀子とのデートもいよいよ終盤を向かえていた。

「稀子ちゃん。そろそろ、帰ろうか?」

「私達が乗れそうな遊具は乗ったしね!!」
「でも……う~ん…」

 何だか歯切れの悪い稀子。

「まだ、帰りたくないの…?」

「いや、そう言った訳では無いけど…」

「?」

「ねぇ、比叡君……やっぱり、遊園地に来たら観覧車に乗らない?」

「観覧車……」
(遂に来たかこの時間が!)

 俺は稀子が観覧車を提案してきて、思わず心の中で踊ってしまう。
 まさかこの時が来るとは思っていなかった!!
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