お仕置き堂

小春かぜね

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第1話 お仕置き屋

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 この物語はフィクションです。
 設定、登場する人物、団体及び名称は一切関係有りません。

「今回は、軽い自己紹介をして置くか」

「僕の名は山本……」
「僕は一応、有る職人だ」
「普段はその職人で飯を食っているが、とある事が切っ掛けで僕は、裏の仕事をやる事に成ってしまった」

『切っ掛けを知りたい?』

「それは……今する話では無いな」
「アレは終わった話だ…。今思い出しても、悲しみと怒りが込み上げてくる…」

「本題に戻そう。どんな裏仕事か」
「それはな……お仕置きをする仕事だよ」

「悪い事や悪事を働いた人間は、それなり相応の罪を償うだろ!」
「だが、今の時代……それを上手に逃げる人間も増えてきた」
「また、それを野放しにする時代にも成ってしまった」

「一昔前なら、小競り合いごときに警察サツ何か絶対に介入しなかった奴が、今は平気で土足で入り込む」
「それを喜ぶ人間も居るが、喜ばない人間も居る」

「簡単に人を注意したり、怒ったりする事が出来なく成ったからな」
「下手な声掛けも、悪意が有る行為と相手が見れば、直ぐに警察に通報だ」

「後、一番面倒くさいのが、簡単に裁判を起こせる様に成った事だ」
向日葵ひまわりバッチを付けた人間が増えすぎて、どうでも良い事まで、バッチを付けた人間が出しゃばって来やがる!」
「表側に居る人間は堪った者では無いな…。常に見えない何かと戦わなくては成らない」

「後、人権だかどうか知らないが、悪口も気軽に言えない時代に成った」
「その悪口をもし相手に聞かれたら、直ぐ裁判や大事にさせられるからな」

「そして、そんな世知辛い世の中に、何故か俺達が注目を集める様に成ってしまった」
「法で裁けない人間に、私刑を代理で行ってくれるのが世間に知られちまった」
「私刑を行う側も徹底的に身分を隠すから、今の所逮捕者は出ていないが……」

「僕は会った事は無いが、拷問エキスパートとか言う奴が居るそうだ。悪人を拷問で処分すると言う」
「風の噂だが、かなりの拷問道具が有るそうだ」
「僕は『お仕置き屋』と言う位だから、拷問設備なんて殆ど無いがな」

「他には……自殺志願者に拷問を掛けて、自殺の手伝いをする変態拷問者も居るらしい。確か……烏賊いかとか言っていたな」

「こんな時代だからこそ、再び闇社会に注目を浴びて仕舞うのだよな」
「民衆が闇を求める時は必ず、社会が機能していないか崩壊仕掛けているサインだからだ!」

「僕はまだ、この業界では下っ端だから、依頼と言うか命令何て殆ど来ないし、小物ばかりだ。実績と設備を揃えない限り大物の依頼は来ない筈だ」

「僕はエキスパートさんや烏賊さんの様に、悪人を仕留める事はしない」
「仕留めると後始末は一個人では出来ないから、本郷さんや徳丸の兄貴に迷惑を掛けるし、近年隠滅も難しく成ってきたからな……」
「だが……この話を持ち掛けて来たのは、徳丸の兄貴なんだが……まぁ、その話はまた今度だ」

「僕は人を痛めつけるのは好きだが、殺してしまうと後が厄介になるからな」
「弔い合戦までに発展すると、この業界に迷惑を掛けてしまう」

「僕の理想は、其奴の体と心を完全に破壊して、抜け殻にさせる事だ」
「五体不満足にさせれば、二度と悪事は起こせないし、二度目が無い事を体と心に刻み込めば、九分九厘の人間は悪事を起こす気力さえ無くなるからな!」

「……僕の自己紹介は、こんな感じで良いだろう」
「さっきも言った通り、僕の所は規模で言えば個人商店レベルだ」
「設備も無いと言った方が良いし、拷問殺害がメインでは無く、あくまで“お仕置き”だからな」

「さて……依頼が来ない間は、表の仕事をするか…」

 ……
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