チー牛おっさんが自殺を計ったら、何故か異世界に飛ばされた。―自炊スキルを生かし、俺は異世界で養護施設を切り盛りしながら魔王も討伐する―

小春かぜね

文字の大きさ
上 下
23 / 56
攻勢をかけ始める魔王軍

第22話 魔物の後始末

しおりを挟む
『スイスイ』を掛けられたミクは、悲しい表情からキョトンとした表情に成る。
 リンは続いて、ナツにも『スイスイ』を掛ける。

「……」

「……」

『スイスイ』を掛けられたミクとナツは『何が何だかの…』の表情をしている。
 アスはミクとナツに向けて、優しい表情で話し始める。

「ミクちゃん。ナツちゃん!」
「少し、お昼寝しようか?♪」

「うん……ミク。何だか眠たく成っちゃった……」

「私も……アス先生…」

 ミクとナツは、眠たそうな表情でアスに言う。
 アスはリンに向けて、穏やかな表情で話し始めた。

「リン先生。スイスイありがとうございます!」
「今から、この子たちを部屋に連れて行きますので……」

「あっ……はい……」

 リンは、バツの悪い表情で返事をする。
 だって、これは本来。リンの仕事に成るから……

 アスはミクとナツを連れて、養護施設内に入っていった。
 リンは困った表情で、俺に話し始める。

「……スズヤさん!」
「アスがしっかり者過ぎるから、私は不要みたいな感じがしてしまいます……」

「……」

(……どう答えよう)
(リンは名目上では養護施設の管理者だが、実際は俺の補助だ!)

 シスターもリンと協力して、食事を作れと言ったし、リンに対しての引き継ぎも何も行われなかった。
 それは、孤児で有るアスが実質の、養護施設の管理者で有るからだ。

 変な話をすれば、二人も管理者は要らない。
 だが、俺とリンの状況を汲み取った神父が、リンのポストを無理矢理作った。←なのでリンの給料は3万キランしか出ない

 俺は悩んだ表情で、リンに話し始める。

「リン……気にするな!」
「アスは養護施設の中では一番年長者だし、それに子どもたちからしたわれている」

「リンの仕事はリンには悪いが、神父が無理矢理作った仕事だ!」
「そして、リン本来の目的は、養護施設での仕事では無く、俺の側に居たいんだろ?」

「……はい、そうです」
「私はスズヤさんの側に居たいから、こうして付いて来ました」

「でも、お金を貰っている以上は、スズヤさんの補助ばかりでは駄目ですよね///」

 リンは困った微笑み表情で俺に言う。
 俺は穏やかな表情で、リンに言い始める。

「ずっとでは駄目だが、最初の内はそれで良いだろう!」
「シスターもを認めているのだし、アスもリンを強くは求めていないから、気楽でいれば良いんだよ!!」

「スズヤさん……///」

 リンは嬉し恥ずかしそうな表情で呟く。
 リンは俺の娘では無いが、お父さんの役も時には演じないとな!

「……あらら」
「これはまた、派手にやりましたね…!」

 シスターの呆れた口調が、俺とリンの耳に入る。
 俺とリンは振り向くと、神父とシスターが帰って来ていた。

「……」

 神父は絶命した大型コウモリの側に行き、お祈りを始める。
 魔物でも、生き物には変わらない。

 シスターは俺とリンの側に来て、困った表情で話し始める。

「……これは、アスの仕業ですよね」

「……はい。俺とリンが市場から帰ってきた時。そのコウモリが、ミクとナツに襲い掛かろうとしていました」
「アスは火の魔法を使って、コウモリを焼き殺しました……」

 俺は真面目な表情でシスターに話す。
 だが、シスターは溜め息を吐く?

「ふぅー」

「アスがした行為は正しい行為ですが、殺してしまうと……結構大変なんですよね///」

 シスターは『やれやれ』の表情で、俺とリンに向けて話す。
 シスターは説明する表情に変わって、言葉を勝手に続ける。

「王国城への報告も必要だし、魔物処分も必要に成ります……でも、一番の問題は魔王軍を刺激させてしまう事なんです(汗)」
「アスは子どもたちを守る為に、魔力の調整をせずに、ブランドを使ったのでしょう」

「威嚇程度のブランドで、収めれば良かったですのに……」
「アスは正義感が強い子だから、仕方ないですけどね」

(魔法の調整が出来るんだ!)

 アスは、ミクとナツを守るために、100%の『ブランド』を唱えた。
 だから、大型コウモリは焼け死んだ。

 でも、50%位の『ブランド』で有れば(?)、大型コウモリは火傷だけで済んで逃げて行った??
 だが、そんな都合良く行く物だろうか……

 ……

 大型コウモリの後始末は、神父たちに任せて、俺とリンは厨房に入る。
 俺とリンで、買ってきた食材の整理整頓をしていると、リンが落ち着いた口調で話し掛けてくる。

「スズヤさん」
「シスターはさっき『あぁ』言っていましたが、私はアスちゃんの取った行動は正しいと感じています」

「俺もそれは感じていた……」
「魔法の力を抑えれば、コウモリは死ななかったかも知れないが、コウモリが反撃に出た場合。アスは致命傷を受けるだろし、ミクとナツも巻き添えに成る可能性も有った!」

「シスターは……事なかれ主義の一面も見られるから、大事おおごとにはしたく無かったのだろう」

 俺も、落ち着いた口調でリンに話す。
 魔物の命も大事だが、子どもたちの命の方がもっと大事だ。

 ……

 神父たちの連絡によって、大型コウモリは王国軍が回収に来た。
 その時に軽い事情聴取を、アスは王国軍の隊長からされたらしいが、アスの行動は『正当防衛』と判断されて、叱責や罰などは下らなかった。

 これで、コウモリの件は無事に終わった事に成るのだが……シスターがさっき言っていた。魔王軍への刺激を与えてしまった……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。

なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。 しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。 探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。 だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。 ――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。 Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。 Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。 それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。 失意の内に意識を失った一馬の脳裏に ――チュートリアルが完了しました。 と、いうシステムメッセージが流れる。 それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!

処理中です...