恵那のどたばた日記

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
33 / 53

第32話 動物園 その1

しおりを挟む
 私達を乗せた車は近くのI.C(インターチェンジ)から高速道路に乗る。
 入口ゲートに設置して有る電光表示板には、○○-△△ 渋滞10kmと表示されている。

「あらら、渋滞しているね…。ちょっと予定通りには着けないね!」

 お姉ちゃんは独り言を言うが、私はその言葉に反応する。
 私は助手席に座っている。

「やっぱり休日は混むね。お姉ちゃん!」

「まあ、仕方ないよね。連休の中休みだし…」

 お姉ちゃんと話をしていると、後部座席に座っている音羽ちゃんが、話しに参加してきた。

「どうしたの。恵那ちゃん?」

「あっ、音羽ちゃん!」
「高速道路が渋滞している見たいなの。だから、ちょっと時間掛かるみたい」

「そうなんだ。まあ、仕方ないよね!」

「……渋滞は仕方がないとして、気楽に行きましょう!」

 お姉ちゃんはそう言った。
 しばらく快走に走っていたが、十数分で例の渋滞にはまる。
 ノロノロ渋滞の始まりだ。
 渋滞で少し余裕が出来たのか、お姉ちゃんが木華ちゃんに話しかける。

「そう言えば木華ちゃんって、○年生のお姉ちゃんが居るのよね?」

「はい、そうです!」

「恵那から凄くしっかりして、可愛い子と聞いているけど?」

(私……可愛いまでは言ってないよな?)

「う~ん、可愛いまでは分からないけど、お家の事は全部出来ちゃうよ!」

「お家の事って、家事の事かな。木華ちゃん?」

「うん、そうだよ!」
「お料理、お掃除、洗濯全部出来るよ。後、お菓子も作れるんだよ!!」

 木華ちゃんはお姉さんの事を自慢げ言う。
 それだけ、木華ちゃんもお姉ちゃんが好きなんだろう。

「へぇ~、すごいね!」
「木華ちゃんのお姉ちゃん。私も少し見習わなければいけないな!」

 お姉ちゃんは、そんな事を言っている!?
 絶対に言葉の綾だと思うが……

「本当にしっかりした、お姉さんだね!」
「もちろん、木華も家事のお手伝いはしているんだよね!?」

 顔を“にやっ”とさせながら、音羽ちゃんも話に加わった!

「もっ、もちろんだよ。お料理運んだり、お風呂の準備とかしてるもん!」

 木華ちゃんは音羽ちゃんの言葉に対して、それらしい事は言っているが、音羽ちゃんはそれにケチを付ける。

「お風呂の準備とか言っても、ボタンを押すだけでしょ!!」

「違うもん!」
「家のお風呂は古いから、そんな簡単じゃ無いもん!!」
「じゃあ、そう言う音羽ちゃんは、お家のお手伝いなにしているの!!」

 馬鹿にされて悔しいと感じたのか、木華ちゃんも反撃を始めた!

「ふふん!」
「私は毎日、家族全員の洗濯物畳んだり、お母さんの作る料理手伝ってるよ!」
「誰かさん見たいに運ぶだけで無く、野菜を包丁で切ったり、魚を焼いたりもしているよ!」

「く~~~!」

 木華ちゃんは何故か悔しがっていた!?
 お家のお手伝いなんて、家それぞれなのに……

「わっ、私だって、洗濯物畳んだり、包丁使う日だって有るもん!」

 後部座席で、いがみ合いを始めだした音羽ちゃんと木華ちゃん。
 私があいだに入ろうかなと思った時……お姉ちゃんが先に間に入った。

「はい、はい。2人とも、そこまで!」
「みんなで仲良く遊びに行くのに、ケンカしない!!」

「木華ちゃんはきちんとお手伝いしているし、音羽ちゃんもお手伝いしている」
「それで良いじゃない。お手伝いの数を競うより、お姉ちゃんやお母さんに“ありがとう”と、言われる方が大事でしょう!!」

「……」

「……」

 音羽ちゃんと木華ちゃんは、いがみ合いを止め、お姉ちゃんの話を聞いている。
 今は渋滞中だから、お姉ちゃんも少しは余裕が有る。

「判った?」
「お手伝いは数をこなせば良いって訳じゃないの!」
「少しのお手伝いでも、相手からお礼を言われたら嬉しいじゃない」
「それが分かってくれたら、お互い仲直りをする!」

 言い終えたお姉ちゃんは、再び渋滞の方に意識を向けた。
 私が仲裁に入る前に、お姉ちゃんが纏めてしまった。
 いがみ合いが収まって良い事なんだけど、私は活躍する場が無かった……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

10歳差の王子様

めぇ
児童書・童話
おれには彼女を守るための鉄則がある。 大切な女の子がいるから。 津倉碧斗(つくらあおと)、小学校1年生。 誰がなんと言おうと隣に住んでる幼馴染の村瀬あさひ(むらせあさひ)は大切な女の子。 たとえ10歳の差があっても関係ないし、 どんなに身長差があったってすぐに追いつくし追い越せるから全然困ったことじゃない。 今は小学生のチビだけど、 中学生、高校生になっていつかは大人になるんだから。 少しづつ大人になっていく2人のラブコメディでありラブストーリーなちょっと切ないお話。 ※こちらは他サイト様で掲載したお話を加筆したものです。

【奨励賞】花屋の花子さん

●やきいもほくほく●
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞 『奨励賞』受賞しました!!!】 旧校舎の三階、女子トイレの個室の三番目。 そこには『誰か』が不思議な花を配っている。 真っ赤なスカートに白いシャツ。頭にはスカートと同じ赤いリボン。 一緒に遊ぼうと手招きする女の子から、あるものを渡される。 『あなたにこの花をあげるわ』 その花を受け取った後は運命の分かれ道。 幸せになれるのか、不幸になるのか……誰にも予想はできない。 「花子さん、こんにちは!」 『あら、小春。またここに来たのね』 「うん、一緒に遊ぼう!」 『いいわよ……あなたと一緒に遊んであげる』 これは旧校舎のトイレで花屋を開く花子さんとわたしの不思議なお話……。

犬と歩けば!

もり ひろし
児童書・童話
孤独な少年らのもとにやって来た犬たち、犬たちは彼らの周辺を変えてゆく。犬のいる生活。

(完結) わたし

水無月あん
児童書・童話
(きずな児童書大賞エントリー)主人公は、孤独で、日々生きることに必死な、まだ若い狐。大雨で動けなくなった時、聞こえてきた声。その声に従うことは、救いか否か…。ほのぐらーい、少し不気味で不穏で和風な感じの不可思議系のお話です。短編なので、お気軽に楽しんでいただければ幸いです。

【一話完結】3分で読める背筋の凍る怖い話

冬一こもる
ホラー
本当に怖いのはありそうな恐怖。日常に潜むあり得る恐怖。 読者の日常に不安の種を植え付けます。 きっといつか不安の花は開く。

ぼくと、猫のいたずら ―きゃっちみー・いふゆーにゃん!🐾―

蒼生光希
児童書・童話
大事なものを猫にとられちゃった!追いかけようとしたぼくに、とんでもないことがおきたにゃん!

「私は○○です」?!

咲駆良
児童書・童話
マイペースながらも、仕事はきっちりやって曲がったことは大の苦手な主人公。 一方、主人公の親友は周りの人間を纏めるしっかり者。 偶々、そんな主人公が遭遇しちゃった異世界って?! そして、親友はどうなっちゃうの?! これは、ペガサスが神獣の一種とされる異世界で、主人公が様々な困難を乗り越えていこうとする(だろう)物語です。 ※まだ書き始めですが、最後は「○○○だった主人公?!」みたいなハッピーエンドにしたいと考えています。 ※都合によりゆっくり更新になってしまうかもしれませんが、これからどうぞよろしくお願いいたします。

放課後の秘密~放課後変身部の活動記録~

八星 こはく
児童書・童話
 中学二年生の望結は、真面目な委員長。でも、『真面目な委員長キャラ』な自分に少しもやもやしてしまっている。  ある日望結は、放課後に中庭で王子様みたいな男子生徒と遭遇する。しかし実は、王子様の正体は保健室登校のクラスメート・姫乃(女子)で……!?  姫乃は放課後にだけ変身する、『放課後変身部』の部員だったのだ!  変わりたい。いつもと違う自分になりたい。……だけど、急には変われない。  でも、放課後だけなら?  これは、「違う自分になってみたい」という気持ちを持った少年少女たちの物語。

処理中です...