僕は結花が好きなのに、結花は勝手に僕へ女を紹介してくる。ー僕は意図的に結花の子どもに成ったのにー

小春かぜね

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第2部 第2章 突然の珍客?

第90話 新居浜家の猫と成る

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 結花が猫を保護してから、約2週間の時が過ぎた。
 人間の飼い主は当然現われず、また、猫に関する情報も全く上がってこないので、結花は途方に暮れる。

 だが、猫の飼い主が現われない時は結花が責任を持って、猫を飼うと決めているから、猫が家族の一員と成るのも時間の問題で有った。

 ……

 とある週の週末……

 僕は結花と何時も通り朝食を摂っていると、結花は困った微笑み表情で僕に話し掛けてくる。
 猫は既に朝食を食べ終わっており、僕たちの側で毛繕いをしている。

「……陽向」
「猫ちゃんのことだけど……飼い主さんも全然現われないし、猫ちゃんも何時の間にか、完全に自分の家だと思い込んでしまったから、このまま飼おうかと思うの…」

「前、陽向は言っていたけど、猫を飼うのに反対はしないのだよね…?」

(結花は、遂に猫を飼うことに決めたか!)
(僕は猫の事情を知っているから、これ以上引き延ばしても全くの無意味だし…)

「……お母さん。僕は反対はしないよ」
「猫も、お母さんを気に入っているし、僕にも懐いてくるから」

 僕も、困った微笑み表情で結花に話す。
 結花は優しい表情で、俺に話し始める。

「……ありがとう。陽向///」
「じゃあ、今日から、猫ちゃんを家族の一員にするね!」

「にゃ~~ん♪」

 結花の言葉を聞いていた猫は、嬉しそうな鳴き声を上げる。
 猫にとっては『やっとか…』の気分だろうが、これで猫も一安心だろう。

 だって、猫を飼う権限を持っているのは、僕では無く結花が持っているから。
 猫は僕とは会話が出来るが、結花とは出来ない。

 それに『私を飼え!』と猫が結花に言ったら、結花は絶対に“猫”を“化け猫”と見て、猫を家から叩き出すだろう!

 ……

 朝食後。僕は結花の後片付けを手伝い、その後は猫を含めてソファーで寛ぐ。
 猫は結花の膝の上がお気に入りなので、結花の膝の上で寛いでいる。
 結花は猫を見ながら、和やかな表情で僕に話し掛ける。

「陽向!」
「今日から、うちの猫に成った訳だし、この猫ちゃんに名前を付けようかと思うの!!」
「陽向は、この猫ちゃんに付けたい名前は有る?♪」

「……猫の名前は、お母さんが決めて良いよ!」
「猫が一番懐いているのは、僕では無くお母さんで有るから…」

 僕は、困った微笑み表情で結花に話す。
 猫の名前なんて始めから考えて無いし、僕は結花ほど猫が好きでは無い。

(これが普通の猫で有ったなら、僕もまた別の考え方をするのだろうが、この猫は特殊猫だからな!)
(更に迷い猫では無く、押し掛け猫だし!!)

「……じゃあ、陽向のお言葉に甘えて……猫ちゃんの名前は、女の子でも有るから、さくらにしようかなと思うの///」
「時季外れの名前だけど、この家に春が来たような物だからね…///」

 結花は、はにかんだ表情で僕に話す。
 僕は穏やかな表情で、結花に話し始める。

「さくら…。良いんじゃない!」
「ゆいかが……ではなく、お母さんが付ける、可愛らしい名前だと思う!!」

「そっ、そう…陽向///」
「じゃあ、猫ちゃんの名前は“さくら”で良いんだね!」

「……猫ちゃんの方も、今から“さくら”と呼んで良いかな?♪」
「……さくら」

 結花は、嬉し恥ずかしそうな表情で僕に話した後。優しい表情に変わって、猫に話し掛ける。

「にゃーん♪♪」

 猫は結花の膝の上で、笑顔と嬉しそうな鳴き声で、さくらと呼ばれることを容認する。
 猫に名前が付いたことで、正式に新居浜家の猫と成り、同時に家族の一員に組み込まれた。

「にゃ、にゃ、―――♪」

「にゃ、にゃ、―――♪」

 猫は新たな名前が貰え、住処も確保出来たことから、さっきから結花に甘えっぱなしで有る///

「うふふ♪」
「さくらの名前を凄く気に入ってくれたんだね。さくら♪」

 結花も猫に癒やされながら、幸せそうな表情で猫に話し掛けている。

「……」

 僕は結花とさくらを見ながら『今後どうなのかな…?』と心の中で思う。
 だって、猫は家族の一員で一生を終えないし、大蛇も何かの目的が有るからこそ、猫を僕の元に送り込んだ。

 でも、結花の中では迷い猫で来た猫でも、猫を凄く嬉しがっているし、猫も結花の元で幸せそうな表情をしている。
 僕にとっては面白くない出来事で有るが、結花と猫にとっては、良い出会いだったかも知れない……

 ……

 第2部 第2章 突然の珍客?

 おわり

 第2部 第3章 結花の姉 へ続く……
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