僕は結花が好きなのに、結花は勝手に僕へ女を紹介してくる。ー僕は意図的に結花の子どもに成ったのにー

第2部 第2章 突然の珍客？

第88話 猫を見に来る恵那 その2

「…………」

　猫はしばらく、恵那を品定めしていたが……猫の中で考えが決まったらしく、猫は恵那の方に近付いて行く。

「あっ！」
「猫ちゃんが、私の方に来た！！」

　自分の方に猫が近付いて来るので、恵那は歓喜の声を上げる。

「にゃー♪」

「にゃー♪」

　猫は、笑顔と甘えた鳴き声で恵那に近付き、恵那の足下で猫は体を擦り付ける。
　恵那はその猫に体を擦り付けられながら、嬉しそうな表情で独り言を言い始める。

「わっ！♪」
「私。猫ちゃんに好かれたみたい♪❤」

「にゃーん♪♪」

　猫は笑顔で更に甘えた声で鳴き、恵那とスキンシップを取り始める。
　猫は恵那を敵としては見ず、仲間として見たのか、それとも恵那を懐柔させる気なんだろうか？

（猫は大蛇の支配下に入っているが、大蛇からの行動制限を猫は全く受けていない）
（この猫は自由気ままに活動している）

（大蛇が『恵那を敵として見ろ！』の指示が有れば、猫は恵那を敵視するが、そうで無ければ猫が、恵那をどう扱うかは猫の勝手に成る？）

　僕が心の中でそう感じていると、恵那は嬉しそうな表情で俺に話し掛けてくる。
　恵那は何時の間にか、猫を抱き上げていた。
　恵那は本当に猫が好きなようだ。

「陽向君♪」
「この猫ちゃんは、人懐っこい猫ちゃんだね！♪」

「にゃーん♪」

「……あぁ。人見知りはしない猫だよ…」
「懐かれて良かったね。恵那」

　僕は澄ました表情で恵那に話す。
　猫も恵那に抱かれて、幸せそうな表情をしている。

「～～～」

　僕と恵那を穏やかな表情で見ている結花だが、結花は僕と恵那に向けて話し始める。

「二人共！」
「おやつの時間は過ぎてしまっているけど、軽くお茶でもしましょうか？」

「あっ、ありがとうございます！」
「陽向君のおばさん！！」

　恵那は、和やかな表情で結花に話す。
　結花も、和やかな表情で恵那に話し始める。

「じゃあ、お茶の用意が出来るまで、恵那ちゃんは猫ちゃんと遊んでいてね！♪」

　結花は恵那に言い終えると、キッチンの方に向かって行く。
　恵那はカーペットに腰を下ろし、猫と本格的に遊び始める。

「にゃーん♪」

「あはっ、可愛い！♪」
「おばさんの言う通り、本当に可愛い猫ちゃん！♪♪」

　恵那は嬉しそうな表情で一人喋りをする。
　猫も、本当に嬉しそうな表情を見せている。

（猫は、恵那を本当に気に入ったのか？）

「ペロ、ペロ、―――♪」

「きゃはは～～♪」
「猫ちゃんが、私を舐めてくる～～♪」

「……」

　猫が恵那の顔を笑顔で舐め始めると、恵那は喜びの声を出す。
　僕は猫に遊ばれる恵那を、何とも言えない表情で見ていた……

　……

　結花が用意していた、お茶の用意が出来たので、僕と恵那はソファーが有る場所に移動してソファーに座る。
　お茶は、市販品のアイスティーで有った。
　ビスケットも市販品で有るが、お茶請けも結花はキチンと用意する。

　猫は恵那と遊び疲れたのか、リラックスした姿勢で体を横にしている。
　他の人が、この猫姿を見れば、誰もが見ても、この家で飼っている飼い猫目線で見るだろう！

『ゴク…』

　恵那がお茶を一口付けた後。結花に向けて和やかな表情で話し始める。

「おばさん！」
「おばさんの言う通り。本当に可愛い猫ちゃんですね！♪」
「もし、飼い主さんが見付からなければ、私が飼いたいぐらいです！！♪」

「うふふ。恵那ちゃんは、この猫ちゃんが気に入ったようだね！♪」
「……今の所。この猫ちゃんの飼い主や、猫ちゃんに関する情報は全く来ていないから、恵那ちゃんが飼ってくれるなら、それも一つの手かもね！！」

「……」

　結花は和やかな表情で恵那に話すが……結花の話しを聞いていた猫は急に起き上がり、ゆっくりと結花に向けて近付き始めた……