偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

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出会い編

第24話 諦めきれない稀子

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 家に戻った俺と稀子は、今度はスマートフォンを使って民間求人サイトで求人を調べだしたが……

「う~む」
「ハローワークと重複ちょうふくしている企業も多いね…」

 稀子はそう言いながら、民間求人サイトの求人情報を見ている。
 俺と稀子はソファーに座りながら、お互いのスマートフォンで求人を見ていた。
 ほぼ体はぴったりと密着しているが、密着しているだけだった。
 
「中々、良い所は無さそうだね…」

 稀子はそう呟く。

「日本は、完全新卒主義だからね」
「一度、道を外れた人には厳しいのだよ…」

「人生……。やり直しが利かないんだ」

  稀子は寂しそうな顔して言う。

「……能力が有る人は別だが、俺みたいに資格が少ない人や、特別な能力が無い人以外は厳しいのは確かだね」

「ねぇ、比叡君……。学童保育と言うか、子ども関連の仕事には未練は無いの?」

(また、その話をしてきたか稀子。その辺は自分でも悩ましい所なんだよ)

「未練が無いとは言い切れないけど、やはり最低でも保育士資格を求められるのがな……」

 そうすると、稀子は力強い口調で俺に言う。

「私はやっぱり、未練が有るなら挑戦すべきだと思うよ!」
「私もどちらかと言うと子どもは好きだし……そうだ!」
「一緒の道を進もうか比叡君!!」

「えっ!?」
「それは稀子ちゃんも、児童福祉の道に進むと言う意味?」

「子ども関連の仕事を児童福祉と言うの?」
「まぁ、私はまだ成りたい仕事が見つかって無いけど、保育士さんでも悪くないかなって♪」

「稀子ちゃんなら、似合っている仕事だと思うよ!」
「大きな子どもみたいだし!!」

「うぁ!!」
「人が真剣な話しているのにバカにしてきた!」
「このやろ~~」

 そう言って、稀子は俺の体をポカポカ叩き始める……。しかし、稀子は手加減をしているからそんなに痛くは無い。

「ごめん。ごめん。稀子ちゃん、許して!!」

 俺が謝ると、稀子は俺を叩くのを止める。

「私だから、そのまま許してあげるけど、他の人だったら裁判沙汰に成っているよ!」
「仮に鈴ちゃんに同じ事言ったら、判るよね? 比叡君……」

 稀子は不機嫌な口調で話す。

「いや……鈴音さんの場合は、鈴音さん自身よりバックが怖すぎるから!」

「まぁ、ちょっと……その辺に関しては、もう1度自分なりに考え直してみるよ」
「やり直しが利く年齢かは微妙だけど、資格は一度取れば一生物だから」

「私としては、比叡君には子ども関連の仕事に就いて欲しいかな!」
「向いていると思うよ♪」

 そんな感じで、俺と稀子の仕事探しは一旦保留と成った。

 ☆

 その後は、お互い自由時間にして、お互いがスマートフォンを見たりの自由時間として過ごしていると、稀子が話し掛けてくる。

「ねぇ、比叡君」
「観光の話だけど……」

「あぁ。結局、昨日決まらなかったもんね」

「私さ……気に成っていた、場所が実は有るんだ」

「へぇ~、それはどこ?」

「みなと水族館って知っている?」
「3年位前にオープンした?」

「ああ、名美崎なみさき市の水族館か…。一時ニュースで話題成っていたな」

「そう。そう。ねぇ……比叡君」
「明日も天気が良さそうだし、名美崎市のみなと水族館に行かない?」

「え~、名美崎市まで行くの?」 
「それも、みなと水族館まででしょう……。あそこは辺鄙へんぴな場所に有るから、電車1本では行けないから乗り換えも必要だし、距離も結構有るし、水族館の料金も安くは無いし…」

「お金に関しては、山本さんのが有るから問題ないでしょ!」

「まぁ、そうだが……」

 たしかに稀子との水族館デートも悪くないが、ここからだと移動時間を含めて1時間以上掛るし、水族館のチケット代も馬鹿にならない。
 それに、水族館だけで済む訳で無く、他の施設料金や飲食代、その他諸々もろもろを含めると結構な金額になるのは確かで有った。

「もうちょっと、近場にしない?」
「名美崎市なら、お城を見たりとか!」

「冬の寒い時期にお城なんか見ても、面白くないよ…。お城はお花見の時に見るもんだよ!」

 稀子にあっけなく一蹴いっしゅうされてしまう。

「比叡君は私の希望する場所に連れてってくれないんだ!」
「山本さんにRail(SNS)しようかな?」
「『山本さん……。比叡君に軟禁されています(泣)』と、もちろんGPS情報は付加してから送信だよ!」

 稀子は“にやにや”しながら言う。
『うひひ』と心の中で言ってそうだ。

「そっ、それは勘弁して!」
「そんな事されたら、DQNハ○エースが俺のアパートに横付けされて、ろくな目に遭わないのは分かっているから!!」

「なら、分かるよね。ひ・え・い・く・ん」

 稀子はしてやったりの顔をする。

「あぁ、分かった!」
「行こう、みなと水族館に!!」
「これは元々、俺の金じゃ無いから、パーと行こう!!」

「そう、来なくちゃ!」

 こうして、明日は水族館に行く事が決まった。
 その後、こっそりと水族館のチケット料金を調べたら、学園生でも大人と同料金だと知って、ショックを受ける。
 値段も安いとは言えないが、遊園地のチケットと比べれば安いと自分に納得させる。
 最近は水族館も全くのご無沙汰だったし、デートらしい事が出来るから、これも良しだと思う事にした。
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