恵那のどたばた日記

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
27 / 53

第26話 木華の名前 その2

しおりを挟む
(そうだ!)
(この話題なら、3人で話が出来る!!)

 私はひらめいた事を、早速実行する。

「そう言えば、木華ちゃん!」
「木華ちゃんの名前って、そのまま平仮名このは?」

「ん~、違うよ、恵那ちゃん。漢字だよ!」

 そう言って木華ちゃんは、名札を見せてくれる。
 名前はスーパーの時に聞いていたから、改めて名札を見るまではしていなかった。
 登下校中は安全のために、名札を隠す事になっている。
 名札を見ると『篠立木華』と書いてある。

「へぇ~~。木の華と書いて木華このはなんだ。何かすごいね~!」
「木華ちゃん!!」

「そっ、そう!!」

 名前を褒められて、少し照れている木華ちゃん。

「ふぅ~ん、良い名前だね。木華……」
「当て字見たいな感じもするけど……でも、良い名前だよ。木華」

 けなしているようで、ほめている音羽ちゃん!

「ありがとっ! 音羽ちゃん!!」

「!!///」

 木華ちゃんに言われて、少しほおを染める音羽ちゃん。

「でもね、木華だと判りにくいから、普段は漢字の方は伝えていないの」
「『このはと言います!』とだけ言うの!」

 木華ちゃんがそう言うと、音羽ちゃんは指摘する様に言い始める。
 実際、名前を聞いても漢字まで連想する人は少ないと思う。

「でもさ、木華!」
「もう私達○年生だし、そろそろ漢字の方でも伝えるべきでは無い?」
「テストの名前も木華で書いているんでしょ? まさか、まだ平仮名で!?」

 音羽ちゃんがそう言うと、木華ちゃんはバツが悪そうに答える。

「うん…。先生にも言われている。『名前は漢字で書きなさい』と……」

「ならさ、木華ちゃん。今日から、漢字に変えたら?」
「きっと今までは周りの人達に説明するのが大変だから『そう言って置きなさい』と言われたのでは無いかな?」

 私がそうアドバイスをすると……

「そう?」
「なら、今日から漢字で書いていくよ。恵那ちゃん!」

「そうした方が良いよ。木華!」

「そうだよ。木華ちゃん!」

 これで、丸く収まったかと思ったけど、木華ちゃんは少々疑問を持った表情をしていた?

「……音羽ちゃん」
「今、気付いたんだけど私の事、木華と呼んでいるね…」

「そうよ。木華と呼んでいるよ!」
「大人の人達は“ちゃん”付けで呼ばないの!」

 音羽ちゃんは木華ちゃんの言った事を肯定する!

「ふ~ん、そうなんだ!」
「えっ、じゃあ、私も恵那とかで呼んだ方が良いの。恵那ちゃん?」

「別に無理して、呼び捨てで呼ぶ必要は無いよ。木華ちゃん!」

 私はそう答える。

「じゃあ、恵那ちゃんは今まで通りね!」
「音羽ちゃんは、これからは音羽と呼べば良いの?」

「木華の場合は、音羽さんと呼んで!」

「え~、何で~~?」
「なら、今まで通り音羽ちゃんで良いや……ブ~~!」

「ぷっ!」

 ふて腐れる木華ちゃんを見て、私は何故か笑ってしまった!?
 木華ちゃんの名前でこんな展開に成るなんて、予想していなかった!!

 ……

 その後。
 数日間、私は2人の様子を見守っていた。
 仲良くまでは行かないけど、2人共普通に接している。

 私は改めて、音羽ちゃんに木華ちゃんの事を聞いてみたら『何か、どうでも良くなってきて……』の回答が来たけど、音羽ちゃんの顔は少し笑っていた。
 音羽ちゃんの中では、木華ちゃんとの距離を少し縮めた感じで有った。

 音羽ちゃんが木華ちゃんに敵対心持った理由は不明だが、取り敢えず関係が修復出来て良かったと私は思った。
 これをきっかけに、もっと仲良く出来れば良いと思う。
 私の本当の友達は、音羽ちゃんと木華ちゃんだから……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

ローズお姉さまのドレス

有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。 いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。 話し方もお姉さまそっくり。 わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。 表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

王女様は美しくわらいました

トネリコ
児童書・童話
   無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。  それはそれは美しい笑みでした。  「お前程の悪女はおるまいよ」  王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。  きたいの悪女は処刑されました 解説版

忠犬ハジッコ

SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。 「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。 ※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、  今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。  お楽しみいただければうれしいです。

黒地蔵

紫音
児童書・童話
友人と肝試しにやってきた中学一年生の少女・ましろは、誤って転倒した際に頭を打ち、人知れず幽体離脱してしまう。元に戻る方法もわからず孤独に怯える彼女のもとへ、たったひとり救いの手を差し伸べたのは、自らを『黒地蔵』と名乗る不思議な少年だった。黒地蔵というのは地元で有名な『呪いの地蔵』なのだが、果たしてこの少年を信じても良いのだろうか……。目には見えない真実をめぐる現代ファンタジー。 ※表紙イラスト=ミカスケ様

昨日の敵は今日のパパ!

波湖 真
児童書・童話
アンジュは、途方に暮れていた。 画家のママは行方不明で、慣れない街に一人になってしまったのだ。 迷子になって助けてくれたのは騎士団のおじさんだった。 親切なおじさんに面倒を見てもらっているうちに、何故かこの国の公爵様の娘にされてしまった。 私、そんなの困ります!! アンジュの気持ちを取り残したまま、公爵家に引き取られ、そこで会ったのは超不機嫌で冷たく、意地悪な人だったのだ。 家にも帰れず、公爵様には嫌われて、泣きたいのをグッと我慢する。 そう、画家のママが戻って来るまでは、ここで頑張るしかない! アンジュは、なんとか公爵家で生きていけるのか? どうせなら楽しく過ごしたい! そんな元気でちゃっかりした女の子の物語が始まります。

【総集編】日本昔話 パロディ短編集

Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。  今まで発表した 日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。 朝ドラの総集編のような物です笑 読みやすくなっているので、 ⭐️して、何度もお読み下さい。 読んだ方も、読んでない方も、 新しい発見があるはず! 是非お楽しみ下さい😄 ⭐︎登録、コメント待ってます。

処理中です...