偶然出会った少女にお願い事をされたから、受け入れる事にしたら人生が変わった!

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
12 / 434
出会い編

第12話 朝食とお互いの履歴 その2

しおりを挟む
「俺としては、ずっと居て貰っても良いけど、流石に此所から学園まで通うのは非現実的だし……」

 稀子の町がどこに有るかは聞いて無いが、駅のホームで途方に暮れていたのだから、近場では無いのだろう?
 逆に近場なら、山本さんが絶対に迎えに来ているはずだ!
 俺がそう言うと稀子はこう言ってきた。

「比叡君が、私の町に引っ越せば解決だよ!」
「ねぇ、そうしようよ!」
「一緒に生活しよう!!」

 唐突に言ってくる稀子。本気で言っているのか!?
 引っ越しはそんな簡単には出来ない……。お金も掛かるし、行政の手続きだって必要だ。
 仮に無職の俺が、稀子の町に引っ越して、其処で仕事に就ければ話は別だが、就けなかった時はどうするのだ!?
 稀子は確かに彼女にしたいが、俺にはまだ甲斐性かいしょうが無い……

「いや、いや。それは無理だから…」

「無理なんて言葉は無いよ!」
「無理すれば出来るんだから!!」

(いや、無理なのは無理です……。どっかの会長の言葉では無いんだから)

 部屋の壁時計を見ると、午前10時を過ぎていた。
 大体の事は聞けたし、1人暮らしでも家事はしなければ成らない。

「一度、お話は中断して、朝食の後片付けしようか?」

「あっ、うん。そうだね」
「それと比叡君……私の事、根掘り葉掘り聞いたのだから、片付けが終わったら、比叡君の事ドンドン聞くよ!」
「覚悟してね~~♪」

 先ほどまで、“しょぼくれて”いた稀子だが、顔を“にやつき”させながら言ってくる。
 しかし、意外に悪い気はしない。
 もしかして、俺が求めていた人は、こう言った人なのかも知れない。
 朝食の後片付けは稀子にお願いして、俺は洗濯機を回そうとすると……

「比叡君」
「洗濯するの?」

 台所で洗い物をしている稀子が声を掛けてくる。

「そうだよ!」

「なら、私のも一緒に洗って~~」

 稀子は洗い物を中断して、脱衣所に当たる、洗面所の角に置いて有るビニール袋を稀子は拾い上げて、袋の中身を洗濯機の中に入れる。
 見る気は無かったが、稀子の衣類と控えめな柄をした下着類が洗濯機の中に入っていく。

「一緒に洗って良いの?」

「うん!」

 稀子が素直に答えるから、俺は何も言わずに洗濯機のスイッチを入れて洗濯機を動かす。

(どうみても、今日帰るつもりは無さそうだな…)
(上手く交渉出来るかな…?)

 俺は昼から会う、山本さんの事を考えながら、部屋の床掃除やごみを纏めたりする。
 洗濯機が洗濯を終了して、洗濯物を干そうとすると……

「比叡君!」
「洗濯は私が干すから!」

 流石に俺に下着を見られるのは恥ずかしいのだろう。
 部屋のベランダで稀子は洗濯物を干すが、物干し台が壁の側面の上部に付いているから、外から洗濯物は丸見えで有る。しかし、稀子はその辺の事は気にせずに干している。

 洗濯物も干し終わって、家事も一段落付いて、時刻は午前11時を過ぎた所で有る。
 山本さんに会うのは駅で13時の予定で有るからまだ時間は有る。
 そうすると、稀子は俺に声を掛けてくる。

「比叡君」
「比叡君の質問コーナー始めようか!」

 稀子は“にこにこ”笑顔で言ってくる。

「比叡君の全てを教えてね♪」
「あんな事やこんな事まで!!」

 稀子は『にひひ』の顔をしながら言う。俺の人生なんて聞いても詰まらないのに。
 まあ、あえて隠すつもりは無いし、この子なら話しても良いかの気はした……

 冷蔵庫に果実飲料の缶が有ったので、それを飲み物にして、俺の質問タイムの開始で有る。

「何から聞こうかな~~」
「えっと、比叡君は学園を出た後、どこに進学したの?」

(まずは、学歴から聞き出したか…)

「進学はしてないんだ!」

「あっ、そうなんだ。…何で?」

「何でと、言われても……勉強が嫌いだったから」

「なるほど…」
「私も勉強は好きでは無いけど、鈴ちゃんが五月蠅うるさいからね!」

「稀子ちゃん、勉強は出来る方?」

「う~ん、どうだろう?」
「勉強に関しては、鈴ちゃんがスパルタ教育してくれるから、全体的な順位ではまあまあの順位かな?」

 稀子は勉強が得意では無いらしいが、友達のおかげで助かっているらしい。
 ルームメイトが居るおかげと、下宿している効果は大きいのかも知れない。

 俺の親友の中には勉強が出来る人は居なかったし、勉強を教えたり、教え有ったりした事も殆ど無い……
 やはり、学校生活での親友は、人生設計の中では重要な位置づけに成るのだ。
 そんな事考えてしまう俺がそこに居た……
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

まずはお嫁さんからお願いします。

桜庭かなめ
恋愛
 高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。  4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。  総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。  いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。  デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!  ※特別編3が完結しました!(2024.8.29)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想をお待ちしております。

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

処理中です...