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第36話 動物園 その5
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(まぁ、テレビのイメージ図からすると、何か有ったら直ぐ、逃げ出す感じはするな)
(チー牛は頼りないとよく聞くし……)
私が心の中で思っていると、お姉ちゃんが音羽ちゃんに質問をする。
「それで、音羽ちゃんはどうなの? 好みの異性は!!」
「えっ、私ですか!?」
「私は……兄貴以外のタイプなら、とりあえずは……」
よっぽどお兄さんが嫌いと、思わせる発言をする音羽ちゃん。
「そっ、そっかぁ~~」
「好みはそれぞれだしね…。じゃあ、次へ行きましょうか…」
お姉ちゃんは何かを察したらしく、そそくさと次のゾーンに向かい出す。
お姉ちゃんは話を切り上げたが、私はその事が気に成った。
「ねえ。そんなに、お兄ちゃん嫌いなの?」
私は音羽ちゃんに聞いてみる。
「うん。嫌い!」
はっきり言う、音羽ちゃん。
「でもさ…、音羽ちゃんのお兄さん。別に普通に見えるけど」
「普通に見えるから嫌いなんだよ!」
「でも、中身は普通じゃ無いんだよね……」
「兄貴の奴……通信販売に嵌まっていてさ、最近その宅配便が来る事が多いんだ」
音羽ちゃんは立ち止まり、いきなり語り始めた!
それに釣られて、お姉ちゃんも木華ちゃんも立ち止まる。
お兄さんと通信販売の脈絡が分からないけど、私達は黙って聞く。
「私ね…。前、見ちゃったの。段ボールの中身……」
「そうしたら……女の子のイラストが描かれた、漫画とかゲームが入っていたんだ。それも何種類も!!」
「何時も“ささっ”と部屋に持ち込んでいるから、おかしいなと思って兄気が居ない時に、こっそり覗いてみたら……」
音羽ちゃんのお兄さんは、そう言った類いの物を買っている。
「でね、表紙だけでは分からないから、中身をちょっと見てみると……何と、いやらしいシーンが有ったの。それも大人の女性では無いの!」
「私の隣の部屋に変態が居ると知った時に、一気に嫌いになったわ!!」
私は、音羽ちゃんの言う事は理解できた。
たしかに、いくらお兄ちゃんと言えども、私もその様な目で見られたくは無い。
いやらしいシーンと音羽ちゃんが言うのだから、きっと過激なシーンなんだろう?
「それ、お母さんとかに相談したの。音羽ちゃん?」
「うん、した!!」
「……けどお母さん『母さんもその漫画を読んだけど音羽が言う程、性的描写では無いし、ゲームも成人指定では無いから、取り上げる事も出来ない。まぁ、育て方を間違えたのは事実だね…』で終わっちゃたのよ!」
「お母さんは、同世代異性に有る程度の興味を持つ事は仕方ないと、認めちゃったのよ!」
もはや、空笑いしてしまいそうな内容だった。
「私のお兄ちゃんはフツメンでも良いから、頼れて、気配りが出来る、普通のお兄ちゃんが良いの!!」
「だから、家の兄貴は嫌い!!」
もはや、声の掛けようが無い。
一個人の趣味として、見る事が出来れば問題ないのだけど……
けど、兄妹間で性の対象に見られるのは、やだに決まっている!
「まあ、音羽ちゃん…」
「お兄ちゃんの事は今は忘れて、動物園を楽しみましょう!」
お姉ちゃんは、音羽ちゃんに声を掛ける。
「あっ、はい、すいません…。(汗)」
「楽しい雰囲気を壊してしまって……」
「別に気にしてないわよ!」
「そう言った事は、家族内では相談しにくいからね!!」
お姉ちゃんは音羽ちゃんを元気付ける。
「ありがとうございます、お姉さん」
「兄貴の事は今は忘れて、動物園を楽しみます」
そう言って音羽ちゃんは、その話しを切り上げた。
私にはお姉ちゃんしか居ないから、お兄ちゃんと言うのは漫画やテレビの世界でしか知らない。
あの世界では、お兄ちゃんは良い物と描かれているので、そうだと思ってきたが、実際は違う様で有った。
世の中は、私が知らない事だらけだなと思った。
(チー牛は頼りないとよく聞くし……)
私が心の中で思っていると、お姉ちゃんが音羽ちゃんに質問をする。
「それで、音羽ちゃんはどうなの? 好みの異性は!!」
「えっ、私ですか!?」
「私は……兄貴以外のタイプなら、とりあえずは……」
よっぽどお兄さんが嫌いと、思わせる発言をする音羽ちゃん。
「そっ、そっかぁ~~」
「好みはそれぞれだしね…。じゃあ、次へ行きましょうか…」
お姉ちゃんは何かを察したらしく、そそくさと次のゾーンに向かい出す。
お姉ちゃんは話を切り上げたが、私はその事が気に成った。
「ねえ。そんなに、お兄ちゃん嫌いなの?」
私は音羽ちゃんに聞いてみる。
「うん。嫌い!」
はっきり言う、音羽ちゃん。
「でもさ…、音羽ちゃんのお兄さん。別に普通に見えるけど」
「普通に見えるから嫌いなんだよ!」
「でも、中身は普通じゃ無いんだよね……」
「兄貴の奴……通信販売に嵌まっていてさ、最近その宅配便が来る事が多いんだ」
音羽ちゃんは立ち止まり、いきなり語り始めた!
それに釣られて、お姉ちゃんも木華ちゃんも立ち止まる。
お兄さんと通信販売の脈絡が分からないけど、私達は黙って聞く。
「私ね…。前、見ちゃったの。段ボールの中身……」
「そうしたら……女の子のイラストが描かれた、漫画とかゲームが入っていたんだ。それも何種類も!!」
「何時も“ささっ”と部屋に持ち込んでいるから、おかしいなと思って兄気が居ない時に、こっそり覗いてみたら……」
音羽ちゃんのお兄さんは、そう言った類いの物を買っている。
「でね、表紙だけでは分からないから、中身をちょっと見てみると……何と、いやらしいシーンが有ったの。それも大人の女性では無いの!」
「私の隣の部屋に変態が居ると知った時に、一気に嫌いになったわ!!」
私は、音羽ちゃんの言う事は理解できた。
たしかに、いくらお兄ちゃんと言えども、私もその様な目で見られたくは無い。
いやらしいシーンと音羽ちゃんが言うのだから、きっと過激なシーンなんだろう?
「それ、お母さんとかに相談したの。音羽ちゃん?」
「うん、した!!」
「……けどお母さん『母さんもその漫画を読んだけど音羽が言う程、性的描写では無いし、ゲームも成人指定では無いから、取り上げる事も出来ない。まぁ、育て方を間違えたのは事実だね…』で終わっちゃたのよ!」
「お母さんは、同世代異性に有る程度の興味を持つ事は仕方ないと、認めちゃったのよ!」
もはや、空笑いしてしまいそうな内容だった。
「私のお兄ちゃんはフツメンでも良いから、頼れて、気配りが出来る、普通のお兄ちゃんが良いの!!」
「だから、家の兄貴は嫌い!!」
もはや、声の掛けようが無い。
一個人の趣味として、見る事が出来れば問題ないのだけど……
けど、兄妹間で性の対象に見られるのは、やだに決まっている!
「まあ、音羽ちゃん…」
「お兄ちゃんの事は今は忘れて、動物園を楽しみましょう!」
お姉ちゃんは、音羽ちゃんに声を掛ける。
「あっ、はい、すいません…。(汗)」
「楽しい雰囲気を壊してしまって……」
「別に気にしてないわよ!」
「そう言った事は、家族内では相談しにくいからね!!」
お姉ちゃんは音羽ちゃんを元気付ける。
「ありがとうございます、お姉さん」
「兄貴の事は今は忘れて、動物園を楽しみます」
そう言って音羽ちゃんは、その話しを切り上げた。
私にはお姉ちゃんしか居ないから、お兄ちゃんと言うのは漫画やテレビの世界でしか知らない。
あの世界では、お兄ちゃんは良い物と描かれているので、そうだと思ってきたが、実際は違う様で有った。
世の中は、私が知らない事だらけだなと思った。
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